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:目標を探してみましょう
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明日旅立つと言った後のギルド酒場内はざわついていた。
しかもいままで話していた5人以外の人たちも驚いていたから、むしろ私の方がびっくりした。
いや、だって2か月も何もなく過ごしていたらもうやることないし。
生産も錬金も嫌ってくらい時間はあったから消耗品とか料理のストックも売り捌きたい位ある。
クエストも生活に必要最低限なのを受けながら生活してたから貯金も増えた。
あれ、前にも増してニート生活しても問題ないじゃん?
さすがに廃人みたいな生活はもう勘弁だけど。
5人共びっくりして何も言わないけど、その中でもライは呆然って感じだな。
「冒険者ならまた会えると思うし。寄り道すると思うけど私は王都に向かうから、また会おうね? 」
皆フレンド登録にしといたから行先はわかるし、私が会いに行こうと思えば転送石とか使って会いに行けるしね。
まあ、向こうは連絡をとる手立てがないからこの反応は仕方ないか。
チャットみたいに意思疎通ができる機能があれば便利だけど、選択は出来るが何故か使えないみたいだった。
元々ボス戦の周回とか野良パーティに入る時なんかにしか使わないから、チャットについてはあまり詳しく無いんだけども。
……別に悲しくないもんね。
残念ながらこの世界には遠距離で連絡を取り合う携帯電話みたいなものも普及していないみたいだ。
でも各ギルドとかに王都からのお知らせみたいな掲示板もあるから、もしかしたら意思疎通を図る方法があるかもしれない。
ここから王都に行くまでにはあと4つくらい街を通過するから人伝だと割と距離はあるし。
あ、でももしかしたら一々転送石を使って伝えに来る人がいるのかな?
それなら転送石の価格自体がもっと高騰しそうだけど。
公式で載ってた内容以外はまだまだよくわかんないことが多いな。
「……メグル、俺絶対すごいシーフになるから! そしたら今度は弟子にして! 」
「いや、そんな冒険者になったら僕の弟子にならなくていいでしょ」
「うっ、じゃあメグルと一緒に冒険に連れて行って! 」
そういえばエドも同じようなことを言っていたな。
ふと【セドルの街】でお別れしたエドのことを思い出した。元気にしてるかな?
「じゃあ、ライがすごいシーフになってたら一緒に冒険しよう? その時に今回トムに払う分の報酬は出世払いしてもらうよ。ちなみに僕、意外と強いみたいだから特訓頑張ってね? 」
さすがに今回のトムへの報酬をそのままにすると、今後のライのためにも良くない気がするからしっかりと出世払いしてもらおう。
ライの事だからそれもあって余計に訓練を頑張ると思うし、ちょっとした目標にもなるだろう。
「っ! うん!絶対強くなるから! すぐにトムさんを追い越して、まずは一人前のシーフになる! メグルへの借りはその時返す」
「……言ってくれるねぇ。簡単には超えさせてあげないから~」
うん。立派な心構えだね。なんかトムが静かにメラメラしてるけど。
何事にも我関せずな感じがしてたけど、ちょっとライに触発されたかな?
ペルは横で僕も! って言ってるけど聞かなかったことにしとこう。
このパーティーはそのままでいて欲しいし。
しばらく騒いでいたが、4人共今日はまだクエストを受けていなかったため出掛けるということになり、ライはトムから早速技術を習うべく付いていった。
先にトムに報酬分の料理をアイテムポーチから出して次々渡しておく。
ランク別で分かれてはいるけど、同じアイテムは99個まで仕舞えるし、【セドルの街】を出る前に大量に作ったべアールのシチュー諸々。調理用に作った自家製のパンは3セットはあるし、お試しに作ったサンドイッチも一緒に入れてと。
2ヶ月間で【サトゥの街】周辺のモンスター料理も結構作ったし、まだ売ってなくて良かった。
あ、マムイパイは皆が味見できる位しかないな…。ま、いっか。
マイクと張ってよく食べてたから1人で食べる3ヶ月分にしては少し多めに。
流石にいくらトムが大食いでも足りるだろう。
……え、足りるよね?
前のトムの食べっぷりを思い出して、気持ちもう少し追加しといた。
ライを見るのは約1ヶ月の間だから最悪、その間だけでもクエストを受けずに食事が取れる様にしとかないと。
大分アイテムポーチのリストが寂しくなったけど、私は材料さえあればその場でいつでも作れるしね。
トムのアイテムポーチだけだと割と枠を取られるため、魔力量の多いルーイのアイテムポーチにも入れることになった。
被っている料理があるから枠は少なめで済んだけど、私1人なら軽く半年は料理をしなくても良いくらいの量だった。
流石に多すぎたかな?
