婚約者に突き飛ばされて前世を思い出しました

天宮有

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第6話

  私はマウロ王子の妹エリザの呪いを解き、呪いをかけた人が発覚する。
 城で働く魔法使いのワイドが元凶で、全てを白状していた。

 ワイドは時間が経った後に呪いを解く方法を提案して、国王から金を騙し取ろうと目論んでいる。
 そして呪いを解けばワイドは城の者達から信頼を得られると考えていた計画を自白し、これから処罰されるようだ。

 玉座のある部屋で国王と王妃にマウロが説明して、目覚めたエリザも来ている。
 ワイドの行動に驚いた後に、国王は私を眺めて話す。

「娘を治してくれて感謝する……名前は、ミレナだったな」

「はい。ミレナです」

「ミレナが仮面で正体を隠している理由は察している。私達の前で正体を明かしてくれないだろうか?」

 隣に立っていたマウロの発言に、私は頷く。
 院長も推測できていたし、隣国の王子の愚行をこの国の王家は把握していそうだ。

 仮面を外して、私の素顔を国王達が眺めている。
 双子の妹キサラと同じ顔だから驚いているようだけど、エリザを治したことで信頼は得られたようだ。

「亡くなったルドノス王子の婚約者か……この国の治療院で働いている理由を、教えてくれないだろうか?」

「ルドノス王子はキサラと婚約したかったようで、婚約者だった私を断崖から突き飛ばしました」

「なんて奴だ……ミレナは、よく生きていたな」

 国王がルドノスの行動に唖然として、他の人達も驚いている。
 危機を回避できたのは聖女の記憶を思い出したからだけど、前世が聖女と言う必要はなさそうだ。

「私は聖なる魔力が扱えましたので、生き延びることができました」

「生きていることをルドノスに知られないよう、仮面を着けてニールド国に来たということか」

「はい。私がキサラと同じ見た目ということもあります」

 今まで魔力を与えてキサラを支えていたことも、この場で話さなくてもいい。
 正体を隠している理由に納得してくれて、マウロが話す。

「ミレナは治療院で働き、宿で暮らしていると聞いている」

「そうですね」

「それなら……ミレナがよければだが、城で暮らさないか?」

「えっ?」

 いきなりマウロが提案して、私は驚いてしまう。
 エリザは賛成のようで、マウロの発言を聞き国王が頷いた。

「娘を救い、私を騙そうとしたワイドを捕らえることもできた。城の者は仮面を着けていても気にしないよう私が話しておこう」

「宿よりもここの方が安全で、治療院からも近い……妹を助けてくれたミレナに、何かできないか考えていた」

 それが住居のようで、どうするべきか私は考える。
 宿代を払い続けるより、城で暮らした方がいい。
 もし追い出されることになったとしても、元の生活に戻るだけだ。

「マウロ様、ありがとうございます。ここで暮らせるのなら、暮らしたいと思っています」

「それなら部屋を用意させよう……今後のことを考えると、ミレナには城にいて欲しかった」

「どういうことですか?」

 エリザを治したお礼もあるけど、他にも私が城で暮らして欲しい理由があるらしい。
 気になって尋ねると、マウロが理由を話してくれる。

「ここ最近キサラは問題ばかり起こしている。仮面を着けたミレナが城にいることで、キサラではないと証明した方がよさそうだ」

 私が仮面を外さなければならない状況になった場合、キサラと疑われたら面倒なことになるらしい。
 それなら城で暮らしていれば、国王や王子達が私がキサラではない証人になってくれるようだ。 

 そんな事態になるのかはわからないけど、現状キサラが問題を起こしている。
 何が起きているのかあまり知らなくて、私はルドノス達の現状を聞くことにしていた。

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