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第7話
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辺境伯アルクの屋敷で、私は自分に何が起きたのかを聞いている。
精霊と契約していたようだけど、記憶にないから信じられなかった。
困惑している私に、アルクは精霊のことを話してくれる。
「精霊は眠っている間に干渉してくる。これからマリナが眠ると、契約した時の出来事を思い出すはずだ」
「昨日は眠れませんでしたから、何も知ることができなかったということですね」
「そうなる……これから寝て、起きるまでの間に何も起きなければ、俺の推測は違っていたことになるな」
推測が正しいか間違っているかは、眠るとわかるらしい。
安心すると眠くなって、アルクが言う。
「食事の間にマリナの部屋を用意させた。今日からここで暮らすといい」
「それは……いいんですか?」
「マリナには使用人の手伝いをして欲しい。ここには人があまりいないんだ……領民は精霊の力で守られているが、評判は悪いからな」
「そうなんですか……領地を守る精霊って、どんな姿をしているのですか?」
「精霊は光の球体で、様々な色や大きさがある……マオイン家が契約している精霊は代々伝わる強力な精霊で、大地と一体化しているから俺でも見ることはできないな」
「見える精霊もいるのですか」
「恐らくマリナと契約した精霊は、マリナにだけ見えるはずだが……見えていない理由も、寝て起きればわかるかもしれない」
まず精霊と契約しているのかがわからないけど、アルクは私が精霊と契約していると考えていそうだ。
推測通りなら、私がミシアを倒せた理由がわかる。
それ以外では説明できないから、私も精霊がいるのではないかと考えるようになっていた。
■◇■◇■◇■◇■
その後は用意された部屋で眠り、私は目が覚める。
今の私は、契約している精霊の姿が見えていた。
精霊は白く光り、手のひらに収まるぐらいのサイズをしている。
夢の中で精霊の声が聞こえて、私は全てを思い出す。
「入学した時に私は精霊と契約して――傍にいてくれると恩恵で強化されるから、ミシアを元気にして欲しいと頼んでいましたね」
そして精霊は私の指示を聞き、私ではなく妹ミシアに恩恵を与える。
それによって元気になり、魔法学園に通って優秀な魔法使いと評価されていた。
「契約時の記憶を消して欲しいと、私が精霊に頼んでしまった……ミシアが自力で治ったと、思いたかったからです」
私が精霊と契約したからミシアが元気になったことは、誰に言っても信じてくれるわけがない。
その上に私は本来の実力が発揮できなくなるけど、それでもミシアを元気にしたくて精霊と契約した。
「……私の魔力を、契約した精霊を経由してミシアに与えていました」
そして家族から勘当されたことで、契約者である私の妹でなくなりミシアから私の元に戻れたようだ。
ミシアに与えていた魔力は、私の元へ徐々に戻っていくらしい。
「そしてミシアは弱まるけど、これはミシアの自業自得ですね」
魔力を与えて弱くなっていた私が元に戻るように、魔力を貰い強くなっていたミシアも元に戻る。
それだけのことで、妹でなくなったミシアがどうなっても私は構わない。
今までは契約した精霊の恩恵が、妹を元気にするために使われている。
今後は自分のために使おうと決意して、私はアルクの力になりたかった。
精霊と契約していたようだけど、記憶にないから信じられなかった。
困惑している私に、アルクは精霊のことを話してくれる。
「精霊は眠っている間に干渉してくる。これからマリナが眠ると、契約した時の出来事を思い出すはずだ」
「昨日は眠れませんでしたから、何も知ることができなかったということですね」
「そうなる……これから寝て、起きるまでの間に何も起きなければ、俺の推測は違っていたことになるな」
推測が正しいか間違っているかは、眠るとわかるらしい。
安心すると眠くなって、アルクが言う。
「食事の間にマリナの部屋を用意させた。今日からここで暮らすといい」
「それは……いいんですか?」
「マリナには使用人の手伝いをして欲しい。ここには人があまりいないんだ……領民は精霊の力で守られているが、評判は悪いからな」
「そうなんですか……領地を守る精霊って、どんな姿をしているのですか?」
「精霊は光の球体で、様々な色や大きさがある……マオイン家が契約している精霊は代々伝わる強力な精霊で、大地と一体化しているから俺でも見ることはできないな」
「見える精霊もいるのですか」
「恐らくマリナと契約した精霊は、マリナにだけ見えるはずだが……見えていない理由も、寝て起きればわかるかもしれない」
まず精霊と契約しているのかがわからないけど、アルクは私が精霊と契約していると考えていそうだ。
推測通りなら、私がミシアを倒せた理由がわかる。
それ以外では説明できないから、私も精霊がいるのではないかと考えるようになっていた。
■◇■◇■◇■◇■
その後は用意された部屋で眠り、私は目が覚める。
今の私は、契約している精霊の姿が見えていた。
精霊は白く光り、手のひらに収まるぐらいのサイズをしている。
夢の中で精霊の声が聞こえて、私は全てを思い出す。
「入学した時に私は精霊と契約して――傍にいてくれると恩恵で強化されるから、ミシアを元気にして欲しいと頼んでいましたね」
そして精霊は私の指示を聞き、私ではなく妹ミシアに恩恵を与える。
それによって元気になり、魔法学園に通って優秀な魔法使いと評価されていた。
「契約時の記憶を消して欲しいと、私が精霊に頼んでしまった……ミシアが自力で治ったと、思いたかったからです」
私が精霊と契約したからミシアが元気になったことは、誰に言っても信じてくれるわけがない。
その上に私は本来の実力が発揮できなくなるけど、それでもミシアを元気にしたくて精霊と契約した。
「……私の魔力を、契約した精霊を経由してミシアに与えていました」
そして家族から勘当されたことで、契約者である私の妹でなくなりミシアから私の元に戻れたようだ。
ミシアに与えていた魔力は、私の元へ徐々に戻っていくらしい。
「そしてミシアは弱まるけど、これはミシアの自業自得ですね」
魔力を与えて弱くなっていた私が元に戻るように、魔力を貰い強くなっていたミシアも元に戻る。
それだけのことで、妹でなくなったミシアがどうなっても私は構わない。
今までは契約した精霊の恩恵が、妹を元気にするために使われている。
今後は自分のために使おうと決意して、私はアルクの力になりたかった。
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