皆が一緒にクエストをって言ってくれたが、用事があると行って遠慮させてもらった。
……さて、やり残したことをやってきますか。
みんなと別れて私が酒場を出て向かったのは街外れにある教会。
さすがに昼過ぎのこの時間には目を覚ましていてもおかしくないだろう。
「こんにちは~」
「おや、メグル君いらっしゃい」
ガタガタッ、ドスッ「ーっ!! 」
あぁ…もう起きてるみたいだね。
神父さんが私に声をかけてくれると、奥の方から物音となにか鈍く落ちたような音がした。
大方、私の名前を聞いて動揺してベットから落ちたのかな?
そりゃ、あんな事した相手の名前は嫌でも覚えるよね。しかも物凄い怖がってたし。
失礼します。と神父さんに声を掛けて奥のベッドが置いてある部屋に入る。
ベッドの奥の壁の片隅でシーツに包まっている物体がある。
間違いなくラルクだった。
被っているシーツはこちらから見ても震えているように見える。
他に休憩している人はいないようで良かった。
もしかしたらパニックを起こして騒がしくなるかも知れないし。
「ラルク、調子はどう? まだどこか痛む? 」
「…………」
私の言葉にビクッと体が跳ねたものの、声は発さずにいた。
丸まって部屋の隅で小さくなっていたラルクは私の声を聞いて先ほどよりもさらに小さくなったような気がする。
「まどろっこしいのは面倒くさいし、単刀直入に言うけど君はゲームプレイヤーだろ? 」
そう言うや否やシーツを被ったままやすごい勢いでこっちを見た。
「え? あんた俺のことが分かるの? 」
未だ怯えた色を見せる青い瞳はそれでも真っ直ぐと私に向けられていた。
「僕もゲームプレイヤーだったからね」
予想もしていなかった言葉に驚愕したのか目を大きく見開いている。
まるで今聞いた事が理解できない言葉だったかのように。
多分これが普通の反応何だろう。
ラルクがゲームプレイヤーと勘付いた時の私は意外と冷静だったのは、できればこの人と一緒でありたくないという否定的な気持ちの方が大きかったからだろうか。
同じ境遇と知れて嬉しさや仲間意識が働く筈が関わりたくない気持ちの方が強かったし。
決闘後もあんな態度が治っていなかったらそのまま放って置こうかとも考えていたが、どうやら大分おとなしくなったみたいだ。
今のラルクはまるで小動物のようだし。
私が一言発する度にどう出るのかこちらの様子を窺っている。
この様子を見たら本当はとても臆病で慎重派かも知れないという考えも浮かんでくる。
これなら大丈夫そうかな?
「……という訳で僕と一緒に冒険しない? 」
何の脈絡もなく、敢えて説明を全てをすっ飛ばしてストレートに言ってみた。
まるで何事も無かったかのように。
私の言葉にこれ以上ないと思っていたラルクの目が更に見開いた。
しかもいままで話していた5人以外の人たちも驚いていたから、むしろ私の方がびっくりした。
いや、だって2か月も何もなく過ごしていたらもうやることないし。
生産も錬金も嫌ってくらい時間はあったから消耗品とか料理のストックも売り捌きたい位ある。
クエストも生活に必要最低限なのを受けながら生活してたから貯金も増えた。
あれ、前にも増してニート生活しても問題ないじゃん?
さすがに廃人みたいな生活はもう勘弁だけど。
5人共びっくりして何も言わないけど、その中でもライは呆然って感じだな。
「冒険者ならまた会えると思うし。寄り道すると思うけど私は王都に向かうから、また会おうね? 」
皆フレンド登録にしといたから行先はわかるし、私が会いに行こうと思えば転送石とか使って会いに行けるしね。
まあ、向こうは連絡をとる手立てがないからこの反応は仕方ないか。
チャットみたいに意思疎通ができる機能があれば便利だけど、選択は出来るが何故か使えないみたいだった。
元々ボス戦の周回とか野良パーティに入る時なんかにしか使わないから、チャットについてはあまり詳しく無いんだけども。
……別に悲しくないもんね。
残念ながらこの世界には遠距離で連絡を取り合う携帯電話みたいなものも普及していないみたいだ。
でも各ギルドとかに王都からのお知らせみたいな掲示板もあるから、もしかしたら意思疎通を図る方法があるかもしれない。
ここから王都に行くまでにはあと4つくらい街を通過するから人伝だと割と距離はあるし。
あ、でももしかしたら一々転送石を使って伝えに来る人がいるのかな?
それなら転送石の価格自体がもっと高騰しそうだけど。
公式で載ってた内容以外はまだまだよくわかんないことが多いな。
「……メグル、俺絶対すごいシーフになるから! そしたら今度は弟子にして! 」
「いや、そんな冒険者になったら僕の弟子にならなくていいでしょ」
「うっ、じゃあメグルと一緒に冒険に連れて行って! 」
そういえばエドも同じようなことを言っていたな。
ふと【セドルの街】でお別れしたエドのことを思い出した。元気にしてるかな?
