婚約者の愛した人が聖女ではないと、私は知っています

天宮有

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第9話

 パーティ会場での出来事から、数ヶ月が経っていた。
 
 もう明日には聖女の儀式がはじまり、詳しい内容はカインから聞いていた。
 私に婚約者がいなくなったことで、ルグドを気遣わずに会うことができている。
 頻繁にカインと会えたことは、私としても嬉しかった。

 今日は魔法学園に登校する日で、パーティの後から私は休んでいない。
 ルグドとシェムに協力した人は、発言が嘘と発覚して処罰を受けていた。
 それ以降は嫌がらせを受けなくなったけど……授業を終えると、私の前にシェムとルグドがやって来る。
 シェムは明らかに私を敵視していて、睨みながら話す。

「アイラ様、明日には聖女が決まります」

「はい。ムーディス国の聖女候補が全員集まり、他国の聖女様が聖女になる人を宣言してくださるようですね」

 そしてシェムは、他国の聖女は国王と打ち合わせをしていると考えていそう。
 実際は聖女に相応しい人が、ムーディス国を守る聖女になるだけだ。
 国王は誰が聖女になるかわかっていないけど、シェムだと信じているらしい。
 それによって自信があるのか、私を眺めてシェムは笑みを浮かべた。

「もう成績の差からわかりきっていることでしょう。万一にもアイラ様が聖女になれば、不正をしていると疑われますね」

 どうやらシェムは、以前パーティ会場で起きた出来事から焦っているようだ。
 無理をして大地の魔力から力を得ているのに、聖女になれなければ大惨事となる。
 私が聖女になったとしても認めようとせず、聖女になるためならシェムはどんな手でも使いそう。
 そんなシェムに、私は言いたいことがあった。

「不正ですか……最近の私は、シェム様とそこまで変わらない魔法の成績です」

「うっっ!? まだ私の方が上です! 明日になれば全てわかります!!」

 ここ最近、私は徐々に魔法の成績が向上していた。
 今の魔法の成績はシェムより少し劣る程度にまでなっているから、シェムが焦っているのは間違いない。

 教室から出て行ったシェムを、焦りながらルグドが追いかける。
 どうやらルグドとしては、私が聖女に選ばれることを考えて不安な様子だ。
 私は去っていくシェムとルグドを眺めて、思わず小声で呟く。

「明日になれば全てがわかる……確かに、その通りですね」

 私は今まで、カインから聖女の儀式について聞いている。
 予定通りに儀式が行われると――これからシェムは、大変な目に合いそうだ。

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