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第一話 こういうお金稼ぎの仕方もある
しおりを挟む僕らは今、ゴブリンに対峙していた。
・・・どーしましょう。
「よし、颯馬。ゴブリンを退治してきたまえ」
「断る。お前が行け」
僕らも敵が一体なら喜んで狩りに行くよ。レベル上げしたいからね。
でもさ、十体はむりじゃん。十体はさ、さすがに多くない?
「・・・白金。俺に一つ考えがある」
「なにさ」
嫌な予感しかしない。
「まず、お前がゴブリン達を暫くの間引き寄せる」
「ふむふむ」
「その後、お前は森の方向へと走れ」
「ふむふむ」
「その瞬間、俺が逆方向へと走る」
「それで?」
「あ?俺とお前の旅の終わりだが?」
「なるほど、君がとびきりのクズだと分かったよ」
こいつひとじゃねぇ。
いつか覚えていろよ。
「それしかないだろ!」
「そんなわけないだろ!」
これでも学年トップかよ!もっと考えてくれよ!戦略ゲームとか得意じゃん!初見でEXモードをノーミスクリア出来るくらいには得意じゃん!
なんでたった一人しかいない仲間を見捨てる選択ができるんだこのクズ!
「分かった。ならば、確実とはいかないが、生き残る作戦でいこう」
「最初からそれを提案してよ……」
「今回の作戦はお前の固有魔法が鍵になる。頼んだぞ」
「ふむふむ」
「お前がまず、ゴブリンの剣と盾を全て盗む」
「いや無理でしょ。」
「やるしかねぇだろうが!お前がそれさえできれば、あとは俺が全員殺してやるから!」
「それじゃぁ!僕のレベルが上がらないじゃないか!」
「さっきパーティー登録したじゃねぇか!」
あ、そっか。
完全に忘れてた。なんか、パーティーになると倒したもモンスターの経験値が分配される仕組みらしいんだよね。だから、颯馬が倒せば僕もレベルアップできるんだって。
「せめて剣一つでもいいから奪ってくれ。素手のままじゃさすがに俺でもきつい」
颯馬って昔は有名な不良だったんだよね。
すごく強かったんだけど、彼女が出来てからはやめたらしい。今は彼女いないんだけどね。
大切なのはいるかいないかで、いたかどうかじゃないと思うんだ。
まぁ、その話は置いておいて、早速やってみようか。
僕、今のところ何もしてないし。そろそろ本気になってもいい頃でしょ。
「よーし!」
異世界で、盗賊とくればこれでしょ!
「スティール!」
僕の手が光り、ゴブリン達のことを光が包み込んだ。
すると……
「冗談でも言ってみるもんだな」
「だね。全部奪えちゃったよ」
ゴブリンの武器、防具まで全て盗めました。
ボロボロの剣と盾。余裕で盗めたよ。なにかが抜ける感覚とかはないから、コストはないのかな?
「よし、これだけ剣があれば余裕だな」
「うん。あとは頼んだ!」
「……まぁいい。やってやろう」
颯馬は盗んだ剣を携えて、ゴブリン十体に特攻する。
そのまま爆死してきな。
手前の一体の首を軽く切り飛ばし、その隣のゴブリンの左腕を切断、しゃがんで流れのままに右足も切断。
剣がボロボロだから斬る瞬間に神速を使って速さで斬ってる感じかな。
「がんばれー」
中腰のまま次のゴブリンの頭を剣で貫く。隣にいた二体のゴブリンが慌てて拳を向けるが、一歩身を引いて躱してから回転してその二体のゴブリンの首を刎ねる。
残り五体。
「がんばれー」
次は神速を使って一度横にズレて、敵の背後上まで移動。そこから、空中を蹴って一体の首を分離させ、もう一体の体を二分する。
ん、待って?空中を蹴ってってなに?そんなスキルもってたの?
