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第二章
頼られるのは嫌じゃない
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馬車の外にはなるべく出ないこと。
リサは出発前夜、注意事項のひとつにそう挙げた。一日目は忠実に守った。二日目も守るつもりだった。
でも休憩で止まった馬車の窓から小川が見えて、我慢できなくなった。ずっと座りっぱなしで体のあちこちが痛い。
思いっきり体を伸ばしたい欲求に、リサの方を見れば、気がついたリサが「少しだけね」と連れ出してくれた。
騎士団員たちとは距離をとり、フードを目深に被り木陰でリサと休んでいると、リサが誰かに呼ばれ、「ここで待っていてね」と木陰を離れていった。そのすぐあとに紺色の軍服を着た騎士団員がルカに話しかけてきた。
「ねぇ、君。リサさんの親戚の子なんだろ? 名前は何て言うの?」
突然話しかけられ、ルカは目深に被ったフードを握り、更に顔を隠した。
「……アリシアです」
かねてからの打ち合わせ通り、聞かれたことに答えを返した。
「ちょっと向こうへ行こうよ。二人だけで話したいんだ」
騎士団員の男は、そう言うやルカの腕をとって引っ張った。まだ年若い青年の騎士団員の力は強く、ルカは半ば引きずられるように木立の奥へと連れて行かれた。
「あの、放して。わたし戻らないと……」
「かわいいね、アリシア。少しだけだよ。大丈夫。すぐに戻るさ」
ルカは何度も放してと繰り返したが、青年は聞いていない。他の騎士団員たちの姿が見えない木立の陰にルカを立たせると、顔を覗き込んでくる。
「ねぇ、ちゃんと顔を見せてよ。リサさんの親戚ならきっと美人だ。王都での行儀見習いは一年ほどだろう? モント領に戻ったら、俺に会いに来てよ」
この人は、何を言っているのだろうか。
どうしてモント領に帰ったら、名前を知りもしないこの人に会いにいく必要があるのか。
言っていることが全くわからない。
「リサが心配するからわたし戻らないと」
ルカが脇をすり抜けようとすると、青年がルカの二の腕をつかんできた。強い力で引き戻され、体勢を崩したルカのフードがはらりと脱げる。
だんだん怖くなってきていたルカは、つかまれていない方の腕で顔を隠したが、その腕もつかまれる。
「……放して」
懸命に顔をうつむけ、黒い瞳を隠した。
悪意を向けられているわけではない。それはわかる。でも怖い。意思に反して腕をつかまれるのは嫌だ。
「おい、何をしている?」
どうしていいかわからず震えていると、ユリウスの声がした。と同時にルカをつかんでいた腕が外れ、ユリウスに脱げたフードをばさりと被せられた。
「おまえ、第ニ師団のアーベだな? 任務中に女を引っ掛けようとは、大した奴だ」
「ベイエル伯、これはその……」
「言い訳はいい。さっさと持ち場に戻れ」
「はっ」
青年は脱兎のごとく走り去った。
「大丈夫か? ルカ?」
顔を上げるとユリウスの碧い瞳が心配そうにこちらを見下ろしている。ルカはフードを被った頭を振った。
「……大丈夫、」
本当は大丈夫じゃなかった。でもぐっと歯を食いしばった。こんなことくらい平気になりたい。たぶん、何でもないことなんだ。
「強がるな。ほら、来いルカ」
ユリウスは背を屈めると両手をルカに差し出した。ルカは我慢できなくなって、ユリウスの大きな体躯に飛びついた。ユリウスはルカを抱き上げるとしっかりと抱きしめてくれる。ユリウスの腕に囲われ、ルカはほっと息をついた。安心感から強張っていた体が一気に脱力する。
「騎士団の奴らは若い者が多いからな。注意しておかなかった俺も悪い。いいか、ルカ。何かあればいつでも俺を頼れ。我慢はするな」