「じゃあ、ライがすごいシーフになってたら一緒に冒険しよう? その時に今回トムに払う分の報酬は出世払いしてもらうよ。ちなみに僕、意外と強いみたいだから特訓頑張ってね? 」
さすがに今回のトムへの報酬をそのままにすると、今後のライのためにも良くない気がするからしっかりと出世払いしてもらおう。
ライの事だからそれもあって余計に訓練を頑張ると思うし、ちょっとした目標にもなるだろう。
「っ! うん!絶対強くなるから! すぐにトムさんを追い越して、まずは一人前のシーフになる! メグルへの借りはその時返す」
「……言ってくれるねぇ。簡単には超えさせてあげないから~」
うん。立派な心構えだね。なんかトムが静かにメラメラしてるけど。
何事にも我関せずな感じがしてたけど、ちょっとライに触発されたかな?
ペルは横で僕も! って言ってるけど聞かなかったことにしとこう。
このパーティーはそのままでいて欲しいし。
しばらく騒いでいたが、4人共今日はまだクエストを受けていなかったため出掛けるということになり、ライはトムから早速技術を習うべく付いていった。
先にトムに報酬分の料理をアイテムポーチから出して次々渡しておく。
ランク別で分かれてはいるけど、同じアイテムは99個まで仕舞えるし、【セドルの街】を出る前に大量に作ったべアールのシチュー諸々。調理用に作った自家製のパンは3セットはあるし、お試しに作ったサンドイッチも一緒に入れてと。
2ヶ月間で【サトゥの街】周辺のモンスター料理も結構作ったし、まだ売ってなくて良かった。
あ、マムイパイは皆が味見できる位しかないな…。ま、いっか。
マイクと張ってよく食べてたから1人で食べる3ヶ月分にしては少し多めに。
流石にいくらトムが大食いでも足りるだろう。
……え、足りるよね?
前のトムの食べっぷりを思い出して、気持ちもう少し追加しといた。
ライを見るのは約1ヶ月の間だから最悪、その間だけでもクエストを受けずに食事が取れる様にしとかないと。
大分アイテムポーチのリストが寂しくなったけど、私は材料さえあればその場でいつでも作れるしね。
トムのアイテムポーチだけだと割と枠を取られるため、魔力量の多いルーイのアイテムポーチにも入れることになった。
被っている料理があるから枠は少なめで済んだけど、私1人なら軽く半年は料理をしなくても良いくらいの量だった。
流石に多すぎたかな?
皆が一緒にクエストをって言ってくれたが、用事があると行って遠慮させてもらった。
……さて、やり残したことをやってきますか。
みんなと別れて私が酒場を出て向かったのは街外れにある教会。
さすがに昼過ぎのこの時間には目を覚ましていてもおかしくないだろう。
「こんにちは~」
「おや、メグル君いらっしゃい」
ガタガタッ、ドスッ「ーっ!! 」
あぁ…もう起きてるみたいだね。
神父さんが私に声をかけてくれると、奥の方から物音となにか鈍く落ちたような音がした。
大方、私の名前を聞いて動揺してベットから落ちたのかな?
そりゃ、あんな事した相手の名前は嫌でも覚えるよね。しかも物凄い怖がってたし。
失礼します。と神父さんに声を掛けて奥のベッドが置いてある部屋に入る。
ベッドの奥の壁の片隅でシーツに包まっている物体がある。
間違いなくラルクだった。
被っているシーツはこちらから見ても震えているように見える。
他に休憩している人はいないようで良かった。
もしかしたらパニックを起こして騒がしくなるかも知れないし。
「ラルク、調子はどう? まだどこか痛む? 」
「…………」
私の言葉にビクッと体が跳ねたものの、声は発さずにいた。
丸まって部屋の隅で小さくなっていたラルクは私の声を聞いて先ほどよりもさらに小さくなったような気がする。
「まどろっこしいのは面倒くさいし、単刀直入に言うけど君はゲームプレイヤーだろ? 」
そう言うや否やシーツを被ったままやすごい勢いでこっちを見た。
「え? あんた俺のことが分かるの? 」
未だ怯えた色を見せる青い瞳はそれでも真っ直ぐと私に向けられていた。
「僕もゲームプレイヤーだったからね」
予想もしていなかった言葉に驚愕したのか目を大きく見開いている。
まるで今聞いた事が理解できない言葉だったかのように。
多分これが普通の反応何だろう。
ラルクがゲームプレイヤーと勘付いた時の私は意外と冷静だったのは、できればこの人と一緒でありたくないという否定的な気持ちの方が大きかったからだろうか。
同じ境遇と知れて嬉しさや仲間意識が働く筈が関わりたくない気持ちの方が強かったし。
決闘後もあんな態度が治っていなかったらそのまま放って置こうかとも考えていたが、どうやら大分おとなしくなったみたいだ。
今のラルクはまるで小動物のようだし。
私が一言発する度にどう出るのかこちらの様子を窺っている。
この様子を見たら本当はとても臆病で慎重派かも知れないという考えも浮かんでくる。
これなら大丈夫そうかな?
「……という訳で僕と一緒に冒険しない? 」
何の脈絡もなく、敢えて説明を全てをすっ飛ばしてストレートに言ってみた。
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