愛情が不足しております

愛情が不足しております。

「パパ……。いつ帰ってくるの？」


と当時幼かった奥家ももなは、玄関のドアノブに手をかけ出て行こうとする父親にそう聞くと、


「いつかは分からない。大人は忙しいんだ。ももなはいい子で待ってられるよね。ママだっているから寂しくないよ。」


と優しい笑顔をももなに向けながら、頭を撫でて、すぐに出て行った。


その後ママが起きてきて、


「あれ……。パパは？」


と聞かれたので、


「少し前に出かけたよ。いつ帰ってくるか分からないって。いい子で待っててほしいって。そう言って出かけて行ったから私はいい子で待ってるよ。」


と寂しいのを我慢して、ママにいうと、


「……。ママも、すぐ行かなきゃ行けないところがあるの。ももなはいい子だから、待ってられるよね。」


と言ってそそくさと出て行ったので、家にはももな1人になってしまった。