僕の疑問を無視して颯馬はまた一体殺した。
あと二体。
「がんばれー」
もうここまでくれば楽勝なのか、剣を捨てて、ファイティングポーズをとる。
強靭化のテストかな?
颯馬の体から黒い線が浮き出し、血管が薄く浮き出てくる。黒い線と血管が全身に線となって入る。
なにあれ、かっこいい。
神速移動からの
「どっせいっ!」
腹パン。
あ、腹に穴が空いた。
あと一体。
「がんばれー」
続いて手刀を構えて居合斬りのような格好で相手の背後に現れる。すると、ズルりと首がずれ落ちた。
なんかさー。颯馬の固有魔法ずるくない?
「ふぅ。まぁ、こんなところだな」
てかさ、武器奪う必要あった?
なくない?まるで無くない?強靭化と神速で圧勝じゃん。
「お前の盗みは役に立たんかったな」
「最初に提案したのは颯馬だと思ってたんだけど」
「気にするな。予想以上にゴブリンが弱かったという事だな」
僕は君の想像以上の強さにびっくりしたよ。
元不良は伊達じゃないね。
「さて、レベルは上がったか?」
あ、忘れてた。
えっと……
「メニュー」
「だから、ステータスだっつうの」
それは流石に覚えてたよ。ネタだよネタ。ホントだよ?
「ステータス」
名前 白金 時也 Lv.11
その他は変化なし。
ま、そりゃそうか。
「颯馬は?」
「Lv.13だな。お前とそう変わらん」
レベルってなかなか上がらないものだね。
ゴブリンだからかな。
「これからどーするの?」
「探索しつつ、レベル上げだな。冒険者になるなら戦闘に慣れておいた方がいいだろ」
「僕戦闘系の能力ないんだけど」
「ボロボロの剣でも投げとけ。街に行ったらナイフか弓か買えばいいだろ」
「おー。集中力と僕の運が重要ってことだね!」
「剣投げるのに運を使うな。技術で当てろよ。こえぇわ」
「あ、あと颯馬!さっきの空中を蹴ったのあれなに?」
あんなの持ってたなんて聞いてないよ!
情報共有は必須だろ!
「あー。あれか、あれは神速の派生技的なものらしい。お前の集中力と盗賊にもあるんじゃないか?」
そういうのは先に言おうよ。
重要じゃんそれ。かなり大切じゃん。
えっと……どうやればいいんだ?
その後一人で四苦八苦してついに見つけた。ステータスの固有魔法欄をタッチすれば見れたらしい。教えてよ、颯馬。
「えっと?なになに……?
〈固有魔法〉
集中力
盗賊『盗み』
『無限収納』
『情報収集』音無し 気配消し 聞き耳
『罠師』
だってさ」
戦えそうなのは罠師くらいかー。
でも、罠師使っても罠作る道具がないとな~。あ、そのための無限収納か。
「あほか。他人の物を街中で盗んで、そのまま無限収納に入れるに決まってんだろ」
何があほかだよ。
悪魔みたいなこと言いやがって。
……でも、いい作戦だね。さすが戦略家。
「よし、人の街に行く理由が増えたな。善人から盗むのはさすがに良心が痛むが、悪人からなら取り放題だ」
「だね!街に行こう!それでお金を盗みまくって可愛い女の子を仲間に引き入れるんだ!」
「おう!」
そう思っていた時期が僕達にもありました。
あれから数時間歩いて、ようやく街へと着いたのだが、仮入国証明書を無料で発行してもらって後でお金を払うっていう契約を結んでいる時に聞いた話です……。
「あ?可愛い傭兵なんていつの話してんだよ。昔はってか、俺がもう少し若い時にはアイドル的冒険者なんかはいたが、今はお偉い貴族様に変わっちまったよ。」
……だってね。
僕達の異世界旅行は終わった。
……ちくせう。
「はい、これで仮証明書を渡せるな。はいよ」
「あ、うん。ありがとうございました……」
「お、おう。まぁ元気だせって。お前らみたいに夢見てくる奴もいるし、みんな落胆もしてる。だがな、この街の女性はまぁ悪くない。楽しんでこいって」
「はい……」
門を抜けて、僕達は街へと繰り出した。
「はぁ。まさかカワイイ子ちゃんがみんな貴族に取られてるとはね」
「まさかだったな……。ここは本当に異世界か」
ゴブリンがいた時点で認めた方がいいと思うよ。
僕も認めたくないけど。
「ひとまず冒険者ギルドまで行こうか」
そう言ってとりあえず冒険者ギルドまで向かうことに。
レッツゴー。
と、いうわけで来ました冒険者ギルド。
「おい!受付嬢!俺が倒したっつってんだろうがァ!早く報酬をよこせ!」
「いえですが……」
「ですがももしももなにもない!このしょぼそうなガキ共がたおせるわけねぇだろ!」
なんていう馬鹿みたいなキン肉○ンが、受付嬢とその近くにいた子供を虐めていた。
その時、颯馬が動いた。
きゃーカッコイイー!
