堅物辺境伯の溺愛〜虐げられた王宮奴隷は逃げ出した先で愛を知る〜

咲木乃律

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第四章

大失敗、からの*

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 ルカに噛みつかれ、ユリウスははっとして顔を上げた。
 見ると枕に半分埋まったルカの顔が真っ赤で、怯えたようにこちらを見上げている。
 しまったと思った時には遅かった。

「ユリウスのばか」

 ぽかりと頭を叩かれる。ユリウスにとっては痛くもなんともないが。

「あ、いや、その」

 ユリウスは慌ててルカから手を離した。ただ夢中でルカに触れていて、ルカの下着の中にまで入っている己の手に愕然とした。我慢しなくていいとルカは言ったが、その意味をルカがわかっていたはずがない。
 真に受けて、自分の欲をぶつけるように貪ってしまった。ユリウスは後悔のため息を付き、ルカの上から体をどけた。こんな状況にもかかわらず、己の下半身はしっかり反応していて、これ以上ないくらい張り詰めている。王都からこっちへ帰ってくるまで。ルカの見張りのために結局欲を一度も吐き出せていない。今の触れ合いでユリウスはもう限界だった。
 いそいそと立ち上がると、ルカがついてくる。

「ユリウス、あの、ばかって言ってごめん」

 見張りでついてきたのかと思ったらそうではなかった。ルカはしょんぼり項垂れて、浴室へ行こうとするユリウスの服の裾をつまんだ。

「もしかして、ユリウスはルカのお尻に入れたいの? 我慢してるってそういうこと?」

「いや、その」

 尻に入れるという勘違いはまだ続行中のようだが、ユリウスの言う欲が何なのかはうっすらと理解したらしい。

「気づかなくてごめんね、ユリウス。その、痛そうだけどユリウスがどうしてもって言うならわたし……」

 ルカが何を考えているのかはわかる。ユリウスはそれは違うぞと首を振った。

「ルカの代わりに受け取るとは言ったが、だからといってその代わりに差し出そうなどと考えるなよ」

「でもユリウスとってもつらそうだから」

「また怖い目をみるのは嫌だろう? 俺だってルカを怖がらせるのは本意じゃない。さっきは悪かった」

 こちらに伸ばそうとするルカの手を遮って、浴室に入ると扉を閉めた。服を着たまま、頭から水を浴びた。熱を持った体が急速に冷えていく。
 失敗だ。大失敗だ。

「はぁ……」

 ユリウスは壁面に頭をゴンッとぶつけた。









***






※男性と両性との絡みあります。苦手な方は飛ばしてください。








――――――――――――――――――――――








「ねぇディック、フォリス。男の人が欲を我慢するって言ったら、どんな時なの?」

 夕食後、久しぶりに再会したディックとフォリスの部屋にルカはやって来た。ベッドの上で楽しげに話しているディックとフォリスの前にルカは居座り、問いを投げかけた。
 我慢しなくていいと言ったのはルカなのに、体を触られるのが怖くてユリウスに噛みついた。ユリウスは傷ついた顔をして、項垂れた。ユリウスに後悔させてしまった。手を伸ばしたのに、拒絶するように避けられたのが悲しかった。それもこれも自分のせいだと思うと、余計に悲しい。
 結局のところ、ユリウスの望むことが何かを、ルカがきちんと理解していなかったことが原因だ。
 リサかカレルに聞こうと思ったが、二人は帰ってきたところでやることがたくさんあり、忙しそうだった。それでこうしてディックとフォリスの部屋へと乗り込んだのだ。
 ルカの質問を聞いて、ディックもフォリスもえっというように動きを止めた。

「わたし、何か変なこと聞いた?」

「いや、そのな。それってどういう状況でのことを言ってるんだ? 念のため聞くけどさ」

 ディックが恐る恐るといった様子で聞いてくる。

「キスしてるとき」

「「…………」」

「え、なんで黙るの?」

「いやな、今ユリウスが強烈に気の毒に思えてきた」

「ディック。僕もだよ」

 ディックとフォリスは見つめあい、うんと頷きあう。

「ほんとはユリウスに止められてるんだけどな。これもあいつのためだ」

「だね。このままじゃルカも嫌なんでしょ?」

 フォリスの言葉にルカはうんと頷く。
 それを見て二人は顔を見合わせ合うと、顔を寄せ合いキスをした。
 
 その後に起こったことは、ルカにしてみれば衝撃的な出来事だった。ディックの怒張したものが、フォリスの女の部分にあてがわれたときは、思わず「お尻じゃないの?」と素朴な疑問を発し、そこからかよとディックとフォリスに呆れられた。
 とても痛そうだと思ったが、フォリスは難なくディックをのみこみ、喉をのけ反らせて喘ぎ、抑えきれない声を漏らした。ディックはディックで夢中になって腰を打ちつけ、フォリスの胸の頂きを口に含んだり、フォリスのものを手で擦ったりしてフォリスの全身を貪った。フォリスは最後にハルムのようにセーエキを吐き出した。とても気持ちよさそうだった。
 
 事が終わって落ち着いたところで、ルカは興味津々にフォリスに聞いた。

「痛くないの?」

「痛くないよ。とても気持ちいい」

「うそ」

 セーエキを吐き出すのは気持ちいいのかもしれないが、あそこは王宮での月一の診察では、器具を入れられて痛かった場所だ。お尻も痛そうだと思っていたけれど、あんなところに入れたらもっと痛そうだ。疑わしそうなルカの目に、フォリスは笑った。

「そりゃ初めは少し痛いよ。でも、ディックに気持ちよくなってもらいたいって思ったら何でもないよ。ディックと繋がりたい。その気持ちがあれば、多少のことは我慢できた。ルカだってユリウスには我慢してほしくないんでょ?」

「それは、そうだけど……」

 ユリウスはルカを奴隷として登録しても、お尻にはいれないと言っていた。性奴隷としては扱わないという意味だとわかっている。だから、ユリウスがルカとそういうことをしたいと思っているのは、もっと別の感情からだ。それが何かはわからないけれど、ルカがユリウスに抱く感情とそれは、きっと同じなのだということはわかる。

「痛いのは初めだけだよ。それにね、ユリウスなら丁寧にしてくれるだろうから、きっとそんなに痛くないよ」

 フォリスがぽんぽんとルカの頭を撫でた。同じ黒い目に見つめられ、ルカは、よしとこぶしを握りしめた。

「わたし……。ユリウスを押し倒してセーエキ出してくる」

「えっと…。ちょっと飛躍してるけど、まぁいっか」

 がんばっておいでとディックとフォリスに送り出され、ルカは勇んでユリウスの部屋に突入した。








 
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