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:旅は道連れにしてみましょう
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私がこの世界に来る前の事、この世界に来てからの事を話すと、「メグルさんも苦労してたんですね……」と言われた。
マイペースなのは自覚あるし、気を張ってはいたけど私の話をした後からラルクは少し元気が出たようだった。
今までの不安だった気持ちや今日のような事を経験したのは自分だけじゃないと思ったからだろうか。
「女性キャラの装備はかなりエロいですからね」
一通り話した後、振り出しに戻ってなんで男キャラにしてたのか話していたらラルクも納得はしたようだった。
なんならラルクも毎日見るからって女性キャラにしようとしたらしいが、NPCとのデート機能を使うために結局は男性キャラにしたと。
そこは初めから全くぶれないな。
「ちなみにメグルさんの恋愛対象は……」
「普通に男。……だけど、いまはねー」
生きていくのに必死だし。
こんな状態だし?
元の世界では彼氏も居たけど、長くは続かないことが多かった。
残念ながら恋に恋するタイプではないし、元々人を恋愛的な好きになりにくいみたいで友達が「この人がいないと死んじゃう! 」みたいな事を言ってる時に「へー」って聞いているようなタイプだった。
これで私が恋愛体質ならこのキャラでこの世界は辛かったかもしれない。
なんせイケメンと美人いっぱいだし。
しかもみんな性格も良くて本当に親切な人たちばかり。
冒険者として生きているから強いし言う事はないだろう。
「こんなにイケメンで男前なメグルさんが女の人……」
「今は男だけどね。他の人は知らないけど」
「!! じゃあ、俺とメグルさんだけの秘密ですね」
ニコッと笑うラルクは秘密事ができて嬉しい様子でニコニコしている。
私としては女に見えないなんてなんとも複雑な心境だ。
別に話してもいいんだけど、【サトゥの街】でラルクがゲームに関しての話をしたときにライや他の人達が分からなかったように、キャラや元の世界と言ってもこの世界の人達には通じない。
それはこの世界の当たり前ではないからだろうか。
「さて、夜も更けてきたことだし、そろそろ寝ようか」
気づけば結構な時間が経っていた。
明日もあるし、今日はこの辺で終わることにする。
テントの中に入りいつも通りに寝袋に寝ようとすると、何故かラルクが落ち着かない様子だった。
「えっと、一緒に寝るんですか……? 」
「ん? 今更? 」
テントの中は快適に過ごせるように大人4,5人が寝れるくらい大きさにしている。
私は特に寝相が悪いわけでもないし、端の方に寝ていると寝相の悪いラルクにもいままで一度もぶつかったことはない。
まあ、10代だしね。
私の中身が女と知った今、多感なこの時期には何か考えるものがあるんだろうか。
って言っても体は男だし、いままでも普通だったのだから今更意識するのもだと思うけど。
「何を緊張しているのかわかんないけど、僕はいま男だからね。ラルクが男が好きだっていうなら対策は色々取らせてもらうけど」
そうなったら使用回数が勿体ないけどテントは別々にするし、防御系魔法とか魔法陣アイテムなんかを使って侵入できないようにする。
さすがにこの体で襲われるとか冗談じゃないし。
だからと言って女だから良いという訳でもないけど、現状ではパワー以外ではラルクに勝っているし襲おうとするなら返り討ちにできる自信はある。
さっきから聞いていたらラルクは根っからの女好きみたいだし、そんな心配はないとはわかっている。
私も今は自分が男だという自覚が少しずつ出てきてるし、これから先も一緒に旅するからにはこれは慣れてもらわないと困るしね。
わざと意地悪な言い方をしてみた。
「いや、そんなことはないです! 女の子大好きです!! 」
「ん。知ってる。気持ちが落ち着かないなら隣でパンツ一枚で寝てようか? 」
「それは色んな意味で止めて下さい」
冗談交じりで提案すると一蹴された。
下着一枚だったら嫌でも自覚するだろうし、例えイケメンであっても男2人ではむさ苦しいのには変わらないだろう。
「はい、じゃあもう寝るよー。おやすみ」
「……おやすみなさい」
毛布を被りゴロンと横になる。