颯馬が子供と筋肉に近づいたところで、僕と目が合う。
む、このサインは。アイコンタクトのサイン……。
『俺が 惹き付ける その間 全て 盗め』
なるほど。
俺が惹き付ける、その間に全てを盗め。
おっけー。さすがは僕の自慢のクズ友の一人だ。
けど、最高の作戦だ!これで借金も返せるね!盗んだ物の向かい場所は無限収納へ。
とりあえずまずは、音無し、気配消しを使う。
僕って足がつかないようにね。
よし、あとは頼んだぞ颯馬!
「おいおい、受付嬢さん、どーした?」
「あ、それが……」
聞き耳をたてていると、その全貌が聞こえてくる。
僕達(颯馬)が倒した狼。ワイルドウルフというモンスターの死骸を持ってきた少年少女なのだが、それを報告しに行った時にあの筋肉が「俺が倒したから俺が報酬を貰う」と言ったらしい。
馬鹿だね。
よし、スティール!!
その瞬間、筋肉野郎の全ての装備が無限収納へと収納された。
パンツのみ残されるなんて都合のいいことはない。あってはならないのだ。
と、いうわけで、関所の皆さんに連れていかれましたよ、あの筋肉は。
「悪かったってぇぇぇ!」
なんて言ってね。
いい気味だぜ。
「ありがとうございました!」
「いや、なんてことは無い。というよりかは、俺は何もしてないさ。それよりも、お前らは大丈夫だったか?」
「うん!お兄さんありがとう!」
『ありがと!!』
あれ?なんで颯馬だけ感謝されてんの?
いやまぁ、僕は盗んだからなんとも言えないけどさ。
颯馬はしばらく受付嬢、子供たちと話して戻ってきた。
「おかえりー」
「おう。それでどうよ」
「よきかなよきかな。結構手に入ったし、武器防具もまともなのが手に入ったよ」
「よし、作戦成功。あとは冒険者登録して、宿とって、金返して終わりだな」
あ、硬貨の価値だけど……
10円=10パル=鉄貨1枚
100円=100パル
1000円=銅貨1枚
10000円=銀貨1枚
100000円=金貨1枚
1000000円=黒貨1枚
10000000円=白貨1枚
だそうですよ。
物価も日本とさして変わらないみたい。
そして、今僕達が手に入れたお金は銀貨が8枚、金貨が3枚だ。
つまり、38万パルという事。いきなりお金持ちになっちゃったね。しばらくは生きていけるよ。こんな大金を懐に持っているのが間違いなのさ。
ニヤニヤの止まらない僕らはさっきの受付嬢のもとへ行って、冒険者登録をする。
僕らのランクは最低ランクのFランクからだ。
「お二人ならばすぐにランクアップできますよ!頑張ってくださいね!」
ありがとう、受付嬢さん。
Cランク以上になれば、非常時に拠点地を守る義務が課せられるそうだ。でも、その分多くの依頼を受けられるようになるし、指名依頼を受けられるようになる。国からの指名依頼ともなれば、莫大な報奨金が貰えるとか。
頑張るぞー!
