防御特化変身スーツを着た正義のヒロインが残念硬い特殊性能でリョナられまくる!

濡れ雑巾と絞りカス

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第1章-出撃編-

戦闘、デビュー戦!

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 視界の暗転。
 一瞬のうちに叶海は原馬瀬町のとあるビルの屋上に移動していた。
 テレポート、それも今までのスーツにはない新機能だ。

 眼下には怪人から逃げ惑う人々。
 よく見ると人型の怪人以外にも、犬型、猫…というより豹型の怪獣(獣型の怪人の場合はこう呼ばれる事が多い)も混じっていた。

 そのいくつかに、手にした銃の照準を合わせ引き金を引く。
 銃口から飛び出たエネルギー弾が、命中したものは怪人の体を吹き飛ばし、外れたものでも地面を大きく削りその動きを牽制する。
 怪人が驚き動きを止めたその隙に、人々は安全圏へと逃げていく。

(アースガーディアン、弥生たちはどこ!?)

《対象を確認。ナビゲーションモードを起動します》

 頭の中にAIの声が響くと、少し離れた所に光るマーカーが現れ、そこへ向かうルートが視界の中に点線で示された。

(すごい…目を閉じてもなんとなく場所がわかる…これが神経伝達システム!)

 目標ルート、まずは隣のビルへ飛び移るのだ。

(アースガーディアン、飛べる?)

《肯定。行けます》

「よしっ!」

 なんとなく必要な力加減もAIに示唆され分かる。それでも初めての跳躍は心做しか必要以上の力が入り、その結果。

 ――ダンッ!

「ひょわっ!?うわあぁぁぁっと!!」

 天高く舞い上がり、隣のビルの端っこギリギリに着地する。

《警告。指定のルートは、力を抜いて軽く走る程度で移動可能です》

「わ、分かったわ」

 未だ脳内会話に慣れず、ついつい返答が口をついて出てしまう。
 次の跳躍はちょうどよい力でピッタリと。以降綺麗なフォームで宙を舞い、十数秒のうちに逃げるクラスメイトたちの上空へたどり着く。

 彼女らに迫る怪人に向かって上から発砲。
 直撃はせず地面を抉るが、動きを止めることには成功した。
 叶海はそのまま重力に引かれ、クラスメイトと怪人の間に着地する。

「もう大丈夫!シェルターまで逃げて!!」

 動きを止めた怪人に続けて発砲。
 今度は命中し、上半身を吹き飛ばす。
 だが、すぐ後ろから後続がくる。
 二匹の魔獣と三人の怪人。

「早く逃げて!!」

「あっ、ありがとうございます!」

 叶海の発破に、クラスメイト達が走り出す。
 既に相当走り回り、息も絶え絶えのようだったが、それでも震える身体に鞭を打ち逃げてくれた。

 友人を救ったことに安堵する間もなく、眼前に二匹の魔獣が迫る。
 エネルギー弾を立て続けに発射するが、動きが早く捉えきれない。
 飛びつかれる直前に一匹には命中させることができ、身体の大半を吹き飛ばしたが、もう一匹は止められない。

「あっ、くうぅ!!」

 とっさに銃を持っていない方の腕をかざし防御。その腕に怪獣が噛み付く。
 鉄柱ですら容易に引き裂く強靭な顎。
 叶海は激痛を覚悟したが、腕を覆うスーツには歯が食い込むことすら無く、全くの無傷。

「このっ!」
「ギャウンッ!!」

 銃を持った手の甲で魔獣を殴り飛ばすと、低い鳴き声を挙げ重たい身体が紙切れのように吹き飛んだ。
 そのまま何度か地面にぶつかりバウンドし、動かなくなる。

「なにこれっ、強い!」

 スーツのあまりの性能に、高揚した声を上げる叶海。
 対する怪人3人も、そのまま襲いかかることはせず慎重にこちらの様子を伺っている。

(なにこれ、全然痛くない。これなら人型怪人もいける!?)

《肯定。正面の敵性体に、こちらへの有効打は無いものと推測されます》

「よーし、じゃぁ一気にやっちゃうよ!」

 銃を構え、怪人に向かって続けざまに発射。
 うち一発が当たり、怪人が力尽きる。

 残り二人、逃げるか戦うか迷ったようだがすぐに決断し、叶海に向かってジグザグに走ってくる。
 その動きを捉えきれず、何発かエネルギー弾を打つがことごとく外れ、地面を抉る。

「このっ、当たらない!!」

《照準ナビゲーションを有効化。ターゲットに銃口を合わせて引き金を引いてください》

 視界の中に、的が現れる。怪人の動きに合わせて動くそれ目掛けて、叶海は二発引き金を引いた。
 エネルギー弾は寸分違わず命中、上半身を吹き飛ばされ絶命する怪人二人。

「うっそ、すごっ!」

 手動で狙いを定めていた時との難易度の落差に、驚きの声が漏れる。

(さすが新型スーツ…すごい性能)

《恐縮です》

 叶海の脳内独り言にも相槌を打つAI。
 そんなところまで無駄に高性能だ。

《警告。敵性体、新たに7接近。犬型2、豹型1、人型4。後続に更に10、犬型3、豹型2、人型5です》

「またきたのっ!!」

 息つくまもなく警告。
 数が多い。
 叶海の出現に気が付き、戦力の大半を傾けてきたのだろう。

 普通の変身スーツならば、数人がかりで対処しなければならない戦力だ。
 だが、今の叶海に危機感は無い。

《獣型との近接戦闘が想定されます。メインウェポンを使用しますか?》

(メインウェポン…ゆーたには使うなって言われてたけど、これなら大丈夫だよね!アースガーディアン、お願い!!)

《了解。メインウェポンを召喚します》

 眼前に光が生じ、その中から叶海のメインウェポンが姿を現す。
 新体操で使うバトンのような形、棒状で両端に殴打するためのメイスのような突起がついている。
 真ん中を掴むと、くるくるといつも部活でやるように回転させ、バシッと構える。

「よーし、いくよ!!」

 先行する怪獣をエネルギー弾で牽制しつつ、本命は後ろの怪人を狙った数発。そのことごとくが命中し、怪獣が飛びかかる前に4人の怪人を撃破。
 エネルギー銃を投げ捨てるように手から離し、利き手にバトンを握る。空中で光に包まれたエネルギー銃が、スーツに吸収され消えた。

 メインウェポンのバトンで迫りくる怪獣の頭を殴打、一撃で肉片と化し血潮が飛ぶ。
 三匹の怪獣をあっさりと殴り殺し、後続へ目を向ける。
 仲間の死にも怯むこと無く向かってくる5匹の怪獣。

(バトン一つだとちょっとつらいかな…)

 と思うと、すぐにもう一つのバトンが現れた。
 これならいける、と両手でくるくるとメインウェポンを回し、叶海は怪獣に向かって突っ込んでいく。

 5匹の怪獣とぶつかりあい、軽快な足さばきで踊るように殴り倒し瞬殺。
 利き手のバトンをエネルギー銃に持ち替え、ナビゲーションに従って残る怪人5匹へ引き金を引いた。
 悉く命中し絶命。

 戦闘開始から数秒で17体の怪人を倒してしまった。
 くるくるとバトンを回しながら放り投げ、股を大きく開いたジャンプをしながら空中でバトンをキャッチ。
 勝利のポーズよろしく、一人で決める叶海だった。
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