婚約者が私と婚約破棄する計画を立てたので、失踪することにしました

第１８話

　翌日――ユアン様の家が大丈夫か不安になっていると、昼過ぎにメイドの人がやって来た。

　ユアン様がメイドの人から話を聞いて、私に尋ねる。

「ルクル様に、会って欲しい人がいます」

「はい。私はユアン様と一緒に行けばいいのですね」

　この屋敷の地下室で暮らすようになって、来客は今まで誰もいなかった。

　断る理由もないから、私はユアン様に着いていく。
　地下にあった空き部屋を応接室にしたようで……私は誰が来るのかを待っていた。

　私は椅子から立って来客を待っていると――部屋にやって来た人に、私は驚くこととなる。

「あの……どうして陛下が、ここにいるのですか？」

　私を見ても落ち着いている風格のある青年は、間違いなくこの国の国王だ。

　どうして陛下がユアン様の屋敷の地下に来ているのか、私には理解できない。
　困惑していると――隣で立っているユアン様が、私に教えてくれる。

「陛下には事情を話しています……もしルクル様がここにいることが貴族達に発覚しても、何も問題ありません」

　ユアン様の屋敷の地下室、そして倉庫にあった魔法道具に必要な物の数から……協力者がいることは察していた。

　その人が陛下だったことに驚いたけど、私は安堵することができていた。