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第一章
落としたパンの行方
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執務を終え、日も沈む頃ユリウスが帰宅すると、何やら屋敷内が騒がしい。出迎えたカレルにどうしたのかと問えば、カレルは顔をしかめた。
「ユリウス様の拾い物に手こずっておりまする」
「なんだそれは」
苦笑しながらユリウスが食堂に入ると、ちょうど席についた希少種が、パンを持って差し出したリサの手を払うところだった。
パシンっと小気味いい音を立て、リサの手から弾き出されたパンが床に転がる。給仕をしていたコックのアントンが顔を歪めた。
テーブルに置かれた食事にも一切手を付けていない。
「ユリウス様。お帰りなさいませ」
リサが心底困った顔で入ってきたユリウスを見上げる。ユリウスは転がったパンを拾うと、希少種の前の席に座り、アントンに自分の分の食事の用意を頼んだ。
すぐにアントンはユリウスの前に食事を並べ始める。
「食べないのか? 毒は入っていないぞ」
ユリウスが床に落ちたパンを食べると、希少種は驚いたように目を瞠った。
「それ……。わたしの落としたパン」
「ああ。そうだな。ここでは食べ物は貴重だ。残しては精を尽くして作ってくれた厨房の者にも申し訳が立たない」
希少種は虚をつかれたようにはっとし、唇をかむと俯いた。
「悪かった…」
消え入りそうに小さな声でぼそりと呟き、おずおずと食事に手を伸ばした。スプーンとフォークの使い方も知らないとみえ、希少種は手づかみで食事をつかもうとする。
「あ、待って」
慌ててリサがスプーンを差し出すと、不思議そうに小首を傾げる、
「スープはこうやって掬うんですのよ」
リサが掬ってやって口元に持っていくと、希少種は口を開いてパクリと食べた。瞬間、ぱぁと顔が綻ぶ。
「……おいしい…」
それを見ていたリサはスプーンを持ったまま、年甲斐もなくきゃっと飛び跳ねた。
「……かわいい」
確かにリサの言う通り、差し出されたスプーンをパクリとくわえた様は妙に庇護欲をそそられる。
まるでもっとちょうだいと言わんばかりに見上げてくる希少種に、リサは「私が食べさせてあげますわ」と隣に座り、完全に主導権を握ると、希少種の口に次から次へと食べ物を運んだ。
希少種はよく食べた。
リサによるとつい先程まで昏々と眠っていたらしい。目を覚まし、不浄に行きたいというのでリサが抱いて連れて行った。
「あまりに軽いので驚きましたわ」とリサ。そのついでにと食堂へ連れてきたのがつい先ほどだった。
意地を張っていただけで、お腹は空いていたのだろう。希少種はすごい勢いで食べる。アントンは柔らかく煮た野菜など、消化のいいものを用意していた。
しばらく夢中で食べ続ける希少種を見ながら、ユリウスも食事を進めた。
「おまえ、名はなんというんだ?」
今朝から風呂場の乱闘でまだまともに話もしていない。まずは名を知りたいと訊くと、希少種は一瞬きょとんとした顔をし、すぐにぼそりと答えた。
「ルカ」
「そうか。俺もまだ名乗っていなかったな。ユリウス・ベイエルだ。この北のモント領主だ。それと今ルカに食べさせているのが――」
「――リサですわ」
手を止めてリサが名乗る。続いて執事のカレル、コックのアントンと順に紹介する。
「あと、今朝ルカを診た医師のノルデンに、カレルとリサの息子のボブ。いつも屋敷にいるのはその面々だ。何かあれば今言った者たちに言うといい」
ルカは、黒い瞳で一人一人の顔をじっと見た。最後に、目の前のユリウスに視線を合わせる。
「わたし、いつ王宮に帰されるの?」
「今朝も言ったが、返すとは言ってないぞ」
「でも、いつかは帰されるんでしょう? いつ?」
ユリウスはふぅと息をついた。まだ完全にこちらのことを信用したわけではないようだ。それもそうだろう。今までルカがどんな境遇に置かれていたのか。わからないが、背中と大腿の傷を見ただけでも大体の察しはつく。そう簡単に人を信用することはないのだろう。
なんと言葉をかけてやればいいのか。
何を言ってもルカは、ユリウスのことを、ここにいる者たちのことを心から信用し、頼ることはない。そう思うとどんな言葉もルカにとっては上滑りで、無意味なことだ。
「あら、まぁ」
リサの声にルカを見れば、目がとろんとして首がガクンと前に傾いだ。はっとしたように目を開くが、すぐにまたまぶたが落ちてくる。
「まぁ、かわいいこと」