「白金、せっかくだから一つ依頼を受けていかないか?」
「宿は?」
「受けてから、登録に行く。それで、門で本証明書貰って依頼をこなしに行くってわけだ」
「おっけー」
依頼ボードに行けば、大量の依頼の書かれた紙が貼り付けられていた。
これを受付のお姉さんに持っていけばいいわけだ。
なにを受けようか・・・。討伐系か素材集めか・・・。お・・・
「颯馬!これなんて良くない?」
「んー?なになに?……オーク村の殲滅・・・」
ん?どったの?
「バカかお前……。あいや、わかりきったことか。一度頭の方を見てもらった方がいい」
「なにさ!せっかく稼ぎのいい依頼見つけてきたのに!十万だよ!十万!」
「あのな白金。俺達はLv.10かそこらの雑魚だ。そんなやつらがオークに勝てるはずねぇだろ。それも村だと?豚に挽き肉にされるとか笑えねぇっつうの」
えー。行けると思ったんだけどな~。
颯馬がまず村の真ん中に落ちるでしょ?その瞬間に僕が村ごと爆破するみたいな。颯馬の犠牲は僕が生きる上では仕方ないと割り切れるよ。
「やるならこっちだな。ゴブリン村の殲滅」
「え、でも村だよ?」
「オークとではレベルが違う。それに、俺とお前の力をうまく使えば苦労もせんよ」
まぁ、颯馬がそういうならそれでいっか。
いざとなったら無音と気配消しで逃げるとしよう。
「お姉さん、これいってきまーす」
「はい。討伐証明はゴブリンの左耳をお願いします。村殲滅報酬は後日、職員が確認に行きますので、その後お渡しいたします」
「はーい」
では宿の方へ行こう!
宿はなるべくケチりたくないよね。僕らは日本人。ほぼ完璧と呼んでもいいホテルに泊まっていたし、家も有名私立校に入れるとだけあって、なかなかいいところだ。
正直、この世界の基準に合わせられる気がしない。
「あんまり贅沢も言ってられんぞ。日本にいた時ほど金を持ってるわけでもない。寝床があるだけマシだと思えるくらいになんねぇとな」
「あーやっぱりだめ?まぁお金の管理は颯馬に任せるけどさ」
「お前には色々と造ってもらうことになるかもしれない」
「それは任せてよ!僕の特技なんてそのくらいしかないんだから」
もう開き直ってますよ。
僕は幸運と器用さにだけは定評がある。先生方のお情に引っかかったのもこの二つのおかげだ。学校で壊れたものを直したり、時には生徒会や学校からの依頼で物を作ったりしてた。依頼系はさすがに材料代は払ってもらったよ。
颯馬と僕は問題児として登録されているが、退学させられないのはそのへんが理由。
颯馬は学年トップの成績、僕は修理作成。
いやぁ、なにか一つ持っておくと便利だよね。
「でも作るのはいいとしても材料はどうするのさ。さすがに何もなしじゃ何も作れないよ?」
道具類は肌身は離さず持ってたからこの世界に持ち込めたけど、バックは置いてきてしまった。その中にあった材料は全てパーだ。自主制作物だから自前の材料だったのに……高かったんだけどなー。
「そのへんは道具屋で揃えられねぇか?」
「見て見ないとなんとも」
「そうか。宿屋に行ったら道具屋だな」
「りょーかい」
と、いうわけで着きました。宿屋!