「ユリウスは、面倒じゃないの?」
こんなことで怯えて甘えてくるルカを、いちいち受け止めるのは大変なのではないだろうか。ユリウスには領主として、たくさんのやらなければいけないことがあるだろうに。
「ルカに頼られるのは嫌じゃない。むしろ頼られると嬉しい」
「そうなの?」
本当だろうか。でもいつもルカを大事にしてくれるユリウスの言う事なら本当なのかもしれない。
「ありがと、ユリウス。……大好き」
お礼の意味も込めてルカはユリウスの首にいつものように抱きついた。
「その大好きに、別の意味が含まれていたら、俺はもっと嬉しいんだがな」
ユリウスは自嘲気味に苦笑いしてそう言ったが、ルカには意味はわからなかった。
元の木陰にユリウスと戻ると、リサはほっとしたようにルカを抱きしめた。
「よかった。心配したのよ」
ユリウスが事情を説明し、再び馬車に戻ると休憩を終えた一行は出発した。
二日目の夜は街の宿屋に分宿した。
リサと二人部屋だったが、ルカは早々にベッドを抜け出した。疲れているはずなのにやっぱり眠れない。リサはベッドに入ってすぐに寝入ってしまった。一人ぽつんと部屋にいると、ただでさえ眠れないのに余計に目が冴える。思い出すのは昨夜のユリウスの温もりだ。
昨夜ユリウスは一緒に寝てくれた。酔ってはいたけれど、いつものように自室に戻るようにとは言わなかった。今日ももしかしたらユリウスのベッドに潜り込めるかもしれない。
期待をいだきながらルカはフードを被り直し、隣のユリウスの部屋へ向かった。扉の前には騎士団の護衛が二人立っていた。
ルカが近づくと、そのうちの一人がルカに声をかけた。
「アリシア。昼間はどうも」
アリシアと言われ、フードの影からちらりとみると、昼間ルカの腕をつかみ、ユリウスにアーベと呼ばれていた青年だった。
「こんな時間にベイエル伯に何か用かい?」
「あの……。えっと…」
どう答えるのが正解なのだろう。わからず俯けていた顔を更に俯ける。するとアーベは何を勘違いしたのか。一人合点した。
「ああ、なるほど。そういうことか。アリシア、君ベイエル伯に夜這いでもかける気かい? でもね、ベイエル伯はだめだよ。中央にいらっしゃる元婚約者のご令嬢を今も忘れられないそうだからね。ベイエル伯が、女という女を寄せ付けないというのは、有名な話だよ」
「何をしておられるのです?」
ユリウスの部屋の扉が開き、中からカレルが出てきた。話し声が聞こえていたのだろう。カレルはじろりとアーベを睨みつけ、ルカにあえて厳しい目を向けた。
「アリシア、遅いですぞ。頼んでいた物は持ってきてくれましたか?」
訳はわからなかったが、なんとなく話を合わせるべきなのだとわかったルカは頷いた。
「……はい」
「それなら早く入りなさい」
カレルはルカを部屋に入れ、アーベを見た。
「君。アリシアが来たならお通しするようにとユリウス様から聞いていなかったのか?」
アーベはバツが悪そうに頭をぺこりと下げる。
「すみません、お伺いしておりました」
「君もだ」
カレルは次にアーベと一緒に警護についてたもう一人の騎士にも目を向ける。
「どうなんだね? 君も知っていただろう?」
「はい、聞いておりました」
「全く。知っていたのなら、仲間の行動を諌めるべきだ。違うかね?」
「はっ」
アーベと一緒に立っていたもう一人の騎士もとばっちりを受け、騎士はアーベを睨みつけた。
騎士二人を叱責し、部屋の扉を閉めたカレルは呆れたようにルカを見た。
「なんかカレル、怒ってる?」
ユリウスの服の裾を握りしめながら恐る恐る聞いてみる。カレルははぁと大きなため息をついた。
「怒ってはおりません。ルカの他意のなさに愕然としているだけにございます」
