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第三章「始まり」(前編)
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百瀬結愛のライブの日から数日間
俺は「神の申し子」というものについて
独自に調べ、いくつかの
考察をしていた。
結果として、確証を得られるものは
やはり一つも無かったが
調べていくうちに
あるサイトに
目が止まった。
そこでは
「天国に行く方法」
について語られていた。
最初は宗教関連のものかと思い
スルーしようとはしたのだが
そこに「神の申し子」
という文面があったので
一応、目を通しておくかと
気軽に見ていたのだが。
最後まで身終えた感想としては
「なんだこれ…。」
の一言に尽きた。
どうやらこのサイトの主は
「愛」の力で、この世界を統一することを
目的にしているらしい。
「人類は、善人はもちろん犯罪者でさえ
すべからく皆、天国に
導かれるべきである。」
ということを大々的に掲げており
続けて
「人間が争うのは
多種多様な考え方の違いが大元であり
皆、等しくそれぞれのベクトルで
至上の幸福を手に入れられさえすれば
この世界から争いは消える。
そしてその世界こそ天国である。」
というものであった。
「天国」というと一見
聞こえは良いが
どこか狂気を感じる文面に
俺は寒気を感じて
サイトを閉じ、深呼吸を一つしていた。
まさか、こいつらも
神の申し子なのかという
不安感に駆られ
その日はもうこの件について
何も考えないようにした。
次の日、俺は取り敢えず
今のところ分かっている情報をまとめ
幾つかの考察を出した。
まず一つ目。
神の申し子というものについて。
あの夜、雅から聞いた話だと
神の申し子というのは
どうやら「五人」いる。
そしてそのうちの二人が
「百瀬結愛」と「俺」ということらしい。
神の申し子とは、世界を発展させる為
この世に放たれた
神の分身ともいえる存在であり
それぞれに何かしらの「能力」が
与えられているということ。
そして、今回の神の申し子の
最大の使命は「この世に愛をもたらす」
ことだということ。
そして、これはあくまでも仮説だが
百瀬結愛と俺の出会いのように
神の申し子同士は
必ず巡りあう運命であり
感覚さえ研ぎ澄ませられれば
神の申し子の存在を
認識出来るのかもしれないということ。
そして、二つ目。
百瀬結愛について。
彼女はどうやら神の申し子で
能力は仮説だが「音楽」だろう。
あの日聞いた「EDEN」のように
曲を通して人間の感情に
ダイレクトに訴えかける事ができ、
上手く使えば人間を操作することも
可能になるのではないだろうか。
全くの無名だった彼女が
いきなり大手の音楽事務所に所属し
異例のスピードで売れていったのも
才能も当然あったのだろうが
能力を使ったのだと仮定すれば頷ける。
そして、そんな彼女とまた再会し
共闘することになるかもしれないこと。
三つ目は。
俺と百瀬結愛以外の
まだ見ぬ三人の存在について。
これも仮説であり
出来れば、そうであってほしくはないが
昨日見たサイトの管理者は恐らく
俺と同じ「神の申し子」であり
着々と計画を練り
既に、動き出しているということ。
もしかしたら、残りの三人まとめての
グループなのかもしれないし
そのうちの一人か二人で
動いているのかもしれない。
そこまでは断定出来ないが
恐らく三人のうちの誰かが
絡んでいることは間違いないだろう。
そして、「彼」、もしくは「彼ら」は
この世界を統一させようと動いている。
その計画はきっと
「マトモ」ではないのだろうということ。
そして最後。四つ目。
「俺」について。
俺は神の申し子であり
まだ目覚めていない
何かしらの能力があるらしいこと。
そして「雅」という
パートナーがいること。
この二つだけだ。
自分についての情報が最も少ないことに
一抹の不安は感じたものの
取り敢えず、今置かれている状況を
多少飲み込めたのかなとは思う。
そして一息つこうと
席を立ちコーヒーを入れていると
背後に気配を感じた。
そぅっと振り替えると
そこにはあの「雅」がいた。
俺は驚きのあまり、思わず
コーヒーを溢しそうになりながら
「おっ…お前!!!どうやって
家に入り込んだんだ!!!」
「ご無沙汰しております。千歳良太様。
全く、私をお呼びになられないので
自分から出てきてしまいました。」
とあっさり答えた。
「出てきた…ってどこからだよ!!」
「私のように、神に仕える者は
人間ではありませんので。
天界から千歳良太様のご自宅までの
空間を繋げて、ここまで参りました。
簡単に言うと
ワープみたいなものですね。」
「ワープって…」
とやはり驚きはしたものの
最近立て続けに
色々なことが起きていたせいで
もうある程度のことには