どこの宿屋もランク的には変わらなかった。民泊みたいなものらしくて、高級ホテルは早々に諦めたよ。
僕が生活レベルを上げていかないとね。
宿屋名は『癒し亭』。食事処と宿屋を両方運営しているらしく、一階は食事処で二階三階と宿屋になっているそうだ。
トイレは一部屋につき一つあるが、風呂はない。
部屋がほぼ満室で、一室しか泊まれなかった。一応三人部屋なので、二人でそこを使うことに。
僕達がここに決めた理由。それは、看板娘が可愛すぎたからだ。
ははは。惚れちまったよ。てへ。
とりあえず十日。僕達は一室を借りることとなった。
「先払いなんですけど大丈夫ですか?」
「あぁ、構わない。いくらだ?」
「1万8千パルになります」
僕は無限収納(今はポケットと接続)から銀貨2枚を渡し、銅貨2枚を受け取った。
「それでは、こちらが鍵になります。ご飯は一階の方でご用意いたします!」
「別料金か?」
「いえ、お昼以外は込みです。お昼の方は別料金になってしまいます」
「わかった、ありがとうな」
「はい!ごゆっくり!」
賑やかな感じで、周りの人達も真昼間からお酒を飲んでいる。
うーん、冒険者は自由だな~。学生の頃からしたら考えられないよね。
三階の端。料金が一番高いところ。だから空いてたのね。
部屋は簡素なものだが、掃除は完璧のようで、ほこり一つない部屋だ。
ベッドは三つ。右端が僕、左端を颯馬、真ん中は机として使用することに決めた。窓から見える外の景色も悪くない。部屋も広いので、ストレスなく過ごせそうだ。
「白金、道具屋に行くぞ」
うっす。
ベッドでピョンピョンやってたら怒られた。
ここでゆっくりしていたいが、僕の存在価値を示すためにこの部屋で何か作らねばならない。仕方なし、行くとしよう。
「颯馬は何か買うの?」
「一応服とか生活用品程度は買っていこうと思っている。お前は?」
「僕も服と生活用品は必須として、あとは材料を適当に仕入れようかな。木材があれば最高。あとは鉄さえあれば……」
「道具屋に無ければ、探してみるしかねぇわな。この街のどこかにはあるだろ」
「無かったら困るよ」
木を加工したり、機械を作ったりしてる時くらいしか、僕の存在価値なんて無いんだから!
設計図以外の紙を見ただけで僕は毎日意識がなくなってしまうんだ!不思議だよね!だからかな!テストは選択問題以外やる気が起きないんだ!
馬鹿話をしているうちに、道具屋へとたどり着く。
回復薬や日用雑貨、そしてここには!短いけど、木があった!角材に加工済み!最っ高だぜ!
「良かったな、生きる意味が生まれて」
「ひゃっはー!この木!なかなかいい。汚染された空気を吸ってないからか?凄い状態がいいんだけど!まさかとは思うけど先生や生徒会がケチってただけか!?」
「張り切りすぎだろ」
颯馬は落ち着きすぎなんだよ。
ここで10万パル分の生活用品と僕の使う材料を買った。
多分この材料だとパパさんDIYくらいしか出来ないけど、ないよりは遥かにいい。というか、パパさんDIYって凄いんだよ?僕もたまに勉強のために見に行ったりするけど、アイディアが素晴らしいんだよね。少ない材料で必要なものを組み上げる。僕も頑張らないと。
服や材料は僕の無限収納に入れておくことに。
なんか僕使用人みたい……。
門番の人にお金を渡して、入国証を貰って、依頼へ!
