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第二章
無情の夜 2
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その日の夕食に何を食べたのか、ヨハンナはほとんど覚えていない。いつも通りに振舞おう振舞おうと思えば思うほど、ぎこちない動きになっているような気がして、何度も上座に座るセヴェリの様子を盗み見た。
自室に引き揚げ、ヘリが部屋の明かりを落としていくと、ヨハンナはすぐに起き上がった。
夜中の森になら一度逃げ出そうとしたことがある。その時と同じ、なるべく簡素で動きやすい服装を選び、夜着から着替える。
長い髪は邪魔にならないよう一つにまとめ、夜の十二時になる少し前に部屋の扉を開けた。
廊下には同じように動きやすい服装をし、小さな布袋を提げたアマンダの姿があり、ヨハンナが出てくるのを待っていた。
ヨハンナとアマンダは無言で頷きあうと、そっと廊下を歩き、屋敷を抜け出した。
屋敷を抜け出すのは簡単だった。
そこから森の、アランとの待ち合わせ場所である湖から更に森深くへ分け入った、昼間アランと会った場所へと進む。
手を引くアマンダは途中何度も後ろを振り返った。
「どうかしたの?」
ヨハンナが足を止めずに聞くと、アマンダは「ううん…」と首を振る。
「ただ、不安で……」
今にもセヴェリが姿を現すのではないかと、
ヨハンナもアマンダ同様、気が気ではなかった。
が、背後からは何の物音も聞こえず、今夜は風がないので木々のざわめきも聞こえない。
静か過ぎるほど静かだ。
森をぐんぐん進んでいくと、目の前の少し開けた場所にアランが佇み、こちらを見ていた。
「その子がアマンダか?」
アランの問いかけにアマンダは頷き、ぼうっとアランを見上げた。暗闇でもわかる琥珀の瞳を物珍しげに覗きこむ。
「行くぞ」
アランは短く先を促し、足早に森を更に進んでいく。
ヨハンナもアマンダも遅れまいとアランの後を小走りに追った。
アランは迷うことなく森を進んだ。
下草をかき分け、時折がさごそと動く獣の気配を敏感に察し、それを避けて進んでいく。
一体どれほど歩いただろう。足が痛んで根を上げそうになった頃、目の前にそそり立つ石壁が現れた。
周囲の森と同じくらい高い。
「これを、……超えられるの?」
アマンダが呆然と呟く。
ヨハンナも同じように思った。アランはちょっと超えてきたなどと気軽に言っていたから、ここまで高い壁があるとは思っていなかった。
壁にはロープが垂れており、壁の上には一人の男がいて、こちらに手を振っている。
「よお、アラン。早くしようぜ」
アランは、あれは友のランドルフだと言い、怖がるアマンダにロープを結んだ。
「大丈夫。ランドルフが引き揚げてくれる」
アランはランドルフに合図を送ったが、アマンダは「いや、怖い」と懸命に首を振った。
「あんな高いところ、私怖い。無理よ。落ちちゃう」
泣き顔で首を振り嫌がる。
「仕方ないな」
アランは、「ヨハンナはちょっと待っててくれ」と言い、アマンダに背を向けた。
「ほら、早く負ぶされ。背負って登ってやるから。万が一手を離しても、ランドルフが体に巻いたロープを支えているから落ちやしない」
ほらとアランがアマンダを促す。
アマンダはどうしようかと迷う風に両手を胸の前で握り締めては開きを繰り返し、しきりに森の方へと視線を泳がせる。
何かを待っているようなそのしぐさに違和感を覚え、ヨハンナはアマンダの視線の先へと目をやった。
―――パンッ…パンッ…――
乾いた鋭い音が、静寂を切り裂き響いたのはその時だ。
音と同時にアランが右肩を押さえ、ヨハンナの左足ももに激痛が走った。
……パンッ――
訳の分からないままに再び同じ音が響き渡り、今度は右足ももにも激痛が走った。ヨハンナは立っていられなくなり、その場に崩れ落ちた。
「ヨハンナ!」
アランの白いシャツには、右肩を起点とし、赤い染みが広がっている。
アランが右肩を押さえながらヨハンナに駆け寄ろうとすると、それより早くアマンダがヨハンナの側にひざまずいた。
「来ないで!」
ヨハンナの首にひやりとした感触が触れる。鋭利なナイフをヨハンナの首に押し当てたアマンダの手は震えていた。
「これ以上近寄ったらヨハンナを切る」
一体何が起こっているのか。ヨハンナにはわからなかった。
アランが息をのむ姿が視界の端に映る。
それへ向けて再び二三発同じ音が響き、それが銃声であることを、痛みに朦朧とする頭でようやく理解する。
