婚約者に突き飛ばされて前世を思い出しました

天宮有

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第14話

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 治療院で私は回復魔法を使い、負傷した人達を治していく。
 昼頃には来た人を全て治すことができて、院内には私と院長とマウロ王子しかいなくなっていた。

 その時を見計らってか、鎧を着た青年が治療院にやって来る。
 ランアス国の城で見たことがある人で、兵士長と呼ばれていた人だ。

 院長と話した後に、兵士長が私の元へ向かう。
 話す内容は昨日聞いたものと同じで、私を雇いたいようだ。

 対面すると、私を眺めて兵士長が話す。

「多額の報酬を支払うことを約束します。ランアス国に来てください」

「お断りします。私はランアス国へ行きたくありません」

「……この治療院で働いているようですが、ここの給金よりも遥かに高額ですよ?」

 私が拒んだことが予想外だったようだけど、兵士長は冷静に言う。
 好条件なら来てくれると確信していそうだから、私は隣にいるマウロを眺めた。

 それと同時にマウロが仮面を外して、兵士長が驚いている。
 まさかニールド国の第三王子が、ここにいるとは思っていなかったようだ。

「彼女は私の関係者で、人々を助けたいからこの治療院で働いている」

「どれほど好条件を出したとしても、ランアス国に行くことはないと陛下に伝えてください」

 マウロが説明をして、私が本心を話す。
 この国の王子を前にして、兵士長は説得を諦めたようで頷いた。

「マウロ殿下の関係者とは……わ、わかりました」

 マウロが王子と知っていたから、兵士長は諦めている。
 ここで抗議して敵対するよりも、私の発言を陛下に伝えた方がいいと判断したようだ。

 兵士長は治療院から去って行き、私は安堵する。
 ルドノス達は諦めないだろうけど、全て追い払うだけだ。
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