いや、一応苦労してますけども。

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:旅は道連れにしてみましょう

57:(とある転生者ラルクの話)

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[とある転生者ラルクの話]


昔から運動は苦手だった。
走ったら何もないとこでコケるし、運動会や体育祭は先頭で引き継いでも後ろから追い越される。
ボールを投げたら変なところに飛んでいくし、ドリブルはボールに置いていかれたり、長距離走も下から数えたほうが断然早かったし、プールでは必死に泳いでいると先生に溺れていると勘違いされた。
周りから揶揄われる体育の時間が小さい頃は憂鬱だった。

子供の時って大体クラスの女子にモテるのは顔が良いやつや運動ができるやつ、身長が高いやつばっかりで、好きになった子達はその条件を満たす男子が好きな子ばっかりだった。


勉強はそこそこだったけど、運動音痴で身長は前から数えた方が早いし、顔は良くも悪くも普通。
年齢を重ねるごとに段々と開き直ってきてそれをネタにすることはあったけどずっとコンプレックスだった。

大学に入っても170㎝に満たない身長でおちゃらけキャラとして定着していた俺は、周りに馴染んでそこそこに大学生活を楽しみながらもサークルなどにも入らずにバイトに明け暮れていた。
一生懸命に取り組むような趣味もなく適当に大学生活を終えたら内定もらえたとこに就職しようなんて考えてて、暇のあるうちにある程度の貯金を蓄えようとしていた。
貯金したからって特に使う目的もないんだけどさ。


そんな時に新しいVRMMOが発売されたとネットニュースで見た。

”現実とは違うもう一つのリアルな世界”という言葉に興味が沸いた。
今までも格闘技ゲームやオンラインゲームはやっていたけど、スマホでできるような無料のやつばかり。
テレビに繋いでするような本格的なやつはやったことがなかった。

始めは別にただのゲームだし、なんて思って気にしてなかった。
でも時間が経つにつれて現実とは違う自分、もう一つの世界という言葉に惹かれている自分がいる。
思い立った時には休みの日に貯めていたバイト代で思い切って買ってみた。



結果はものすごくハマった!

キャラメイクの時点でなりたい自分にできて身長や声まで設定できてしまう。
しかも説明書を読むとNPCとのデート機能まであるという。

女キャラにして好みの女の子に装備で自由に着せ替えもありかと思ったけど、NPCとのデート機能があるなら断然男キャラにするべきだろう。

せめてゲームの中ではイケメンにして楽しむのもありだ。
他のゲームプレイヤーとの絡みもあるかもしれないし。

初心者だったけど自由度が高くて、モンスターとの戦闘をしないでも十分楽しめる内容だった。
チャットを通して色んな人達と話したり、暇つぶしにクエストをしたり、可愛い女の子キャラ達とデートしたりとゲーム生活を満喫していた。


それが変わったのがゲームを初めて半年くらい経ち誕生日を迎える前日だった。

数日前にやっと見た目がかっこいいと評判が高いウライルの装備を作るため、野良パーティーで高レベルのプレイヤーに助けてもらいながらなんとか倒して素材を集められた。
ウライルを倒すためにレベル上げも頑張ったし、装備も完成して着た時には苦労して手に入れた甲斐があったと大満足だった。

その日も誕生日前日にも関わらず夜遅くまで居酒屋のバイトをしていて、気づけばいつの間にか日付が変わっていた。
店長に1カットのケーキ2つとお祝いの言葉を貰って帰宅して、へとへとになりながらもオンラインゲームをしようかと悩んでいた。

あー、明日は土曜日で大学も休みだし、バイトも休みだ。
一日中でもゲームできるしいいかー。って言ってももう今日だけど。


ふわふわとした意識はゲームの電源を入れたまま布団に寝転がるとそうそうにブラックアウトした。




次に目が覚めた時にはそこは森の中だった。

「え? なんだこれ…って、声が!? 」

見慣れない木が鬱蒼と茂っていて、建物は全然見当たらない。
てか、俺の声じゃない。誰だこのイケメンボイス。

キョロキョロと首を回してもなんとなく違和感。
首筋を触ろうと手を挙げるとスカッと空振りする。
なんだこれ?

立ってみようとするがうまく立てない。なんか竹馬みたいに足がプルプルする。
それよりもこの長い脚は俺のものなのか?

ようやく立つ事ができて歩こうとするがなかなかうまくいかない。
てか、内腿に力を入れないとバランスがとれない。自然と足は内股になっていてダサい。
顔を上げていつもより地面から高い視線に驚いた。


身に着けているものも……、え? ウライルの防具?
しかもこの落ちてる剣ってオンゲ―のイベントで前に手に入れたやつ!!