自身の足を触るとぬるりとした感触。足に触れた両手を目の前に広げると、闇夜でもわかるほどの鮮血に錆び付いた血の匂い。
見上げるとアランは銃声にいち早く反応し、器用に身をかわし、銃弾を避けて横に跳んだ。
うずくまるヨハンナを見下ろし、アマンダの握るナイフに視線を向け、距離を測っている。
けれどアランが動くより先に再び銃声が響き、アランの足元に数発の銃弾が吸い込まれていく。
「アラン! 無理だ! おまえまでやられちまう。戻って来い!」
壁の上からランドルフが叫び、腰から短銃を取り出すと森の方へ向かって一発、二発と銃弾を放つ。
眠りを起された鳥たちが一斉に飛び立ち、木立の影からセヴェリが姿を現した。
闇の使者のように影を纏い、セヴェリはほの暗い眼差しをランドルフ、ついでアランに向けると、手にしていた銃をアランに向ける。
それを目にしたヨハンナは痛みに震える足で立ち上がり、アマンダを突き飛ばすとセヴェリに突進した。
動けないと思っていたのだろう。ヨハンナに不意をつかれ、セヴェリの放った銃弾はアランを逸れた。
なおも引き金に手をかけるセヴェリの腕を、ヨハンナは必死でつかんだ。
照準をずらされ、引き金から指を離したセヴェリは、片手で無造作にヨハンナの首の枷を掴むと、そのまま自身の目線の高さまで引き揚げた。
ヨハンナの足が地面から浮き、首枷だけで持ち上げられたヨハンナは苦しくて、喉の奥からうめき声を漏らした。
「ヨハンナ!」
アランは狂ったように絶叫し、駆け寄ろうとしたが、それより先にランドルフがアランの下まで下りてきて、アランの右腕を掴み上げた。
「冷静になれ! アラン。今は無理だ」
ランドルフは右肩の痛みに呻くアランの体にロープをかける。
「行かせろ! ランドルフ!」
「落ち着けアラン! 森の中にまだ銃を構えている奴がいる。今は無理だ」
「くそっ!」
「ここでおまえまでやられたら、ヨハンナを二度と助けられないぞ」
ランドルフの言葉に、アランは大きく何度か深呼吸し、ヨハンナの方を見た。両足からは血が滴り落ちている。
アランはヨハンナの首枷を掴む背の高い男を睨みつけた。くすんだエメラルドの冷徹な瞳が堂々とアランを見返してくる。
身体中の血が沸騰し、今すぐやにわに男に突進したい気持ちを、アランは無理矢理ねじ伏せた。
森の奥から撃鉄を起こす微かな音を聞き分け、「わかった」とランドルフに答え、次の瞬間には石壁を登りはじめた。
―――――――………。
右肩の負傷をものともせず、アランの姿がみるみる壁上へと遠ざかる。
それをヨハンナは目で追い、無事に壁の向こうへ消えていくのを確認すると、闇が視界を侵食していくのにまかせ、意識を手放した。
自室に引き揚げ、ヘリが部屋の明かりを落としていくと、ヨハンナはすぐに起き上がった。
夜中の森になら一度逃げ出そうとしたことがある。その時と同じ、なるべく簡素で動きやすい服装を選び、夜着から着替える。
長い髪は邪魔にならないよう一つにまとめ、夜の十二時になる少し前に部屋の扉を開けた。
廊下には同じように動きやすい服装をし、小さな布袋を提げたアマンダの姿があり、ヨハンナが出てくるのを待っていた。
ヨハンナとアマンダは無言で頷きあうと、そっと廊下を歩き、屋敷を抜け出した。
屋敷を抜け出すのは簡単だった。
そこから森の、アランとの待ち合わせ場所である湖から更に森深くへ分け入った、昼間アランと会った場所へと進む。
手を引くアマンダは途中何度も後ろを振り返った。
「どうかしたの?」
ヨハンナが足を止めずに聞くと、アマンダは「ううん…」と首を振る。
「ただ、不安で……」
今にもセヴェリが姿を現すのではないかと、
ヨハンナもアマンダ同様、気が気ではなかった。
が、背後からは何の物音も聞こえず、今夜は風がないので木々のざわめきも聞こえない。
静か過ぎるほど静かだ。
森をぐんぐん進んでいくと、目の前の少し開けた場所にアランが佇み、こちらを見ていた。
「その子がアマンダか?」
アランの問いかけにアマンダは頷き、ぼうっとアランを見上げた。暗闇でもわかる琥珀の瞳を物珍しげに覗きこむ。
「行くぞ」
アランは短く先を促し、足早に森を更に進んでいく。
ヨハンナもアマンダも遅れまいとアランの後を小走りに追った。
アランは迷うことなく森を進んだ。
下草をかき分け、時折がさごそと動く獣の気配を敏感に察し、それを避けて進んでいく。
一体どれほど歩いただろう。足が痛んで根を上げそうになった頃、目の前にそそり立つ石壁が現れた。
周囲の森と同じくらい高い。
「これを、……超えられるの?」
アマンダが呆然と呟く。
ヨハンナも同じように思った。アランはちょっと超えてきたなどと気軽に言っていたから、ここまで高い壁があるとは思っていなかった。
