【完結】お隣さんの恋

あい

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とろける

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よし!もう忘れる!
振り返らない!!

「メリークリスマス!」
「いえ~い!!」

皆でワイワイクリパ中!

「思ったよりも人数集まったね!」
「ホント!」

これだけ人がごちゃごちゃいると健斗と話すこともほぼなくて良かった。

「きゃはは!健斗君が参加してくれるなんて思わなかったから嬉しいよ!」
「ホント~ホント!」

話は直接せずに済んでも話している声は聞こえてきちゃう。

「ね!今度一緒に遊ぼうよ!」
「駅の反対側に新しくカラオケできたしね!」

はぁ。
聞かない聞かない!

果「飲み物少なくなってきたね!あたし買ってくるよ!」
「いいの?」
果「うん!ちょっと行ってくるね!」
「ありがとう!」

絶対女子会の方が楽しかったなぁ~。
あんまり戻りたくない。

健「果奈~!」
果「健斗!?ど~したの?あ、何か追加で買ってきて欲しいものあった?」
健「俺も一緒に行くよ!」
果「いいよ~。」
健「飲み物買うんだろ?重いし!」
果「大丈夫だって。」
健「いいから!」

なんで来るのよぉ。
健斗から離れたくて一人で買い出し来たのに。

健「こんなもんかな!」
果「そうだね!」
健「ほら!やっぱり俺来た方が良かったでしょ!?」
果「だね。ありがとう!」
健「…そ~いえばクリスマスあいつに誘われたりしなかったの?」
果「え?」
健「鈴木。」
果「あ~うん。学園祭の時にちらっと会った以来会ってないし。」
健「そっか。」
果「なんで?」
健「いや。別に~。」
果「そういう健斗こそこんなところにいて本当に良かったの?」
健「え?」
果「彼女と過ごしたりしなくていいの?」
健「彼女か。」
果「なになに!?」
健「なんでもない!」
果「え~気になる~!」
健「…果奈は鈴木以外にそういう話ないの?」
果「え?やだなぁ~なんで急にあたしの話?」

いるよ!健斗だよ!って言ったらどうなるのかなぁ?

健「付き合いたいとか思ったりする?」
果「え?」
健「果奈の恋愛観みたいなのって聞いたことないなぁって思って。」
果「そんな恋愛観だなんてそんなのあんまりないよ~。」
健「彼氏欲しい?」
果「そりゃ~できるものならね!」
健「そっか。」
果「今までいたことないから憧れみたいなものもあるしね!健斗は?」

なんで聞いちゃったんだろ?あたしのバカ!
好きな人いるんだから付き合いたいに決まってるのに!
本人の口から直接聞くなんて辛すぎるのに~!

健「彼女になって欲しい。ずっと俺だけを見て欲しい。」
果「あの占ってもらった子でしょ?そうだよね!好きな人いるんだもんね!そりゃ~付き合いたいよね!」
健「…。」

うわぁ~すっごいキツイ。
直接聞くとホント辛すぎる。

果「健斗。」
健「ん?」
果「ごめん。ちょっとこれ持って先に戻っててくれない?」
健「え?」
果「あたし買い忘れたものあった!じゃ!よろしく!」
健「えっ。ちょ。果奈!?」

無理無理。
ホント無理!
こうなること分かってたのに。その場の雰囲気で聞いちゃった。
も~何やってるんだろ。
聞きたくなかった。絶対に本人の口から聞きたくなかった。
ずっと俺だけを見てて欲しいなんて…。
そんな言葉聞きたくない!!

それから泣きじゃくりながら家に帰って。
泣きつかれていつの間にか寝ちゃってた。

ん?何時?
0時かぁ。
はぁ…。
人生最悪のクリスマス。
親いなくて良かった。
じゃなくってあたしも一緒に行ってれば良かった。そしたらあんなセリフ聞くこともなかったのに…。

健「起きた?」

起きた?ってえっ!?

「け、健斗!?」

うわっ!
さらに最悪!
なんでここにいるの!いつからいるの!?
あたしひどい顔してる。
部屋暗くて良かったぁ。

健「はい。これ果奈の分のプレゼント交換のプレゼント。」
果「あ、ありがとう。」
健「てか、玄関鍵ちゃんと閉めろよ。」
果「え、あ、閉まってなかった?」
健「危ないだろ。」
果「ごめんごめん!閉めたつもりだったんだけど。何時ぐらいまでやってたの?」
健「わかんない。俺も途中で抜けたから。」
果「え?ごめん!もしかしてあたしのせい?みっちゃん達にも悪いことしちゃったなぁ。謝らなきゃ。」
健「一応上手くごまかしておいたけど。」
果「ありがとう!」
健「けど。」
果「ん?」
健「ど~いうこと?」
果「え?」
健「急に帰るし。」
果「…ごめん。」
健「泣いてるし。」
果「え!?」
健「鼻赤くなってる。」
果「…あ、あは!あたしトナカイ担当だからさっ!」
健「…果奈。」

暗いのに泣いたのバレてた。

果「も、もう遅いし健斗も帰りなよ!心配かけちゃってごめんね!」

健斗。何も言わずに立ち上がってドアの方に行ったの。

“パチ”

電気付けられた!!

果「う。眩しい。」

いくらあたしに望みがなかったとしても。
こんなぶちゃいくな顔見られたくない!

