部内恋愛はご法度です!

七瀬蓮

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救世主

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険悪な雰囲気になった部室に場違いな明るい男性の声が聞こえた。

「よう。久しぶり!元気にやってるか?俺は大学の授業が終わったから顔出したんだ!って何このすごい女子がいっぱいな状況?」

とは言ってきた男性は演劇部に所属していた男子大学生のようだった。

「あ…。立花先輩…お久しぶりです。昨日演劇公演があったんですけど、それで今日入部してきた子達です。今は基礎の体力作りをしているところです。」

と部長の服部が引きつった笑みで答えると、

「お、これ、入部説明の紙か?どれどれ…。おいおい。これ、めちゃくちゃじゃないか?俺がいた去年までとは全然入部基準も違うじゃないか!服部お前なんでこんな無理難題にしたんだ?おい!こんなのやらなくていいぞ。」

と言うと、手に持っていた説明の紙を破いた。

「悟……先輩。お久しぶりです。」

とみつきが男子大学生に近づいて挨拶をした。

「おぉ?みつきじゃねぇか!?久しぶりだな!元気してたか?最近家に行けてなくてごめんな?また、家に行くから親御さん達に一言言っておいてくれるか?」

と言うので、みつきは

「はい。両親も悟…先輩なら聞かなくても絶対大歓迎ですよ。」

と伝えた。すると、

「前みたく、呼び捨てでいいのに。みつきが他人のように遠く感じるから、そうしてくれると嬉しいんだけど、だめか?」

と心配そうに聞かれた為、

「分かったよ。悟。…ただ、悟が急に現れたからびっくりしてどう接していいか迷ってただけ。」

というと、

「やっぱり可愛いな~!みつきは!」

と頭を撫でて、

「今日の体感入部の子達はかえっていいよ!体験でこんなきついのやらせられないし、本部員になってもこんなんはやらないから安心して?俺は、去年、演劇部部長だった立花悟です。部長にちょっとお灸据えとくから、よかったら明日、改めて体験に来てくれると嬉しいな!じゃあ今日はお疲れ様。」

とにこりと笑い、体験入部のみんなを帰そうとしたが、誰1人帰ろうとしなかった。そこで、みつきは、

「悟。私たちは1ヶ月限定で本入部という紙を書かされて、サボったら先生に怒られると言われているので帰れないんだよ。」

とみんなの代弁をした。すると、その紙を悟は探してみんなの前で破いた。

「これがみんなが書いた紙だよね?これでここの部とみんなの繋がりはなくなったので、安心して帰ってね!不安にさせてごめんね!お疲れ様でした。」

という悟を見てみんな足早に帰っていった。
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