形あるもの

七瀬蓮

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時すでに遅し

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戸村が夢見心地から覚めた時にはもうすでにホテルの中だった。



どうやってここにきたのか…全く覚えていない。ただ、松岡の肩を借りながらここまできたのは覚えてる。

松岡の肩の温もり……久しぶりに人の温もりを感じられてホッとしている自分がいる。


あれ?でも、松岡はどこ行ったんだ?そういや部屋を出る時に何か言ってた気がするけど、酒のせいか思い出せない……。

本当に情けねぇ。酒なんて今までに浴びるように呑んできたのに、つぶれるなんて。


と思っていると、松岡が帰ってきて、


「ごめん。目ぇ覚ましたか?少し飲ませすぎたし、飲みすぎたかなって思って、水とか色々買ってきた。…案外男同士で入れるホテルって少ないんだな。」


とボソッと呟く松岡に、



「……そうかもしれねぇな。悪いな。俺が潰れたばっかりに。」


と返すと、また松岡は戸村の唇を奪った。


「悪いと思ってるなら体で返して?…大丈夫。俺もお前も今は酔っ払い。一時の過ち一緒に犯そう?」


と言われて松岡の欲望に飲まれた。
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