健「果奈。」
果「ま、眩しいよ~。もう寝るから帰って!」

ベッドにはいってお布団をかぶる。

健「なんで泣いてんのか聞いたら帰る。」
果「…。」
健「泣いてる果奈ほっとけない。」

ほっといてよ~!

果「もう大丈夫だから!」
健「…。」

あれ?返事ない。
帰ったかなぁ?
お布団からちらっと顔を出したら。
いる!!
なんでまだいるのよ~!

健「理由聞くまで帰らないって言っただろ。」
果「じゃ、じゃ~ずっとそこにいれば!?」
健「そうする。」

え~も~!どうしたらいいのよ~!!

果「ね~もう2時だよ?」
健「あ~。」
果「寒くない?」
健「寒い。」
果「も~なんでよ~。あたしならホント大丈夫だから。もう泣いたりしないから!」
健「そんなに俺には言えないようなこと?」
果「え?」
健「俺じゃ頼りにならない?」
果「そ~いうわけじゃないけど。」
健「果奈に隠し事されたり嘘つかれるのすっげ~やだ。」

う。
健斗に自分の気持ち隠してるし。
健斗に自分の気持ち偽ってる。
でもそうするしかないじゃん!
健斗には好きな人がいてその人と上手くいきたいわけだし。
あたしにはどうすることもできないじゃん!

果「そんな健斗だってあたしに隠し事の一つや二つあるんじゃないの!?」
健「え?」
果「全部言ってる?ほら。エッチな本だってすぐ隠すしさ!」
健「そういうのは三冊だけ。」
果「え、あ、そうですか。」
健「果奈に言えないことは…ない。」
果「ホントに~!?」
健「ホント。」
果「じゃ~好きなこのことは?」

自分から切り出すなんてバカすぎる!!
でもこうなったらとことん聞いて思いっきりショック受けて吹っ切ろう!

健「…。」
果「ほ~ら!健斗だってあたしに隠してることあるじゃん!」
健「…果奈。」
果「なに?」
健「こっち見て。」
果「も~なぁに?」
健「俺がずっと振り向いて欲しいって思ってるのは。」
果「すと~っぷ!!」
健「え?」
果「や、やっぱりいいや!」
健「なんで?」
果「いや、ほら、こういうのってこんな無理矢理聞くもんじゃないなぁって思って!ごめんね!あたしどうかしてたよ!」

ダメ。やっぱり聞けない。
今聞いてそうなんだ~って普通に聞き流せる自信ない。
ただの仲のいいお隣さんを演じられる自信ない。

健「果奈。俺さ。」
果「だ、だから言わなくていいって!!」
健「でも。」
果「いいってばぁ!!」

どうしよう。すっごい大声で叫んでしまった。

健「…果奈?」
果「あの、だから、いいって。…。」
健「なんでまた泣いてるんだよ。」
果「な、泣いてない。」

あたし慌てて後ろ向いて涙ふく。
そしたら後ろからふわって抱きしめられたの。
びっくりしていっきに心臓が破裂しそうなぐらい激しく鼓動する。
こんなドキドキ意味ないのに…。

健「なぁ。果奈。」
果「なぁに?」
健「果奈のことそんなに泣かせる奴って誰?」
果「…え?」
健「すっげ~むかつく。」
果「…あは。そうだね。」
健「果奈。」
果「ん?」
健「俺のこと見て欲しい。」
果「え、あ、うん。」

すっごい顔してるけど。ここまできたらもうどうにでもなれだよ。
そう思って振り返ったの。

健「…。」

見て欲しいっていうから振り返ったのに健斗は黙ったままなんにも言わない。

果「あ、やっぱりあまりにもひどい顔でひいちゃった?」
健「果奈のことが好きなんだ。」
果「…へ?」
健「ずっと俺のことだけ見て欲しい。」
果「…え?健斗?」
健「他の男の子とで泣いてる果奈なんてこれ以上見たくないんだ。」
果「…うそ…。」
健「俺じゃダメ?」

うそ。なんで?これは夢?
健斗の好きな人があたし?
そんなことって。
あたしなんか全身の力がす~っと抜けて。
へなへなとその場に座り込んじゃった。

健「果奈?」
果「…?あ。ごめん。ちょっと。あの。びっくりしちゃって。」
健「ごめん。もうこれ以上耐えられなかった。」
果「あの。ホントに?」
健「マジ。」
果「ホントに!?」
健「ほんとに。」
果「…。」

“ちゅっ”

健「これで信じた?」

き、キスされた!?
え!まさか!?
でも確かに今感触あった…。

果「…。」
健「まだ信じられないなら何回でもするけど?」
果「い、いい!信じた!」
健「…。」
果「信じられないけど。信じた。」
健「どっちだよ。」
果「ふぁ~。も~。本当にびっくりしたぁ。」
健「うわ。また。泣くなって。」
果「だって。だって健斗が泣かせるんだもん。」
健「あ~も~悪かったって。」
果「いっつも健斗が泣かせるんだもん。」
健「え?」
果「ばか。」

あたしそう言って健斗に抱きついちゃった。

健「え?果奈?」
果「好きな人があたしならあたしって早く言ってよ!」
健「え?」
果「すっごく苦しかったんだからぁ~!」
健「え!それって。」
果「とっくに健斗のことしか見てないし!」
健「果奈。」

今度は健斗からぎゅって抱きしめてくれた。
健斗の腕。体温。
とろけるほど嬉しい。
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