受験と恋の天秤

七瀬蓮

文字の大きさ
上 下
3 / 6

よろけた拍子

しおりを挟む
満員電車の揺れに耐えきれず、咲耶は、よろけて大樹のカバンの持ち手に捕まってしまった。


「ご……。ごめん。電車でよろけちゃった。このまま捕まってても良い?」


と遠慮がちに聞くと、


「いいよ。それぐらいなら。満員電車だしね。よろけるとまた危ないから捕まってて。」


こっちに目も向けずに、言われて捕まってても良いと言ってくれたことに安堵する反面、こっちに全く目を向けない大樹に対して少し嫌な気持ちになった。
しおりを挟む

処理中です...