もしかしてこれはオンゲーの中なのか!?

何度も夢見た。
もしゲームの中ならどれだけいいだろうかって。

「いや、これは夢だな」

試しに頬っぺたを抓ってみるがちょっと痛い?
でもまだ分からない。
地面の感触とか、日の当たる暖かい感じとか夢にしてはものすごく現実的リアル

まずはここがどこなのかが問題だ。
キョロキョロと辺りを見渡すが俺がいる場所は少し拓けているが、周りは特に木以外には何もない。
昔、母方のじいちゃん家に行った時にみた雑木林みたいな感じで背の高い木が生い茂っている。

「……」

ふと地面に落ちている剣を見る。
刃渡り1m以上ある幅広の両手剣。
刀身も若干赤く光っていて握りの部分も細かい装飾が施されている。

もう一度周りを見渡すが特に人は見あたらない。
これはやるっきゃないでしょ。

重たそうに見えた両手剣は意外とすんなり持ち上げることができた。
一度はやってみたかったんだよな。
剣を軽々振り回すとかなんかかっこよくね?

「よっと……、おっ、危なっ! 」

持ち上げた剣にぼんやりと映る自分の姿は想像していた通り、ゲームキャラのような?
明らかに自分のものとは違う髪や目の色だった。
19年間慣れ親しんで来た顔とおさらばしたのは少し寂しいが段々見慣れるだろう。イケメン万歳。

持ち上げていた剣でそのまま素振りをしてみる。
なんとか剣は振れるものの片手では重たいし、両手でも振った勢いで重心が定まらない。

あ、でもなんか今までより体が軽いし、動きが良い気がする。
だって今までだったらこんな重そうな剣を持つことも出来なかったし、持ち上げて振った瞬間に絶対コケる。
冗談じゃなくてマジのやつで。

動けば動くほど少しずつ体が慣れてくるのがわかる。
もしかして俺最強? 夢だかゲームだかわかんないけど気持ちいいー!


ヴゥヴヴヴゥッーーーー

「え? ウルフ!?」

夢中になって素振りをしていると後ろから見慣れたゲームの中のウルフ2匹が威嚇していた。
ゲーム開始時の【セドルの街】付近から広範囲に渡って出現するモンスター。
Lv.50を超えた今では全然敵にはならないが、初めのころは何度も素早いウルフに攻撃が当たらずやきもきしたものだ。

ヴゥワウッ!!

しばらく見ているといきなりウルフが攻撃してきた。

「え!? ちょっ、マジ止めて!! ……ッ!!」

思わず避けるとそのまま地面に転がる。
間一髪で避けたと思ったら、あと1匹が突進してきた。

体に感じる衝撃に本能的にまずいと思った。
もしかしたら夢ではなくゲームの世界にでも入り込んだじゃないか?

だったらこの痛みもダメージを受けたってことになる。
だんだん混乱してきた。
いまが一体何なのか、現実なのか、夢なのか。

ゲームだとしたら倒されると教会にデスペナ付きで死に戻り。
もし復活できなかったら……?


でもゲームの中なら俺は最強だ。
なんせLv.53あるし、イベントで手に入れた両手剣も攻撃力アップの付与が付いている。
苦労して手に入れたウライルの防具もなかなかの防御力だし。

ウルフなんて精々Lv.15ない位だし余裕だ。

「うらあ! 雑魚共め!! 」

襲い掛かってくるウルフに両手剣を振るがさっと躱されてしまう。
それでも当たれば一発で即死するような攻撃力には間違いない。

それからは必死だった。
近づいてくるウルフに剣を振って、攻撃して来たら身を躱して避けて距離を取る。

いままでの自分では考えられないくらい、体が良く動いていた。
いまの俺最強じゃん。

「うらぁっ!! 」

剣がやっと最後の1匹にあたりウルフが両断される。
手に感じる感触はすごくリアルで切られたウルフも血をまき散らして倒れた。
ゲームとは違ってモンスターが消滅して、素材がバックに入ってるって事は無い。

