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第二章「同士」(後編)
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思わぬ事態に
言葉が見当たらず
おろおろしている
俺に構わず
彼女は続けて
「君さ。神の申し子…だよね?」
と単刀直入に聞いてきた。
「えっ…。なんで…。」
と益々、整理出来ない
この状況に
正直頭が
パンク寸前になっていたところを
彼女も察してくれたのか
「あっ、そうだね。
突然こんなこと言われてもねえ。」
と少しだけ柔らかくなった口調に変わり
それでも本題については
真偽を確かめたいようで
続けて
「もし、意味が分からなかったら
この話、忘れてくれていいんだけど。
君、さっきまで私のライブに
来てくれてたでしょ?
その時、私と同じものを感じたの。」
とさらっと話す。
彼女ほどの大スターが。
ましてや、さっきまで
心を奪われていたばかりの
百瀬結愛その人が
俺のことなんかに
気付いてくれていたという事実は
果てしなく嬉しかったのだが
それと同じくらいに
彼女への謎が、俺の中で
大きなものへと変わってしまっていた。
そんな中でやっと振り絞れた言葉が
「意味…分からなくはないけど…。」
というなんとも曖昧な返事だったことは
今の俺の状況を鑑みてもらえれば
分かってもらえると思う。
そしてそれを聞くやいなや
彼女は目を輝かせながら
「やっぱりぃ!!!!?」と
構内に響き渡るほどの
大声で叫ぶ。
思わず、彼女が身バレしてしまうのではと
「ちょっと…!」
と制止しようとする俺に構わず
彼女は興奮冷めやらぬといった具合で
「あのね!私も神の申し子なの!
いやあ、初めてあの子に告げられた時は
私も凄い戸惑っちゃってさあ!
でもね。この力のお陰で私の
夢も叶えられたし。
正直、感謝はしてんだよねえ。
で、話ってゆーのが!
君も私とこの世界の救済をしない?
ってこと!
愛でこの世界を満たすんだよ!」
と熱く語る。
それに対して俺は
話の展開に着いていけず
だんだん彼女も
いわゆる電波系ってやつの
ヤバい人なんじゃないかと
熱が冷め始めていた。
そして
「いや、何か似たようなこと
前にも言われたんですけど…。
俺は何の能力もないですし
世界とか愛とか
そんな壮大な話に
乗れるほど凄い人じゃないですよ?」
とこれ以上関わられまいと
冷ややかに返すと
彼女はニコッと笑って
「まあ、いずれ分かるよ。
君はきっと私と一緒に
戦うことになるから。」
とだけ言い残し
じゃあまたねとその場から
足早に走り去っていった。
「何なんだよ…。」
と訳も分からぬ
数分間を過ごした俺だったが
以前より自分のなかで
神の申し子という言葉に
興味を持ち始めていることも
事実であった。
「少し調べてみるか…。」
と思いながら、電車に乗り込み
その日はいつもより早足で
自宅まで帰りながらの道中で
これから何かが起きる。
というとても漠然とした
不安だけが俺を襲っていた。
そして後々この時の不安は
見事に的中することになる。
最悪の形で…。
言葉が見当たらず
おろおろしている
俺に構わず
彼女は続けて
「君さ。神の申し子…だよね?」
と単刀直入に聞いてきた。
「えっ…。なんで…。」
と益々、整理出来ない
この状況に
正直頭が
パンク寸前になっていたところを
彼女も察してくれたのか
「あっ、そうだね。
突然こんなこと言われてもねえ。」
と少しだけ柔らかくなった口調に変わり
それでも本題については
真偽を確かめたいようで
続けて
「もし、意味が分からなかったら
この話、忘れてくれていいんだけど。
君、さっきまで私のライブに
来てくれてたでしょ?
その時、私と同じものを感じたの。」
とさらっと話す。
彼女ほどの大スターが。
ましてや、さっきまで
心を奪われていたばかりの
百瀬結愛その人が
俺のことなんかに
気付いてくれていたという事実は
果てしなく嬉しかったのだが
それと同じくらいに
彼女への謎が、俺の中で
大きなものへと変わってしまっていた。
そんな中でやっと振り絞れた言葉が
「意味…分からなくはないけど…。」
というなんとも曖昧な返事だったことは
今の俺の状況を鑑みてもらえれば
分かってもらえると思う。
そしてそれを聞くやいなや
彼女は目を輝かせながら
「やっぱりぃ!!!!?」と
構内に響き渡るほどの
大声で叫ぶ。
思わず、彼女が身バレしてしまうのではと
「ちょっと…!」
と制止しようとする俺に構わず
彼女は興奮冷めやらぬといった具合で
「あのね!私も神の申し子なの!
いやあ、初めてあの子に告げられた時は
私も凄い戸惑っちゃってさあ!
でもね。この力のお陰で私の
夢も叶えられたし。
正直、感謝はしてんだよねえ。
で、話ってゆーのが!
君も私とこの世界の救済をしない?
ってこと!
愛でこの世界を満たすんだよ!」
と熱く語る。
それに対して俺は
話の展開に着いていけず
だんだん彼女も
いわゆる電波系ってやつの
ヤバい人なんじゃないかと
熱が冷め始めていた。
そして
「いや、何か似たようなこと
前にも言われたんですけど…。
俺は何の能力もないですし
世界とか愛とか
そんな壮大な話に
乗れるほど凄い人じゃないですよ?」
とこれ以上関わられまいと
冷ややかに返すと
彼女はニコッと笑って
「まあ、いずれ分かるよ。
君はきっと私と一緒に
戦うことになるから。」
とだけ言い残し
じゃあまたねとその場から
足早に走り去っていった。
「何なんだよ…。」
と訳も分からぬ
数分間を過ごした俺だったが
以前より自分のなかで
神の申し子という言葉に
興味を持ち始めていることも
事実であった。
「少し調べてみるか…。」
と思いながら、電車に乗り込み
その日はいつもより早足で
自宅まで帰りながらの道中で
これから何かが起きる。
というとても漠然とした
不安だけが俺を襲っていた。
そして後々この時の不安は
見事に的中することになる。
最悪の形で…。
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