こんなはずじゃなかったのに。思わぬ恋のその先は。

あい

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イチ

俺はなんで今こんなに部下に怒られてるんだ?


「課長はかっこいいかもしれないですけど全然女の子のことわかってないです!」
「は?」

相沢琴美。24歳。
我が課の事務アシスタント。
性格も外見も地味で。
真面目でもくもくと仕事をこなすタイプ。
他の若い女子と比べて目立たなすぎて気になるぐらいだ。
そんな相沢が急にどうしたんだ?

「女の子の気持ちもっと大事にしないとだめです!!」
「へ~上司の俺に説教かよ。」

入社してから今までずっと俺のこと尊敬していてついていきます!って感じの姿勢だったよな?

「説教ですよ!知ってるんですよ!課長が女の子ポイ捨てしてるって!」
「なんだよそれ。」
「ずっと言いたかったんです!女の子の気持ちをふみにじるようなこと許せません!」
「あのな~。」
「けだもの~!」
「ちょっ、ばか!いい加減にしろこの酔っぱらい。」
「私酔ってなんかいません!」
「お前そういうタイプだっけ?」
「地味で存在感なくて悪かったですね!」
「別にそんなこと言ってないだろ。とにかく声でかい。一目につきすぎ。」
「あ。逃げるんですか!?」
「逃げるってなんだよ?」
「女の子をなんだと思ってるんですか!これ以上被害者を出さない為にも。ん!か、かちょ。ん!苦しい。」

ダメだ。
このままじゃ収まりそうもないな。

「いいから来い!」
「ちょ、どこ連れ込む気ですか!?」
「ラブホに決まってんだろ。」
「えっ!ちょ!やめて下さい!!」
「いいから大人しくしろ!」
「こんな非常事態に大人しくなんかできませんよ!」

こうなったら。

「課長命令!」
「な、なんですかそれ!」
「課長命令きけないのか?」
「き、きけな。」
「ほら行くぞ。」

めちゃくちゃなこと言ってるのは分かってる。
けど。

“バタン!”
「課長何するんですか!?」
「とりあえず落ち着けって。はい。水飲んで。」
「ぐびぐび。ん。」
「落ち着いたか?」
「私は常に正気です!」
「はぁ~。」

ダメか。収まらない。

「課長!社外に女の人たくさんいるって本当ですか?」
「あながち嘘ではないが。」
「…ポイ捨ての噂も!?」
「言い方が悪いな。割りきった関係ってことだ。」
「割りきった関係?」
「だからお互いそういうつもりでってこと。」
「むむ!!」

普段淡々と仕事をしているから。
こんなに感情を出したのを見たの初めてだな。
むむ!って。
怒ってるのになんか可愛い。

「しかたないだろ。女からよってくるんだし。外見も技術もあんだから。」
「さ、最低!!」
「ってかなんでお前にそこまで言われなきゃなんないんだ。」
「女の敵です!」
「はいはい。」
「あ~!今流しましたね!」
「じゃ~ど~しろっつぅんだよ。あ。そういうこと?」
「え?」
「お前もして欲しいんだ。」
「へ?」
「んだよ。」
「ちょ!課長!?」
「いいぜ。文句言えねぇぐらいいかせてやるよ。」

抱きたい。
急に相沢の抱かれた姿がみたくなった。


“ちゅっ”
「ひゃっ。」
「首弱いんだ。」
「課長!やめて下さい!」
“ちゅ”

ちょっと首もとにキスしただけでこの反応。

「あっ。やめて下さい!」
「ふっ」
「なんですか!?」
「なんでもない。」

やばい。可愛すぎる。

「手動かない。」
「そりゃ~俺が押さえつけてるから。」
「なんでこんなことするんですか?」
「お前が望んでるからだろ?」
「全然望んでないです!」

“ちゅっ ちゅっ”

望めよ。

「身体は望んでるみたいだけど?」
「そ、そんなこと。んっ。」
「ほら。」

“ちゅ”

感じてる声。しぐさ。

「んっ。」
「なんでそんな声我慢すんの。」
「が、我慢なんか。はんっ。」

もっと聞きたい。感じさせたい。

「隠そうとすんなよ。」
「や。恥ずかし。」
「だ~め。」

そんな風に恥じらわれるといじわるしたくなる。


「や、やっぱりやだ!だめです!!」
「…。ほら。あっち向いてるから早く着ろ。」
「…はい。」

この状況まできて断るか?
断られたのなんて初めてだ…。

「着替えたか?」
「はい。」
「出るぞ。」
「え?」
「もう終電ないだろ?はい。タクシー代。」
「え!そんな。」
「いいから。」
「…なんか。すみません。」
「もう俺に関わるな。」


関わってはいけない。
社内での色恋の揉め事はごめんだ。
だから今までだって外で済ませてきた。
相沢の真面目な性格からしてもきっと。
直属の上司とどうこうなんて嫌だろう。
今日のことはなかったことにして。
今まで通りの上司と部下で。

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