愛情が不足しております

七瀬蓮

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ももなの行き先

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「お待たせー!待ったぁ?ごめんごめん!じゃあ、行こっか♡」


と他の学校の男子と手を繋いで電車に乗って登校していた。


「席座れて今日はラッキーだね!んもぅ!すぐ座ってスマホ見る!私といる時は、私を見て!手を握って!」


と今まで満たされなかった愛情を取り戻すかのようにその男子に依存していた。


「ももな。可愛いなー」


とほっぺをぷにってしてくれてももなは満足そうな顔を作ったが、それ以上に愛情が欲しかった。今目の前にいる彼氏じゃなくても、誰でも良かった。


誰かに愛されたかっただけだった。


ももなは今高校2年生なので後一年で施設を出る決まりになっている。


焦っていた。

目の前にいる彼氏は……。コイツは、ぬくぬくした家で育ったであろう。私とは生活してきた環境が違いすぎる。コイツが私のこと拾ってくれたら将来安定とまではいかないものの、しばらくは安定して暮らせる。残り少ない施設暮らしの行末を見据えて、そう思っていた上の行動だった。
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