壁にはロープが垂れており、壁の上には一人の男がいて、こちらに手を振っている。
「よお、アラン。早くしようぜ」
アランは、あれは友のランドルフだと言い、怖がるアマンダにロープを結んだ。
「大丈夫。ランドルフが引き揚げてくれる」
アランはランドルフに合図を送ったが、アマンダは「いや、怖い」と懸命に首を振った。
「あんな高いところ、私怖い。無理よ。落ちちゃう」
泣き顔で首を振り嫌がる。
「仕方ないな」
アランは、「ヨハンナはちょっと待っててくれ」と言い、アマンダに背を向けた。
「ほら、早く負ぶされ。背負って登ってやるから。万が一手を離しても、ランドルフが体に巻いたロープを支えているから落ちやしない」
ほらとアランがアマンダを促す。
アマンダはどうしようかと迷う風に両手を胸の前で握り締めては開きを繰り返し、しきりに森の方へと視線を泳がせる。
何かを待っているようなそのしぐさに違和感を覚え、ヨハンナはアマンダの視線の先へと目をやった。
―――パンッ…パンッ…――
乾いた鋭い音が、静寂を切り裂き響いたのはその時だ。
音と同時にアランが右肩を押さえ、ヨハンナの左足ももに激痛が走った。
……パンッ――
訳の分からないままに再び同じ音が響き渡り、今度は右足ももにも激痛が走った。ヨハンナは立っていられなくなり、その場に崩れ落ちた。
「ヨハンナ!」
アランの白いシャツには、右肩を起点とし、赤い染みが広がっている。
アランが右肩を押さえながらヨハンナに駆け寄ろうとすると、それより早くアマンダがヨハンナの側にひざまずいた。
「来ないで!」
ヨハンナの首にひやりとした感触が触れる。鋭利なナイフをヨハンナの首に押し当てたアマンダの手は震えていた。
「これ以上近寄ったらヨハンナを切る」
一体何が起こっているのか。ヨハンナにはわからなかった。
アランが息をのむ姿が視界の端に映る。
それへ向けて再び二三発同じ音が響き、それが銃声であることを、痛みに朦朧とする頭でようやく理解する。
自身の足を触るとぬるりとした感触。足に触れた両手を目の前に広げると、闇夜でもわかるほどの鮮血に錆び付いた血の匂い。
見上げるとアランは銃声にいち早く反応し、器用に身をかわし、銃弾を避けて横に跳んだ。
うずくまるヨハンナを見下ろし、アマンダの握るナイフに視線を向け、距離を測っている。
けれどアランが動くより先に再び銃声が響き、アランの足元に数発の銃弾が吸い込まれていく。
「アラン! 無理だ! おまえまでやられちまう。戻って来い!」
壁の上からランドルフが叫び、腰から短銃を取り出すと森の方へ向かって一発、二発と銃弾を放つ。
眠りを起された鳥たちが一斉に飛び立ち、木立の影からセヴェリが姿を現した。
闇の使者のように影を纏い、セヴェリはほの暗い眼差しをランドルフ、ついでアランに向けると、手にしていた銃をアランに向ける。
それを目にしたヨハンナは痛みに震える足で立ち上がり、アマンダを突き飛ばすとセヴェリに突進した。
動けないと思っていたのだろう。ヨハンナに不意をつかれ、セヴェリの放った銃弾はアランを逸れた。
なおも引き金に手をかけるセヴェリの腕を、ヨハンナは必死でつかんだ。
照準をずらされ、引き金から指を離したセヴェリは、片手で無造作にヨハンナの首の枷を掴むと、そのまま自身の目線の高さまで引き揚げた。
ヨハンナの足が地面から浮き、首枷だけで持ち上げられたヨハンナは苦しくて、喉の奥からうめき声を漏らした。
「ヨハンナ!」
アランは狂ったように絶叫し、駆け寄ろうとしたが、それより先にランドルフがアランの下まで下りてきて、アランの右腕を掴み上げた。
「冷静になれ! アラン。今は無理だ」
ランドルフは右肩の痛みに呻くアランの体にロープをかける。
「行かせろ! ランドルフ!」
「落ち着けアラン! 森の中にまだ銃を構えている奴がいる。今は無理だ」
「くそっ!」
「ここでおまえまでやられたら、ヨハンナを二度と助けられないぞ」
ランドルフの言葉に、アランは大きく何度か深呼吸し、ヨハンナの方を見た。両足からは血が滴り落ちている。
アランはヨハンナの首枷を掴む背の高い男を睨みつけた。くすんだエメラルドの冷徹な瞳が堂々とアランを見返してくる。
身体中の血が沸騰し、今すぐやにわに男に突進したい気持ちを、アランは無理矢理ねじ伏せた。
森の奥から撃鉄を起こす微かな音を聞き分け、「わかった」とランドルフに答え、次の瞬間には石壁を登りはじめた。
―――――――………。
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