こんなはずじゃなかったのに。思わぬ恋のその先は。

あい

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じゅうろく

「相沢ちゃんどうした?緊張してるん?」
「あ、はい。すみません。」
「水島課長は部下への圧が強いのかな!?」
「笠原!」
「俺も最初顔良しスタイル良しコミュ力も高くて仕事も出来てって完璧過ぎて!おまけにモテる!ときたらとっつきにくいやつやなぁて思ってたけど案外普通で。」
「普通ってなんだよ。」
「くく。あ。すみません。」

思わず笑ってしまった。
同期の人とはこんな感じなんだと。
なかなか見られない課長の一面を見られた気がして嬉しい。
けど。やっぱりこの私が課長にいだいてる感情は。
表に出してはいけないもの。
せめて内に秘めているだけなら…。


「相沢ちゃん彼氏は!?」
「けほ!けほ!」
「笠原さん!そういうの突然聞くのよくないっすよ!」
「え~えぇやん!三津屋は同期でそういう話とかしないん?」
「い、いません。」
「え!マジで!?もったいないなぁ~俺が後5歳若かったら速攻でアタックしてるわ~!」
「笠原お前妻子持ちだろ。言葉を慎め。」

笠原さん。ご結婚されてお子さんもいらっしゃるんですね。
課長は社外の女の人との関係が絶えない人。
だから結婚はされていない。
でも最近あんまりそういう女の人の気配を感じないような?
もしかして結婚を前提にお付き合いしている人とか…いてもおかしくない。
そういう相手がいるの?

「やば!そんなこと言ってたら奥さんから電話きた!ちょっと失礼~。」
「相沢?」
「は!あ!課長次何飲まれます?」
「あぁ。じゃビールで。」
「すみませ~ん!ビールお願いします!」

危ない危ない。
自然と涙出そうになってた。
課長に誰か思っている人がいるのかと。
考えただけで泣きそうになってしまう。

「水島課長は今お付き合いしている方はいらっしゃるんですか?」
「え?俺?」

ちょ!三津屋くん!?
やめて!そんなこと聞かないで!!

「はい。水島課長の噂は沢山聞くんですけど実際どうなのかなぁと。」
「俺は。」
「いや~悪い悪い!急に子どもの具合が悪くなっちゃったみたいで俺先帰るわ!」
「え?大丈夫ですか?」
「ごめんね!また今度改めて!」
「お大事にして下さい!失礼します。」
「お疲れ~。」
「お子さんまだ小さいんですか?大丈夫ですかね?」
「ああ見えて家庭的なやつだから。」
「ステキですね!」
「ビールお待たせしました!」
「ども。」
「そういえばこの前!…」

笠原さんのお陰で話が途切れて良かった。
さっきまで全く話せていなかったのに。
いつもは自分から話題をふることなんてないのに。
自分でもおかしいなと思うくらい。
不自然にペラペラと話している自分がいる。
課長の恋愛事情。
知りたいけれど知りたくない。
知ったら本当に終りにしなければならない気がして。
ただの現実逃避だとはわかっていても。
現実から逃げたくなってしまう。

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