辺りに一瞬にして血の匂いが広がる。
匂いまでもこんなに感じるものなんだな。


「ふう! 俺ってやっぱ強いな! 」

落ち着いてみると手に残る感触とか、血の匂いに気分が悪くなりそう。
いまもさっきまでの感触や恐怖心に手が若干震えている。

……でもそんな事よりも今は爽快な気分だった。
きっと俺はゲームの中にでも入り込んだんだろう。

前に異世界転生した主人公の漫画を友達に見せてもらったことがある。

チートな能力を神様とかに貰って、異世界に勇者として召喚。
仲間はタイプが違う美女や美少女ばっかりでみんなからモテモテ。
苦戦しながらも魔王を倒して王女様と結婚。

都合の良いストーリーってのは分かるけど、俺もできる事ならそうなりたいと思いながら読んでいた。
今がそういう時なんじゃないか。

レベルも高くて、イケメンで、言うことなしの体と運動神経。
ある意味自分が理想としていた世界じゃないか。

そのうち元に戻ると思うし、今はこれゲームの中を楽しむべきだろう。


「あ、あの!! 」

「ん? 何だお前? 」

これからについて妄想していると木陰から小学生くらいの男の子が飛び出してきた。
この年齢からも分かるくらい将来有望な美少年。

NPCだよな? なんかのイベント?

その後ろには爽やか系のイケメン。
前はものすごくコンプレックスを感じるところだけど、いまは別段何も感じない。
さっき剣に映った姿を見た時にはゲームキャラのまんまっぽかったから早く自分の姿をちゃんと鏡で見てみたいところだ。

若干俺に対する視線が冷ややかな気がするがイケメンな俺に嫉妬でもしているんだろうか。

「ぼ、僕を弟子にしてください!! 」

「はあ!? 」

男の子の言葉に後ろの男が思わずと声を上げた。

いきなり出てきて弟子?
てか、なんなんだこの2人?

きっとこれも何かのイベントなんだろうか。
この誘いに乗って村を助けたりすると、腕を見込まれて勇者としてストーリーがスタートする的な?

何が始まるかわからないが、この世界の主人公は間違いなく俺だろう。


今日から俺が主人公のニューゲームだ。


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感想 16

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みんなの感想(16件)

yoshi
2018.08.31 yoshi

お久しぶりです!
新章の更新話読ませていただきました。めちゃ好きです(語彙力)
更新が止まっているようなので少し心配です。主人公くんが思うままに過ごしていく非日常を楽しみにしているので、まだ暑い日が続きますがお体にお気を付けて頑張ってください。
気長に待っています。

解除
yoshi
2018.02.12 yoshi

はじめまして、こんにちは。
ゲーム関連での小説を探していたら、此処に辿り着きました。はじめは正直、嗚呼…良くある中身女の転生話か…、と思っていたのですが、気になって試しに読んでみると、女だからと言ってただただ女々しいだけでなく、男キャラだからといって無駄に格好つけているわけでもなく、あくまで自然体な主人公さんがとても良いと感じました。
話自体も全て読ませていただき、主人公自身の心の変化や、此処の世界の人々…いわゆるゲーム時代のNPC…の存在、また、その彼らとの関わりなど、とても細やかに穏やかに丁寧に優しく、そして自然に描かれていて、表現、登場人物の個性、物語の展開の仕方等、とても好きだと思いました。
現在の最新話では、お?という新たな波乱…もとい新展開が期待されます。とてもとても楽しみにしています。
…作者様に対してのプレッシャーや、また、作品自体に影響の与えるようなコメントはしないよう気を付けていますが、…作品の今後の展開が本当楽しみで仕方が無いんです、すみません…。
お身体に無理のないよう、作者様の思うままの作品を、主人公の物語を、綴っていただけたらと思います。
長々と長文を失礼しました。

2018.02.20 GURA

ご感想頂きありがとうございます。

こんなに長文で作品への感想を頂きありがとうございます。身に余る言葉ばかりで恐縮ですがとても励みになりました…。

TS転生ものは読む前から好き嫌いが分かれるかと思いますが気になって読んで下さり、お楽しみ頂けたのであれば嬉しいです。

これからも《いや、一応苦労してますけども。》をよろしくお願い致します。

解除
結花
2018.01.25 結花
ネタバレ含む
2018.01.25 GURA

結花様、ご感想頂きありがとうございます。

実は一気に渡す方法あるんです。
現代日本にも欲しいセキュリティばっちりのアイテムポーチですね。

序盤にもあったように、アイテムポーチってかなり便利なんです。
どの位の食料をあげたのかは、食事を共にしたメグル主観なので不明ですが(笑)

実は明日公開予定の話にその辺りもちょろっとだけ書いてるので、また公開を楽しみにして頂けると嬉しいです。

これからも《いや、一応苦労してますけども。》をよろしくお願いします。

解除

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