婚約者を奪われた私は、他国で新しい生活を送ります

第１９話

　ギアノ国がドラゴンの対処に成功してから、数日が経っている。
　店の営業を終えた私は、部屋でユアンと話をしていた。

　今日はギアノ国を調べてくれている人が、ユアンに報告している。
　どうやらエドガーが、何か不審な動きをしているようだ。
　
「どうやら最近、ギアノ国の者がここを調べているらしい」

「ドラゴンの件で、魔法道具の技術を手に入れたいと考えたのでしょうか？」

「その可能性もありそうだが、恐らく噂の件だ。ベネサが警戒して、調べさせているのだろう」

　今まで警戒していたけど、遂に行動してきたようだ。
　詳しく調べているようだから、新しく雇われた私のことも把握していそう。

　見た目は魔法道具で変えているけど、雇われてから噂が広まっている。
　そのことから、ベネサは私が雇われていると考えてもおかしくはない。

　不安になってしまうと、ユアンが私を眺めて話す。

「この店は魔法道具で守られているから、ギアノ国の戦力では何もできない。大丈夫だ」

「そうですね……ユアン、ありがとうございます」

　ユアンの言葉を聞いて、私は安堵することができている。
　この店なら大丈夫と、私は確信していた。