リサがそっと頭を支えてやると、そのままルカはうとうと舟を漕ぎだした。
「ずっと気を張り詰めているのね。可哀想に。こうやって居眠りできるくらいには、少しは私達に対して警戒心を解いているのかしらね」
「さあな」
ユリウスは食事を終え立ち上がるとルカを抱きかかえた。背中と大腿に触れないように抱こうと思えば、今朝と同じ縦抱きになる。抱き上げればルカは自然とユリウスの首に腕をまわしてきた。よく眠っている。無意識なのだろう。ユリウスの髪に顔を埋めるように擦り寄ってくる。
なんだろうか。この気持ちは。
ユリウスはむず痒いような、そわそわした気持ちがした。肩に頬をのせるルカの顔を見れば、少し開いた唇が妙に艶めかしい。
「なんだかとってもかわいいですわね。ユリウス様には気を許しているんですね、きっと」
「どうだろうな」
ユリウスはリサに話しかけられ、はっとしてルカの唇から目を逸らした。カレルに案内させ、ユリウスはルカをうつ伏せにベッドに寝かせた。
よく眠っている。穏やかな寝息だ。
ユリウスは寝室を出ると自室にカレルを呼んだ。
「王宮騎士団からの伝令でな。王宮から逃げ出した希少種の奴隷をさがしているそうだ」
「なんですと?!」
ユリウスは王宮騎士団からの伝令をカレルに話した。カレルは見る間に顔を青ざめさせた。
「どうされるおつもりです? 王宮から逃げ出した希少種とは、十中八九ルカのことですぞ。当然、王宮騎士団に引き渡されるんですよね」
「おまえは差し出せるのか? あれほど怯え怖がっている者を、おまえは差し出すのか?」
カレルは言葉に詰まり、長々と息を吐き出した。
「……無茶を申しました。ユリウス様がそのような非道を許すお方ではないことは、よくわかっております。ですがもし事が露見した場合、いかがなさるおつもりです。たまたま見つけた拾い物のせいで、やっと落ち着いたこの地位までも手放すことになりかねませんぞ」
「……わかっている」
ユリウスの父、レオナルト・ベイエルはもと中央の貴族だった。領地も王都から程近い場所で、爵位も公爵位。初代バッケル王の傍系で国の中枢を担う存在だった。ユリウスはそのベイエル公爵家の一人息子として将来を嘱望され、侯爵家の令嬢との婚儀も決まっていた。
しかし十年前、前王ラドバウト崩御に伴いあとを継いだライニールが王位につくと、側近ヘルハルト・オーラフが宰相の座に付き、状況は一変した。噂ではヘルハルトは、オーラフ家が迎えた養子らしいが切れ者だった。いつの間にかライニール王の懐深く入り込み、王の絶対的な信頼のもと、オーラフ宰相はおのれに従わない者を次々に粛清していき、その過程で多くの者はオーラフ宰相側についた。ユリウスの父レオナルトは、そんなオーラフ宰相に与せず、独立した地位を保っていたが、アルメレ川の河川工事の是非を巡って激しく対立した。
結局、工事の反対を主張した父レオナルトが周りの支持を得られず敗北し、爵位も二段階降格の伯爵位に落とされ、今のモント領に領地替えとなり、中央からは去ることとなった。
モント領は隣国に接した国境線守備の最前線であり、冬も厳しい北の僻地だ。今でこそ豊富な森林資源を活用し、領内は潤っているが、十年前のモント領は、ただ国境線の守備にのみ重きを置かれた地で、領民の生活は悲惨なものだった。
多くの者が父の元から去った。ユリウスにもその波は寄せてきた。友と慕った同じ年頃の貴族の子息は去っていき、侯爵家の令嬢との婚約は、相手の親から一方的に破棄された。都落ちしていく将来性のないユリウスに、娘を嫁がせることはできない。その気持ちはよくわかる。ユリウスにはどうすることもできなかった。
父レオナルトは、一旦はモント領主におさまったが、すぐに息子のユリウスにその座を譲った。自身は今はユリウスの母と二人、モント領でも比較的南の地方で穏やかに暮らしている。
一方、十九歳でモント領主となったユリウスは、在野の貴族や領民と積極的に交わり、ここまでの領地へと導いてきた。忌憚のない意見をする者、ユリウスの顔色ではなく、真剣に領地の問題を解決しようと尽力する者。新鮮だった。そしていかに自分が今まで嘘と建前の世界にいたのかを痛感した。
都落ちしたことを、今のユリウスはむしろ前向きに捉えている。もしあのまま公爵家の跡取りとして中央にいたのでは、今の自分はいなかった。カレルをはじめ、リサ、ノルデン、アントンといった王都からついてきてくれた使用人たちへの見る目も、今とは違っていただろう。
「心配かけてすまない。カレル」
カレルの発言は、いつもユリウスの身を案じてのことだ。それでもどうしてもあの希少種を王宮騎士団につきだす気にはなれない。
