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第1話
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「ルクルは危険な魔法道具を作っていた! 俺はお前との婚約を破棄する!」
パーティ会場の中央で、侯爵令嬢の私ルクルはエドガー・ギアノ王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。
危険な魔法道具なんて作っていないけど、周囲はエドガーの発言を信じていた。
それはエドガーの隣に、発言に賛同している聖女ベネサがいるからだ。
ベネサは周囲を眺めながら、私の悪事を捏造して話す。
「私はルクル様が危険な魔法道具を作っている姿を目撃しました。危険な魔法道具は破棄したようですが、再び作る可能性があります!」
まず私は、危険な魔法道具を作ったことがない。
証拠が出ない理由を、破棄したことにしたいようだ。
「エドガー殿下、ベネサ様……私は、危険な魔法道具なんて作っていません」
「とぼけるな! 貴様はいつも魔法道具の研究ばかりしている。そして世界で禁止されている魔法道具を作ろうとしていた!」
「はい。魅了魔法が使える魔法道具を、ルクル様は作ろうとしていました!」
聖女のベネサが宣言したことで、パーティ会場が騒ぎになる。
魅了魔法を使われると、支配されているのと変わらない。
魔法道具を破棄したことに周囲の貴族達が安堵しているのは、聖女の発言を信じているからだ。
エドガーが私との婚約を破棄したかったことは、前から知っていた。
婚約破棄の理由を私のせいにしてくるとは思っていなかったから、私は言いたいことがある。
「魔法道具の研究ばかりしている私より、有益な聖女ベネサ様を婚約者にしたい――エドガー殿下は、前からそんなことばかり言っていましたね」
「なっっ……そんなことは言ってない! 嘘をつくな!」
「嘘をついているのは、エドガー殿下とベネサ様の方です」
いずれ私との婚約を破棄してベネサを妻にすると、前からエドガーは話していた。
私はエドガーが決めたのなら仕方ないと考えていたけど……婚約破棄の理由を、嘘をついて私のせいにするのは許せない。
人々を救っている聖女ベネサだけど、裏の顔があることは知っている。
周囲に嫌悪されないよう王子と婚約したいから、私を悪者にしたいようだ。
私の発言に対して、エドガーが激怒して話す。
「ふん。貴様が魔法道具の研究をしていたのは事実だ!」
「エドガー殿下の言うとおりです。証拠がないから無実と言い張っていますけど、聖女の私が目撃しています!」
ベネサの発言を聞いて、パーティ会場にいた貴族の人達が賛同していた。
危険な魔法道具は本当に作っていないから否定するけど、周囲は勝手に作っていたと決めつけてくる。
調べてもらえば解決すると考えていたけど――パーティが終わった後、私はギアノ国にいられなくなっていた。
パーティ会場の中央で、侯爵令嬢の私ルクルはエドガー・ギアノ王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。
危険な魔法道具なんて作っていないけど、周囲はエドガーの発言を信じていた。
それはエドガーの隣に、発言に賛同している聖女ベネサがいるからだ。
ベネサは周囲を眺めながら、私の悪事を捏造して話す。
「私はルクル様が危険な魔法道具を作っている姿を目撃しました。危険な魔法道具は破棄したようですが、再び作る可能性があります!」
まず私は、危険な魔法道具を作ったことがない。
証拠が出ない理由を、破棄したことにしたいようだ。
「エドガー殿下、ベネサ様……私は、危険な魔法道具なんて作っていません」
「とぼけるな! 貴様はいつも魔法道具の研究ばかりしている。そして世界で禁止されている魔法道具を作ろうとしていた!」
「はい。魅了魔法が使える魔法道具を、ルクル様は作ろうとしていました!」
聖女のベネサが宣言したことで、パーティ会場が騒ぎになる。
魅了魔法を使われると、支配されているのと変わらない。
魔法道具を破棄したことに周囲の貴族達が安堵しているのは、聖女の発言を信じているからだ。
エドガーが私との婚約を破棄したかったことは、前から知っていた。
婚約破棄の理由を私のせいにしてくるとは思っていなかったから、私は言いたいことがある。
「魔法道具の研究ばかりしている私より、有益な聖女ベネサ様を婚約者にしたい――エドガー殿下は、前からそんなことばかり言っていましたね」
「なっっ……そんなことは言ってない! 嘘をつくな!」
「嘘をついているのは、エドガー殿下とベネサ様の方です」
いずれ私との婚約を破棄してベネサを妻にすると、前からエドガーは話していた。
私はエドガーが決めたのなら仕方ないと考えていたけど……婚約破棄の理由を、嘘をついて私のせいにするのは許せない。
人々を救っている聖女ベネサだけど、裏の顔があることは知っている。
周囲に嫌悪されないよう王子と婚約したいから、私を悪者にしたいようだ。
私の発言に対して、エドガーが激怒して話す。
「ふん。貴様が魔法道具の研究をしていたのは事実だ!」
「エドガー殿下の言うとおりです。証拠がないから無実と言い張っていますけど、聖女の私が目撃しています!」
ベネサの発言を聞いて、パーティ会場にいた貴族の人達が賛同していた。
危険な魔法道具は本当に作っていないから否定するけど、周囲は勝手に作っていたと決めつけてくる。
調べてもらえば解決すると考えていたけど――パーティが終わった後、私はギアノ国にいられなくなっていた。
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