ラルクにとっては色々と濃い一日だったと思うけど、これくらい軽口を叩けるなら大丈夫だろうか。
私がモンスターとの戦闘を克服するためには戦闘をより多くこなす方が早いかと思ってしてたけど、それは明日のラルクの様子を見て判断しよう。
実際にモンスターを目の前にして手に残る感覚だとか、血の匂いとか、モンスターに襲われる恐怖とかが出てくるかもしれない。
覚悟はある程度できたみたいだし、自己防衛できるくらいの戦闘技術が身に着くまではペースを合わせて戦闘訓練を重ねないと。
次の【ドゥアの街】に行くには【泉の洞窟】を抜けないといけない。
山を越えても行けるけど越えるとなるとモンスターのレベルも上がるし、ボスモンスターに遭遇する確率が高くなる。
その分街への移動は早くなるけどそれもほとんど変わりはないと言える。
この先の山、【ヒジャウの山】のボスモンスターはマントヒヒみたいなやつで素早い上に知能も高いから弱い奴から狙ってくるという特性がある。
前にゲームで野良パーティーで挑んだ時に周りにあるものを後衛に投げて遠距離攻撃してきたり、体力が減ってくると仲間を呼んで集団で攻撃したりと面倒くさいことをされたのを思い出す。
その時はヒーラーがまだLv.30くらいの人だったから後衛の回復役がすぐに戦闘不能になってたな。
レベルは44だったからそこまで強敵ではないけど、やっと一歩を踏み出せた初心者のラルクがいる以上は無理はしないでいいだろう。
ここは本当に何が起こるかわかんないし。安全第一です。
洞窟自体は外に比べたら薄暗いものの、周りの鉱石が発光しているため【雨岩の洞窟】に比べても明るくなっている。
グラフィックで見た時に洞窟の中央辺りには泉があって神秘的な空間になっていた。
この世界で実際に見てみたいと思って楽しみにしていたフィールドの一つだ。
モンスターのレベルも確かLv.30未満だったから山越えに比べたらマシなもんだろう。
ただ、洞窟の中はさほど広くないからモンスターとの連戦になる事も考えられる。
戦うことを躊躇してしまったり、判断が鈍ってしまうと数にやられる可能性もある。
私も全力でフォローするつもりではあるが、自己防衛できるくらいの力量は最低でも必要だと思う。
明日からも頑張ってもらわないと。
今後のルートを考えながらいつの間にか眠りについていた。
マイペースなのは自覚あるし、気を張ってはいたけど私の話をした後からラルクは少し元気が出たようだった。
今までの不安だった気持ちや今日のような事を経験したのは自分だけじゃないと思ったからだろうか。
「女性キャラの装備はかなりエロいですからね」
一通り話した後、振り出しに戻ってなんで男キャラにしてたのか話していたらラルクも納得はしたようだった。
なんならラルクも毎日見るからって女性キャラにしようとしたらしいが、NPCとのデート機能を使うために結局は男性キャラにしたと。
そこは初めから全くぶれないな。
「ちなみにメグルさんの恋愛対象は……」
「普通に男。……だけど、いまはねー」
生きていくのに必死だし。
こんな状態だし?
元の世界では彼氏も居たけど、長くは続かないことが多かった。
残念ながら恋に恋するタイプではないし、元々人を恋愛的な好きになりにくいみたいで友達が「この人がいないと死んじゃう! 」みたいな事を言ってる時に「へー」って聞いているようなタイプだった。
これで私が恋愛体質ならこのキャラでこの世界は辛かったかもしれない。
なんせイケメンと美人いっぱいだし。
しかもみんな性格も良くて本当に親切な人たちばかり。
冒険者として生きているから強いし言う事はないだろう。
「こんなにイケメンで男前なメグルさんが女の人……」
「今は男だけどね。他の人は知らないけど」
「!! じゃあ、俺とメグルさんだけの秘密ですね」
ニコッと笑うラルクは秘密事ができて嬉しい様子でニコニコしている。
私としては女に見えないなんてなんとも複雑な心境だ。
別に話してもいいんだけど、【サトゥの街】でラルクがゲームに関しての話をしたときにライや他の人達が分からなかったように、キャラや元の世界と言ってもこの世界の人達には通じない。
それはこの世界の当たり前ではないからだろうか。
「さて、夜も更けてきたことだし、そろそろ寝ようか」
気づけば結構な時間が経っていた。
