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「始まり(中編1)」」

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「それで、進捗は如何ですか?」
と聞いてくる雅。
「んー。まぁ、取り敢えず
俺が今置かれてる状況については
何となく把握出来た。
でも、肝心の何をすべきかについては
まだ見当も付かないんだ。」
と俺が応じると
「そうですね…。
貴方様の、直近までの出来事は全て
天界から伺っておりましたが
あの百瀬結愛という人物が
何かしらを鍵を握っているような
物言いでしたよね。
もう一度
彼女とコンタクトを取ってみて
詳しく話を聞いてみては
如何ですか?
今後のことも少しは
明確になるやもしれませんよ?」
と返す。
「そうなんだよなぁ…。
出来ればもう一度会いたいんだけど
彼女ほどのスターともなると
そう簡単に会えないだろ?」
と俺が言うと、雅は
「いいえ。そのあたりの
ご心配は無用です。
私の力で、再度、お二人を引き合わせて
差し上げます。」
と軽く答える。
「そんなことまで出来んのかよ!
すげー優秀じゃん!!」
と既に、雅ありきで
話を進めているあたり
俺も結構、都合良いなあと思う。
「はい。可能ではあります。
しかし、日時や時間帯までは
決めることはできませんので
そこは念頭に置いておいて下さい。」
と注意を促す雅に俺も
「分かった。次、会ったときに
聞いておきたいことは
今日中に、頭に詰めとくよ。」
と一応、返事をしておいた。
「そうなれば、後はその日が来るのを
待つだけだな。
また何かあったら今度は俺から
雅に声掛けるよ。」
とだけ伝えその日は雅と別れた。

その後、百瀬結愛との出会いは
わりと早めに訪れた。
それは雅が俺の部屋に現れた
あの日から3日後の夜だった。

いつもの帰り道。
人通りのない住宅街に
彼女はいた。
なんでこんなとこに?
は、もはや考えもしなかった。
きっと雅が上手いこと
やってくれたのだろう。
「あれっ!?
もしかして君!
あの日の申し子君じゃない!?
久しぶりじゃーーん!!」
と結愛は軽快に声を掛けてくる。
「なーんかさあ、たまたま
撮影がこの辺りであって
それが今終わったとこなんだけど。
これって偶然?
…って訳じゃなさそうだねえ?」
と、ひどく察しの良い彼女が
おどけたように尋ねてくる。
「お察しの通りですよ。
貴方に聞きたいことがあって
俺のサポート係の子に頼んだんです。」
と返すと
「ほう。なぁるほど!
そういうことねえ。
宜しい!何でも聞いてくれたまえ!」
とまたもやおどけて返す。
「それじゃ、単刀直入に聞きますね。
まず一つ目。
神の申し子に関してです。
貴方の知ってる限りの情報を全て俺に下さい。
俺の役割とかも
もし、知ってるなら教えて欲しいです。」
と言うと
彼女は先程とは打って変わり
いささか真剣な眼差しで
俺の方を見つめながらゆっくりと話し出した。
「んー。
全部の情報かあ…。
勿論、君はこれから一緒に戦う
所謂、同士な訳だから
知ってる限りは教えるけど。
実を言うと、私も
神の申し子の人達の
はっきりとした役割や
どこまでいけば目標達成になるのかとか
細かい部分については
分からないってのが正直なとこでさ。
何となく、分かるのは
多分、自分の役割とかって
運命的に与えられるものだと思うの。
私で言えば、それが「音楽」だった。
誰に教えられた訳じゃないけど
それが私の役割だっていうのは
確信してるの。
だから君もいつか
自分の役割に気付ける時が必ず来る。
まぁ取り敢えず、現時点でこの質問に対して
私が答えられることはあと3つだけね。
まず一つ目。
神の申し子とは何なのか、ね。
この時代の神の申し子っていうのは
後世にまで愛を残し続ける為に
神様に選ばれた存在なんだよね。
だから、各々自分達の役割を
全うしながら愛を広めていく。
それが神の申し子としての大前提。
まず神の申し子はこの世界に五人しかいない。
私と君で二人。
あと三人もどこかに必ずいるはず。
その内の一人を、私は知ってる。
多分だけど…君も気付いてるんじゃない?
天国について語ってる
あるサイトの主。
あれは確実に神の申し子だよ。
画面越しからも伝わる。オーラが凄いの。
そして、彼、或いは彼女は。
私達とは違う思想を持ってる。
どちらかと言うと、危険な…ね。
ここまでがまず一つ目ね。
次に2つ目。
神の申し子同士は
必ず出会い、そして争いあう運命にある。
さっき、私、役割や明確なゴールは
分からないって言ったけど。
この神の申し子の目指すところは知ってる。
それはたった一つだけ。
次の「神様」になることなの。
神様になれるのは
五人の中の一人だけ。
神様になれなかった残りの四人は
輪廻転生の輪の中で
次の生涯を送ることになる。
そのときに、自分が
神の申し子である保証も
人間である保証もない。
そこは生物皆、平等に振り分けられるの。
一方、神様になれた者はどうなるのか。
もし、次の神様になれたなら。
この世界を思うがままに操れる。
森羅万象、全ての事象を
神様一人が掌握出来るということ。
だから、出会った「神の申し子達」は皆
次の神様を目指して争いあうというワケ。
最後に三つ目。
私と君の戦いについて。
さっき、神の申し子同士は
争いあうって言ったよね?
じゃ、なんで共闘なんかって思うのが普通。
でも、これだけは覚えておいてほしいのは
私は別に神様になんて興味ないってこと。
ただ、私の曲を聞いてくれる人達が
少しでも救われてくれたならいいなって。
それだけが私の神の申し子としての
やり遂げたいことだから
そもそも私は誰かと争うつもりが一切ないの。
そして、私達が戦うべき相手についてね。
もう何となく察しがついてるとは思うけど
私達の敵は、「神様」という
権力欲しさに、この世界を壊そうとする奴等。
今はまだ、表に出てきてないけど
遅かれ早かれ必ず出会うことになるから。
だからそいつらに対峙して
愛を世界に広めるというのが
私達の戦いなんだよね。
ざっと説明したけど、こんなもんかな。」
と、結愛が一通り説明を終えたところで
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