「まぁそう言うな、カレル。仕方なかろう?」
ユリウスは不安げなルカを抱き上げた。
が、カレルは「そうはいきません」とルカを見上げた。
リサは出発前夜、注意事項のひとつにそう挙げた。一日目は忠実に守った。二日目も守るつもりだった。
でも休憩で止まった馬車の窓から小川が見えて、我慢できなくなった。ずっと座りっぱなしで体のあちこちが痛い。
思いっきり体を伸ばしたい欲求に、リサの方を見れば、気がついたリサが「少しだけね」と連れ出してくれた。
騎士団員たちとは距離をとり、フードを目深に被り木陰でリサと休んでいると、リサが誰かに呼ばれ、「ここで待っていてね」と木陰を離れていった。そのすぐあとに紺色の軍服を着た騎士団員がルカに話しかけてきた。
「ねぇ、君。リサさんの親戚の子なんだろ? 名前は何て言うの?」
突然話しかけられ、ルカは目深に被ったフードを握り、更に顔を隠した。
「……アリシアです」
かねてからの打ち合わせ通り、聞かれたことに答えを返した。
「ちょっと向こうへ行こうよ。二人だけで話したいんだ」
騎士団員の男は、そう言うやルカの腕をとって引っ張った。まだ年若い青年の騎士団員の力は強く、ルカは半ば引きずられるように木立の奥へと連れて行かれた。
「あの、放して。わたし戻らないと……」
「かわいいね、アリシア。少しだけだよ。大丈夫。すぐに戻るさ」
ルカは何度も放してと繰り返したが、青年は聞いていない。他の騎士団員たちの姿が見えない木立の陰にルカを立たせると、顔を覗き込んでくる。
「ねぇ、ちゃんと顔を見せてよ。リサさんの親戚ならきっと美人だ。王都での行儀見習いは一年ほどだろう? モント領に戻ったら、俺に会いに来てよ」
この人は、何を言っているのだろうか。
どうしてモント領に帰ったら、名前を知りもしないこの人に会いにいく必要があるのか。
言っていることが全くわからない。
「リサが心配するからわたし戻らないと」
ルカが脇をすり抜けようとすると、青年がルカの二の腕をつかんできた。強い力で引き戻され、体勢を崩したルカのフードがはらりと脱げる。
だんだん怖くなってきていたルカは、つかまれていない方の腕で顔を隠したが、その腕もつかまれる。
「……放して」
懸命に顔をうつむけ、黒い瞳を隠した。
悪意を向けられているわけではない。それはわかる。でも怖い。意思に反して腕をつかまれるのは嫌だ。
「おい、何をしている?」
どうしていいかわからず震えていると、ユリウスの声がした。と同時にルカをつかんでいた腕が外れ、ユリウスに脱げたフードをばさりと被せられた。
「おまえ、第ニ師団のアーベだな? 任務中に女を引っ掛けようとは、大した奴だ」
「ベイエル伯、これはその……」
「言い訳はいい。さっさと持ち場に戻れ」
「はっ」
青年は脱兎のごとく走り去った。
「大丈夫か? ルカ?」
顔を上げるとユリウスの碧い瞳が心配そうにこちらを見下ろしている。ルカはフードを被った頭を振った。
「……大丈夫、」
本当は大丈夫じゃなかった。でもぐっと歯を食いしばった。こんなことくらい平気になりたい。たぶん、何でもないことなんだ。
「強がるな。ほら、来いルカ」
ユリウスは背を屈めると両手をルカに差し出した。ルカは我慢できなくなって、ユリウスの大きな体躯に飛びついた。ユリウスはルカを抱き上げるとしっかりと抱きしめてくれる。ユリウスの腕に囲われ、ルカはほっと息をついた。安心感から強張っていた体が一気に脱力する。
「騎士団の奴らは若い者が多いからな。注意しておかなかった俺も悪い。いいか、ルカ。何かあればいつでも俺を頼れ。我慢はするな」
「ユリウスは、面倒じゃないの?」
こんなことで怯えて甘えてくるルカを、いちいち受け止めるのは大変なのではないだろうか。ユリウスには領主として、たくさんのやらなければいけないことがあるだろうに。