耐性がついているらしい。
そういうことも出来るのかと
普通に事態を飲み込むことが出来た。
俺は「神の申し子」というものについて
独自に調べ、いくつかの
考察をしていた。
結果として、確証を得られるものは
やはり一つも無かったが
調べていくうちに
あるサイトに
目が止まった。
そこでは
「天国に行く方法」
について語られていた。
最初は宗教関連のものかと思い
スルーしようとはしたのだが
そこに「神の申し子」
という文面があったので
一応、目を通しておくかと
気軽に見ていたのだが。
最後まで身終えた感想としては
「なんだこれ…。」
の一言に尽きた。
どうやらこのサイトの主は
「愛」の力で、この世界を統一することを
目的にしているらしい。
「人類は、善人はもちろん犯罪者でさえ
すべからく皆、天国に
導かれるべきである。」
ということを大々的に掲げており
続けて
「人間が争うのは
多種多様な考え方の違いが大元であり
皆、等しくそれぞれのベクトルで
至上の幸福を手に入れられさえすれば
この世界から争いは消える。
そしてその世界こそ天国である。」
というものであった。
「天国」というと一見
聞こえは良いが
どこか狂気を感じる文面に
俺は寒気を感じて
サイトを閉じ、深呼吸を一つしていた。
まさか、こいつらも
神の申し子なのかという
不安感に駆られ
その日はもうこの件について
何も考えないようにした。
次の日、俺は取り敢えず
今のところ分かっている情報をまとめ
幾つかの考察を出した。
まず一つ目。
神の申し子というものについて。
あの夜、雅から聞いた話だと
神の申し子というのは
どうやら「五人」いる。
そしてそのうちの二人が
「百瀬結愛」と「俺」ということらしい。
神の申し子とは、世界を発展させる為
この世に放たれた
神の分身ともいえる存在であり
それぞれに何かしらの「能力」が
与えられているということ。
そして、今回の神の申し子の
最大の使命は「この世に愛をもたらす」
ことだということ。
そして、これはあくまでも仮説だが
百瀬結愛と俺の出会いのように
神の申し子同士は
必ず巡りあう運命であり
感覚さえ研ぎ澄ませられれば
神の申し子の存在を
認識出来るのかもしれないということ。
そして、二つ目。
百瀬結愛について。
彼女はどうやら神の申し子で
能力は仮説だが「音楽」だろう。
あの日聞いた「EDEN」のように
曲を通して人間の感情に
ダイレクトに訴えかける事ができ、
上手く使えば人間を操作することも
可能になるのではないだろうか。
全くの無名だった彼女が
いきなり大手の音楽事務所に所属し
異例のスピードで売れていったのも
才能も当然あったのだろうが
能力を使ったのだと仮定すれば頷ける。
そして、そんな彼女とまた再会し
共闘することになるかもしれないこと。
三つ目は。
俺と百瀬結愛以外の
まだ見ぬ三人の存在について。
これも仮説であり
出来れば、そうであってほしくはないが
昨日見たサイトの管理者は恐らく
俺と同じ「神の申し子」であり
着々と計画を練り
既に、動き出しているということ。
もしかしたら、残りの三人まとめての
グループなのかもしれないし
そのうちの一人か二人で
動いているのかもしれない。
そこまでは断定出来ないが
恐らく三人のうちの誰かが
絡んでいることは間違いないだろう。
そして、「彼」、もしくは「彼ら」は
この世界を統一させようと動いている。
その計画はきっと
「マトモ」ではないのだろうということ。
そして最後。四つ目。
「俺」について。
俺は神の申し子であり
まだ目覚めていない
何かしらの能力があるらしいこと。
そして「雅」という
パートナーがいること。
この二つだけだ。
自分についての情報が最も少ないことに
一抹の不安は感じたものの
取り敢えず、今置かれている状況を
多少飲み込めたのかなとは思う。
そして一息つこうと
席を立ちコーヒーを入れていると
背後に気配を感じた。
そぅっと振り替えると
そこにはあの「雅」がいた。
俺は驚きのあまり、思わず
コーヒーを溢しそうになりながら
「おっ…お前!!!どうやって
家に入り込んだんだ!!!」
「ご無沙汰しております。千歳良太様。
全く、私をお呼びになられないので
自分から出てきてしまいました。」
とあっさり答えた。
「出てきた…ってどこからだよ!!」
「私のように、神に仕える者は
人間ではありませんので。
天界から千歳良太様のご自宅までの
空間を繋げて、ここまで参りました。
簡単に言うと
ワープみたいなものですね。」
「ワープって…」
とやはり驚きはしたものの
最近立て続けに
色々なことが起きていたせいで
もうある程度のことには
耐性がついているらしい。
そういうことも出来るのかと
普通に事態を飲み込むことが出来た。
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