ユリウスがそう言うと、カレルはやれやれとため息をつきながらも、「善処いたしましょう」と頭を下げた。
「ユリウス様の拾い物に手こずっておりまする」
「なんだそれは」
苦笑しながらユリウスが食堂に入ると、ちょうど席についた希少種が、パンを持って差し出したリサの手を払うところだった。
パシンっと小気味いい音を立て、リサの手から弾き出されたパンが床に転がる。給仕をしていたコックのアントンが顔を歪めた。
テーブルに置かれた食事にも一切手を付けていない。
「ユリウス様。お帰りなさいませ」
リサが心底困った顔で入ってきたユリウスを見上げる。ユリウスは転がったパンを拾うと、希少種の前の席に座り、アントンに自分の分の食事の用意を頼んだ。
すぐにアントンはユリウスの前に食事を並べ始める。
「食べないのか? 毒は入っていないぞ」
ユリウスが床に落ちたパンを食べると、希少種は驚いたように目を瞠った。
「それ……。わたしの落としたパン」
「ああ。そうだな。ここでは食べ物は貴重だ。残しては精を尽くして作ってくれた厨房の者にも申し訳が立たない」
希少種は虚をつかれたようにはっとし、唇をかむと俯いた。
「悪かった…」
消え入りそうに小さな声でぼそりと呟き、おずおずと食事に手を伸ばした。スプーンとフォークの使い方も知らないとみえ、希少種は手づかみで食事をつかもうとする。
「あ、待って」
慌ててリサがスプーンを差し出すと、不思議そうに小首を傾げる、
「スープはこうやって掬うんですのよ」
リサが掬ってやって口元に持っていくと、希少種は口を開いてパクリと食べた。瞬間、ぱぁと顔が綻ぶ。
「……おいしい…」
それを見ていたリサはスプーンを持ったまま、年甲斐もなくきゃっと飛び跳ねた。
「……かわいい」
確かにリサの言う通り、差し出されたスプーンをパクリとくわえた様は妙に庇護欲をそそられる。
まるでもっとちょうだいと言わんばかりに見上げてくる希少種に、リサは「私が食べさせてあげますわ」と隣に座り、完全に主導権を握ると、希少種の口に次から次へと食べ物を運んだ。
希少種はよく食べた。
リサによるとつい先程まで昏々と眠っていたらしい。目を覚まし、不浄に行きたいというのでリサが抱いて連れて行った。
「あまりに軽いので驚きましたわ」とリサ。そのついでにと食堂へ連れてきたのがつい先ほどだった。
意地を張っていただけで、お腹は空いていたのだろう。希少種はすごい勢いで食べる。アントンは柔らかく煮た野菜など、消化のいいものを用意していた。
しばらく夢中で食べ続ける希少種を見ながら、ユリウスも食事を進めた。
「おまえ、名はなんというんだ?」
今朝から風呂場の乱闘でまだまともに話もしていない。まずは名を知りたいと訊くと、希少種は一瞬きょとんとした顔をし、すぐにぼそりと答えた。
「ルカ」
「そうか。俺もまだ名乗っていなかったな。ユリウス・ベイエルだ。この北のモント領主だ。それと今ルカに食べさせているのが――」
「――リサですわ」
手を止めてリサが名乗る。続いて執事のカレル、コックのアントンと順に紹介する。
「あと、今朝ルカを診た医師のノルデンに、カレルとリサの息子のボブ。いつも屋敷にいるのはその面々だ。何かあれば今言った者たちに言うといい」
ルカは、黒い瞳で一人一人の顔をじっと見た。最後に、目の前のユリウスに視線を合わせる。
「わたし、いつ王宮に帰されるの?」
「今朝も言ったが、返すとは言ってないぞ」
「でも、いつかは帰されるんでしょう? いつ?」
ユリウスはふぅと息をついた。まだ完全にこちらのことを信用したわけではないようだ。それもそうだろう。今までルカがどんな境遇に置かれていたのか。わからないが、背中と大腿の傷を見ただけでも大体の察しはつく。そう簡単に人を信用することはないのだろう。
なんと言葉をかけてやればいいのか。
何を言ってもルカは、ユリウスのことを、ここにいる者たちのことを心から信用し、頼ることはない。そう思うとどんな言葉もルカにとっては上滑りで、無意味なことだ。
「あら、まぁ」
リサの声にルカを見れば、目がとろんとして首がガクンと前に傾いだ。はっとしたように目を開くが、すぐにまたまぶたが落ちてくる。
「まぁ、かわいいこと」
リサがそっと頭を支えてやると、そのままルカはうとうと舟を漕ぎだした。
「ずっと気を張り詰めているのね。可哀想に。こうやって居眠りできるくらいには、少しは私達に対して警戒心を解いているのかしらね」
「さあな」