「ルカに頼られるのは嫌じゃない。むしろ頼られると嬉しい」
「そうなの?」
本当だろうか。でもいつもルカを大事にしてくれるユリウスの言う事なら本当なのかもしれない。
「ありがと、ユリウス。……大好き」
お礼の意味も込めてルカはユリウスの首にいつものように抱きついた。
「その大好きに、別の意味が含まれていたら、俺はもっと嬉しいんだがな」
ユリウスは自嘲気味に苦笑いしてそう言ったが、ルカには意味はわからなかった。
元の木陰にユリウスと戻ると、リサはほっとしたようにルカを抱きしめた。
「よかった。心配したのよ」
ユリウスが事情を説明し、再び馬車に戻ると休憩を終えた一行は出発した。
二日目の夜は街の宿屋に分宿した。
リサと二人部屋だったが、ルカは早々にベッドを抜け出した。疲れているはずなのにやっぱり眠れない。リサはベッドに入ってすぐに寝入ってしまった。一人ぽつんと部屋にいると、ただでさえ眠れないのに余計に目が冴える。思い出すのは昨夜のユリウスの温もりだ。
昨夜ユリウスは一緒に寝てくれた。酔ってはいたけれど、いつものように自室に戻るようにとは言わなかった。今日ももしかしたらユリウスのベッドに潜り込めるかもしれない。
期待をいだきながらルカはフードを被り直し、隣のユリウスの部屋へ向かった。扉の前には騎士団の護衛が二人立っていた。
ルカが近づくと、そのうちの一人がルカに声をかけた。
「アリシア。昼間はどうも」
アリシアと言われ、フードの影からちらりとみると、昼間ルカの腕をつかみ、ユリウスにアーベと呼ばれていた青年だった。
「こんな時間にベイエル伯に何か用かい?」
「あの……。えっと…」
どう答えるのが正解なのだろう。わからず俯けていた顔を更に俯ける。するとアーベは何を勘違いしたのか。一人合点した。
「ああ、なるほど。そういうことか。アリシア、君ベイエル伯に夜這いでもかける気かい? でもね、ベイエル伯はだめだよ。中央にいらっしゃる元婚約者のご令嬢を今も忘れられないそうだからね。ベイエル伯が、女という女を寄せ付けないというのは、有名な話だよ」
「何をしておられるのです?」
ユリウスの部屋の扉が開き、中からカレルが出てきた。話し声が聞こえていたのだろう。カレルはじろりとアーベを睨みつけ、ルカにあえて厳しい目を向けた。
「アリシア、遅いですぞ。頼んでいた物は持ってきてくれましたか?」
訳はわからなかったが、なんとなく話を合わせるべきなのだとわかったルカは頷いた。
「……はい」
「それなら早く入りなさい」
カレルはルカを部屋に入れ、アーベを見た。
「君。アリシアが来たならお通しするようにとユリウス様から聞いていなかったのか?」
アーベはバツが悪そうに頭をぺこりと下げる。
「すみません、お伺いしておりました」
「君もだ」
カレルは次にアーベと一緒に警護についてたもう一人の騎士にも目を向ける。
「どうなんだね? 君も知っていただろう?」
「はい、聞いておりました」
「全く。知っていたのなら、仲間の行動を諌めるべきだ。違うかね?」
「はっ」
アーベと一緒に立っていたもう一人の騎士もとばっちりを受け、騎士はアーベを睨みつけた。
騎士二人を叱責し、部屋の扉を閉めたカレルは呆れたようにルカを見た。
「なんかカレル、怒ってる?」
ユリウスの服の裾を握りしめながら恐る恐る聞いてみる。カレルははぁと大きなため息をついた。
「怒ってはおりません。ルカの他意のなさに愕然としているだけにございます」
「まぁそう言うな、カレル。仕方なかろう?」
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