ゴブリンの村はそこまで遠くないらしく、僕達が転移してきた場所よりも手前の森だそうだ。
ゴブリン自体は相馬がいうにそこまで強くないらしいからね。レベル上げも兼ねているそうだ。
レベル上がることのメリットとしては、体が軽くなったり、生命力、筋力、耐久力などが上がったり、人によってはレベルが上がることで固有魔法を手に入れることも出来るとか。派生も広がるらしいので、レベル上げの恩恵は凄まじいと言える。
森へと侵入すると、本日二回目のゴブリンを見つける。
「アレは村のゴブリンである可能性が高い。ここで討伐はせず、あとを追うぞ」
「おーけー」
僕と颯馬があとをついていくと、相馬の予想通り、そこにゴブリンの村があった。
ぐぎゃぐぎゃ言ってる。
「作戦通りいくぞ」
「僕のその作戦聞いてないんだけど」
「お前の記憶は鶏か……。」
「・・・?」
「マジで覚えてねぇのかよ」
失敬な。二言三言聞けば思い出せるさ。
「……お前が罠と爆弾を作って、俺がそこに誘導して罠で数を減らす。その後、俺が残党を片付ける。その間にお前は弓の練習。そう言ったろ・・・」
お、思い出した、思い出した。
だからそんなに睨まないでよ颯馬。僕が悪いみたいじゃないか。
「お前が悪いに決まってんだろ。なぜ一時間しか経ってないのに忘れることが出来るんだ」
へー。歩いてる時にそんなこと言ってたんだ。
・・・し、知ってたよ。
「はぁ。もういいから罠と爆弾作ってくれ」
「あ、うん。それならもう作り終わってるよ」
「・・・俺今言ったばっかだよな?本当は覚えてたんじゃねぇか。無駄な時間使わせんな」
「多分爆弾は歩いてる時に作った。罠は今作った」
爆弾は数個作っといた。
これなら、颯馬ごと殺せるね。ははは、これでお金はすべて僕のものだ。
「まぁいい。俺があいつらの注意をひく。お前が合図を出したら、そちらに向かう。頼むぞ」
「了解!」
颯馬がその場からいなくなり、ゴブリン村の真ん中に現れる。
強靭化を使ってから、僕手製の爆弾一つ目を爆破させる。
ーードン!
爆発により、颯馬の近くにいたゴブリンは死亡。あと100匹くらいかな。頑張れ、颯馬!
僕は罠の方をあと二つ作る。
颯馬が誘導にミスって、罠を無駄にした時のことを考えてね。罠の中には爆弾が仕込まれてるから、爆弾くらっても生きてる颯馬くらいしか出来ない荒業だけど、単純で僕にはわかりやすい。
よし、そろそろ・・・
「颯馬!」
合図を出して、こちらにゴブリンを引き寄せる。
神速は使わずに、ゴブリンに合わせてくる。時たま剣が飛んでくるので、それを後ろに目でもあるかのように躱しているが、それすなわち、僕の方に剣が飛んでくるわけで・・・。
危ないです。やめておくれ。
僕の作った落とし穴。
そこを颯馬は飛び越え、僕の隣まで飛んでくる。
ゴブリンは落とし穴に落ちていく。しかし、それだけでは100匹もいれば這い出てきてしまう。なので、敵感知式の矢発射装置を落とし穴に付けておいた。足が見えた瞬間に発射され、その足を的確に撃ち抜いていく。
這い上がれないゴブリンたちだが、残り20匹くらいのところで流石に学んだのか、落ちなくなる。
そろそろいいか。
颯馬に視線を送ると、頷きで返してくれる。
よし、それじゃぁ・・・マシマシ爆弾、起爆。
ーーバァァン!
爆破により、ゴブリンたち約80匹は死亡した。
「あと20匹!さぁ颯馬!蜂のように舞い!蝶のように刺してこい!」
「蝶は何をどうやって刺す気だよ・・・」
颯馬はその場から大砲のように動き、ゴブリンの腕、足を吹き飛ばしていく。
僕も道具屋で買った弓矢を構える。……こういうのって武器屋にあるものだと思ってたけど、そうでもない感じ?
『集中力』
固有魔法を発動させると、全ての感覚が研ぎ澄まされていく。
それとプラスして、なんとなくだけど、ほかの感覚から鋭さを別へと移せるようだ。
今回は聴覚と視覚。そこにほぼ全てを向かわせる。色覚は要らないね。白黒の世界で、ゴブリンの足音、鼓動の音が聞こえる。
僕は狙いを定めて、矢を放つ。
よしきた!ヘッドショット!
その後も二体三体と倒していく。
颯馬よりは討伐速度が遅いけど、役立たずではないだろう!