明日もあるし、今日はこの辺で終わることにする。
テントの中に入りいつも通りに寝袋に寝ようとすると、何故かラルクが落ち着かない様子だった。
「えっと、一緒に寝るんですか……? 」
「ん? 今更? 」
テントの中は快適に過ごせるように大人4,5人が寝れるくらい大きさにしている。
私は特に寝相が悪いわけでもないし、端の方に寝ていると寝相の悪いラルクにもいままで一度もぶつかったことはない。
まあ、10代だしね。
私の中身が女と知った今、多感なこの時期には何か考えるものがあるんだろうか。
って言っても体は男だし、いままでも普通だったのだから今更意識するのもだと思うけど。
「何を緊張しているのかわかんないけど、僕はいま男だからね。ラルクが男が好きだっていうなら対策は色々取らせてもらうけど」
そうなったら使用回数が勿体ないけどテントは別々にするし、防御系魔法とか魔法陣アイテムなんかを使って侵入できないようにする。
さすがにこの体で襲われるとか冗談じゃないし。
だからと言って女だから良いという訳でもないけど、現状ではパワー以外ではラルクに勝っているし襲おうとするなら返り討ちにできる自信はある。
さっきから聞いていたらラルクは根っからの女好きみたいだし、そんな心配はないとはわかっている。
私も今は自分が男だという自覚が少しずつ出てきてるし、これから先も一緒に旅するからにはこれは慣れてもらわないと困るしね。
わざと意地悪な言い方をしてみた。
「いや、そんなことはないです! 女の子大好きです!! 」
「ん。知ってる。気持ちが落ち着かないなら隣でパンツ一枚で寝てようか? 」
「それは色んな意味で止めて下さい」
冗談交じりで提案すると一蹴された。
下着一枚だったら嫌でも自覚するだろうし、例えイケメンであっても男2人ではむさ苦しいのには変わらないだろう。
「はい、じゃあもう寝るよー。おやすみ」
「……おやすみなさい」
毛布を被りゴロンと横になる。
ラルクにとっては色々と濃い一日だったと思うけど、これくらい軽口を叩けるなら大丈夫だろうか。
私がモンスターとの戦闘を克服するためには戦闘をより多くこなす方が早いかと思ってしてたけど、それは明日のラルクの様子を見て判断しよう。
実際にモンスターを目の前にして手に残る感覚だとか、血の匂いとか、モンスターに襲われる恐怖とかが出てくるかもしれない。
覚悟はある程度できたみたいだし、自己防衛できるくらいの戦闘技術が身に着くまではペースを合わせて戦闘訓練を重ねないと。
次の【ドゥアの街】に行くには【泉の洞窟】を抜けないといけない。
山を越えても行けるけど越えるとなるとモンスターのレベルも上がるし、ボスモンスターに遭遇する確率が高くなる。
その分街への移動は早くなるけどそれもほとんど変わりはないと言える。
この先の山、【ヒジャウの山】のボスモンスターはマントヒヒみたいなやつで素早い上に知能も高いから弱い奴から狙ってくるという特性がある。
前にゲームで野良パーティーで挑んだ時に周りにあるものを後衛に投げて遠距離攻撃してきたり、体力が減ってくると仲間を呼んで集団で攻撃したりと面倒くさいことをされたのを思い出す。
その時はヒーラーがまだLv.30くらいの人だったから後衛の回復役がすぐに戦闘不能になってたな。
レベルは44だったからそこまで強敵ではないけど、やっと一歩を踏み出せた初心者のラルクがいる以上は無理はしないでいいだろう。
ここは本当に何が起こるかわかんないし。安全第一です。
洞窟自体は外に比べたら薄暗いものの、周りの鉱石が発光しているため【雨岩の洞窟】に比べても明るくなっている。
グラフィックで見た時に洞窟の中央辺りには泉があって神秘的な空間になっていた。
この世界で実際に見てみたいと思って楽しみにしていたフィールドの一つだ。
モンスターのレベルも確かLv.30未満だったから山越えに比べたらマシなもんだろう。
ただ、洞窟の中はさほど広くないからモンスターとの連戦になる事も考えられる。
戦うことを躊躇してしまったり、判断が鈍ってしまうと数にやられる可能性もある。
私も全力でフォローするつもりではあるが、自己防衛できるくらいの力量は最低でも必要だと思う。
明日からも頑張ってもらわないと。
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