ユリウスは食事を終え立ち上がるとルカを抱きかかえた。背中と大腿に触れないように抱こうと思えば、今朝と同じ縦抱きになる。抱き上げればルカは自然とユリウスの首に腕をまわしてきた。よく眠っている。無意識なのだろう。ユリウスの髪に顔を埋めるように擦り寄ってくる。
なんだろうか。この気持ちは。
ユリウスはむず痒いような、そわそわした気持ちがした。肩に頬をのせるルカの顔を見れば、少し開いた唇が妙に艶めかしい。
「なんだかとってもかわいいですわね。ユリウス様には気を許しているんですね、きっと」
「どうだろうな」
ユリウスはリサに話しかけられ、はっとしてルカの唇から目を逸らした。カレルに案内させ、ユリウスはルカをうつ伏せにベッドに寝かせた。
よく眠っている。穏やかな寝息だ。
ユリウスは寝室を出ると自室にカレルを呼んだ。
「王宮騎士団からの伝令でな。王宮から逃げ出した希少種の奴隷をさがしているそうだ」
「なんですと?!」
ユリウスは王宮騎士団からの伝令をカレルに話した。カレルは見る間に顔を青ざめさせた。
「どうされるおつもりです? 王宮から逃げ出した希少種とは、十中八九ルカのことですぞ。当然、王宮騎士団に引き渡されるんですよね」
「おまえは差し出せるのか? あれほど怯え怖がっている者を、おまえは差し出すのか?」
カレルは言葉に詰まり、長々と息を吐き出した。
「……無茶を申しました。ユリウス様がそのような非道を許すお方ではないことは、よくわかっております。ですがもし事が露見した場合、いかがなさるおつもりです。たまたま見つけた拾い物のせいで、やっと落ち着いたこの地位までも手放すことになりかねませんぞ」
「……わかっている」
ユリウスの父、レオナルト・ベイエルはもと中央の貴族だった。領地も王都から程近い場所で、爵位も公爵位。初代バッケル王の傍系で国の中枢を担う存在だった。ユリウスはそのベイエル公爵家の一人息子として将来を嘱望され、侯爵家の令嬢との婚儀も決まっていた。
しかし十年前、前王ラドバウト崩御に伴いあとを継いだライニールが王位につくと、側近ヘルハルト・オーラフが宰相の座に付き、状況は一変した。噂ではヘルハルトは、オーラフ家が迎えた養子らしいが切れ者だった。いつの間にかライニール王の懐深く入り込み、王の絶対的な信頼のもと、オーラフ宰相はおのれに従わない者を次々に粛清していき、その過程で多くの者はオーラフ宰相側についた。ユリウスの父レオナルトは、そんなオーラフ宰相に与せず、独立した地位を保っていたが、アルメレ川の河川工事の是非を巡って激しく対立した。
結局、工事の反対を主張した父レオナルトが周りの支持を得られず敗北し、爵位も二段階降格の伯爵位に落とされ、今のモント領に領地替えとなり、中央からは去ることとなった。
モント領は隣国に接した国境線守備の最前線であり、冬も厳しい北の僻地だ。今でこそ豊富な森林資源を活用し、領内は潤っているが、十年前のモント領は、ただ国境線の守備にのみ重きを置かれた地で、領民の生活は悲惨なものだった。
多くの者が父の元から去った。ユリウスにもその波は寄せてきた。友と慕った同じ年頃の貴族の子息は去っていき、侯爵家の令嬢との婚約は、相手の親から一方的に破棄された。都落ちしていく将来性のないユリウスに、娘を嫁がせることはできない。その気持ちはよくわかる。ユリウスにはどうすることもできなかった。
父レオナルトは、一旦はモント領主におさまったが、すぐに息子のユリウスにその座を譲った。自身は今はユリウスの母と二人、モント領でも比較的南の地方で穏やかに暮らしている。
一方、十九歳でモント領主となったユリウスは、在野の貴族や領民と積極的に交わり、ここまでの領地へと導いてきた。忌憚のない意見をする者、ユリウスの顔色ではなく、真剣に領地の問題を解決しようと尽力する者。新鮮だった。そしていかに自分が今まで嘘と建前の世界にいたのかを痛感した。
都落ちしたことを、今のユリウスはむしろ前向きに捉えている。もしあのまま公爵家の跡取りとして中央にいたのでは、今の自分はいなかった。カレルをはじめ、リサ、ノルデン、アントンといった王都からついてきてくれた使用人たちへの見る目も、今とは違っていただろう。
「心配かけてすまない。カレル」
カレルの発言は、いつもユリウスの身を案じてのことだ。それでもどうしてもあの希少種を王宮騎士団につきだす気にはなれない。
ユリウスがそう言うと、カレルはやれやれとため息をつきながらも、「善処いたしましょう」と頭を下げた。
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