最後の1匹は颯馬がどのようにして身につけたのか、一度すれ違うだけで52回切り刻んむという謎技術を使って倒して見せた。
なにそれ、かっこよい。
「おつかれ」
「おう。白金も弓には慣れたみたいだな」
「おいおい、僕を誰だと思ってるんだい。僕にかかれば狙撃なんて片手間で出来ることさ」
「はいはい」
僕らは爆破したゴブリン以外の左耳を回収して、帰宅の準備をする。
といっても、罠の回収だけだけどね。矢射出装置。
「案外楽勝だったな」
「そうだね。でも出来れば、魔法使いが欲しいね」
「なんかあったのか?」
「罠が作りやすくなるんだよ。最初の美少女は魔法使いがいいね」
「なるほどな~。回復もこなせる仲間が欲しいな」
仲間ってどうすれば増やせるんだろうか……。
あ、でも男はいらないです。颯馬でさえ邪魔だと思うのに、それ以外の男が来たら僕は泣くぞ。男三人部屋なんて地獄じゃないか。
ゴブリンの耳を回収し終えると、僕達はギルドへ報告に向かった。
20数体分のゴブリンの耳を無限収納に入れてるんだけど、材料に血がつかないか不安なんだよね。
「はい、依頼達成ですね!ゴブリンの耳24の納品を確認いたしました。調査は後日職員が行いますので、殲滅報酬はその後になります」
「おう、ありがとうな」
手に入れたのは銀貨二枚。つまり2万円ね。
それと
「あ、お姉さん!一つ質問いい?」
「はい、いかがいたしましたか?」
「新しい仲間が欲しいんだけど、募集とかって出来ないですかね?」
「出来ますよ。募集内容をお聞きしてもよろしいですか?」
「はい」
これを聞きたかった。
僕はお姉さんから紙を貰って、内容を書くことに。
えっと……。
職業は魔法使い。性別は女性。
これだけでいいかな。紙面上じゃ選り好み出来ないだろうし・・・
「えー。魔法使いの女性ですね。かしこまりました。ギルド内の募集掲示板に貼らせていただきます」
ありがとうございます。
僕らはお姉さんに頭を下げて宿に戻ることとした。ゴブリン村やって、ギルドで色々やって何だかんだでもう日が沈んじゃったよ。
あーお腹減った。
「おかえりなさい。ご飯にいたしますか?」
「ああ、頼む」
昼間何も食べてないからご飯が美味しい。
お坊ちゃん生活をしていたので、腹減りはやばいよ。
僕は肉。颯馬は魚を食べることに。お互いの飯をつっつきあうってのは男同士だからできることだよね。二つ食べれて得した気分だよ。
食べ終えて、部屋に戻ってからベッドでゴロゴロピョンピョンしていると、颯馬が何やら外出の準備を始めた。
「あれ?颯馬どっかいくの?」
「あぁ。この街の図書館に行ってくる。情報が欲しい」
「それなら、ぼくも手伝」
「お前はここでなんか作ってろ。邪魔にしかならん」
「失敬な。寝る場所がここから図書館に変わるだけじゃないか」
「それが邪魔なんだよ。まずお前は字を読めるようになるのに時間がかかるじゃねぇか」
「な!ゴブリン村の殲滅は読めたじゃないか!」
「あれは絵がかいてあったし、俺が読み上げてたろ・・・」
記憶にございません。
・・・そもそも日本語じゃなかったんだ。よく分からない漢字の羅列だと思ってた。
「お前はいいから作業やっとけ。明日も依頼に行くんだからな」
「おっす。わかりやした、兄貴」
「なんのキャラだよ」
どうせ颯馬は僕の意見なんて聞き入れないからね。
それなら僕の得意分野であっと言わせてやるぜ。
颯馬はそのまま宿を出ていって、僕は手に入れた木材を取り出した。
さてさて、何を作ってくれようか。
0
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ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
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