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第二章 セストの心を占めるのは
人生初のキスの味は……
あんなことをされた後に眠れるわけなんかない。
セストが部屋を出ていっても、ロザリアはまんじりともせず天井の模様を見上げていた。
「……はぁ…」
そして何度目かになるかわからないため息をつく。口の中にはまだセストの舌の感覚が残っていて、絡められていた指先がなぜか熱い。
「ああ、だめだ……」
ロザリアはがばりと掛布を跳ね上げて起き上がった。腕の痛みはとっくに感じなくなっていた。もう普通に動ける。まさか病人を最後まで喰うことはないだろうが、野獣のいる屋敷にこれ以上留まることはできない。
これは、大好きなTL展開そのものだが、あれは読んで楽しむものであって、決して自ら体験するものではない。いや、それは本音を言えばほんのちょっとは興味はあるけれど、でもでもあんなことやこんなことはわたしにはできない!
鬼の居ぬ間に早く退散すべきだろう。ロザリアはいそいそと立ち上がると、そっと床に足をおろした。誰が着替えさせたのか、服が真っ白なワンピースに変わっている。枕元を見ると、腕の辺りが破れ、血のこびりついた元々着ていた服が置いてあった。思わず首元を引っ張り、中の下着を確認した。―――元のままだった。
ロザリアは部屋の扉をそっと押し開いた。ギィと軋んだ音がなり、思わず扉に向かってしぃーっと人差し指を立てた。
開いた隙間から廊下を覗くと、しんと静まり返っている。抜き足差し足壁伝いに階下へ続く階段を目指した。
「このバカが。どこに行くつもりだ?」
「ひぃっ!」
いくらも行かない内に、後ろからセストの声が降ってきて、ロザリアは飛び上がった。恐る恐る振り返ると、腕を組んで仁王立ちしたセストが、緑眼を冷たく細めていた。
「寝ていろと言っただろう。腕の痛みは取れたようだが、まだ完全に黒妖犬の毒を解毒できたわけじゃない。誰が動いていいと言った?」
「えっと、その…。ト、トイレはどこかなぁ、なんて…」
しどろもどろに咄嗟に思いついたことを言うと、セストは顎をしゃくった。
「あっちだ」
それは階段とは真逆の方角で、ロザリアは「へへへ」と意味なく笑って方向を転換した。
「あっ」
そのとたん、足がもつれて転びそうになる。右腕をかばった変な体勢のまま体が傾いたが、床に打ち付ける前に目に見えない力に支えられた。
「あ、ありがと」
セストが魔法でロザリアが倒れるのを防いでくれたことは明らかだ。お礼を言うと、セストは大股に近づいてきて、さっとロザリアを抱き上げた。
「危なっかしい奴だ。トイレなら俺が連れて行ってやる」
「あわわわわ。じ、自分で歩けるから!」
すぐ近くにセストの顔がある。程よい厚みの形のいい唇が視界に入り、先程のキスを思い出したロザリアの鼓動がどっどっと跳ねた。
「なに、遠慮するな。それとも何か? 転んで更に怪我をして、もっと俺の世話になりたいのか?」
「……すみません」
思わずしゅんとすると、セストはくつくつと笑った。
「しおらしいロザリアはかわいいよ」
「…思ってないくせに」
「そんなことないさ。ほら、着いたぞ」
トイレと思われる扉の前でおろされた。セストは腕を組んでその場に待機の姿勢だ。
「えっと、その。もう少し向こうに行っててくれる?」
とっさについた嘘だったけれど、本当にトイレに行きたくなってきた。あんまり扉の前で待たれると、音とかいろいろ……。かなり恥ずかしい。
「おまえは信用ならないからな。見張っていないと勝手に抜け出そうとするだろう?」
やっぱり屋敷を出ようとしたことはばれているようだ。もうしませんと誓い、不満そうだったがなんとかセストを扉の前から遠ざけた。
トイレから出ると、また廊下の向こうから大股でセストが近づいてきた。そして当然のようにロザリアを抱き上げ、元の部屋のベッドにロザリアを沈めた。
「何かあったら呼べよ。屋敷内の声は、どんなに小さな声でも俺には聞こえる」
そのまま部屋を出ていこうとするので、その背中にロザリアは「あ、あの」と呼びかけた。
「なんだ?」
「その、ありがと…」
優しくされると勘違いしそうになる。ロザリアが礼を言うと、セストはふっと笑った。その笑顔が、心からのものだとわかったロザリアはとても嬉しかったのだけれど…。
「礼なら体で返してくれてもいいぞ」
放たれたその言葉に、思わず枕を投げつけた。が、当然のごとく枕は魔法によってセストに届くことはなく、人を小馬鹿にしたようにくるくる回って返ってきた。
「最低! わたしの初キス返して!」
「ああ、初めてだったのか。なんならついでに最後まで体験してみるか?」
「バカっ!」
ぶるぶるとこぶしを震わせて叫ぶと、セストは声高に笑って部屋を出ていった。
ガチャンと扉から音がしたから、鍵を閉められたようだった。
そこからもまたロザリアは眠ることはできず、悶々としてベッドの上で横になっていた。安静にしていろと釘を刺された手前、眠れなくても横になっているしかない。
暇なので部屋内の調度類を見回した。
ロザリアの眠る大きなベッド以外は、サイドテーブルにスツール、サイドボードにローテーブルとソファ。
それだけの部屋だ。置かれた家具はどれも同じ蔦模様が入っていて、初めて見る意匠だった。
不思議な紋様の家具は目を引くが、いかにも男の一人部屋といった雰囲気だ。ロザリアの寝ているこのベッドも、セストが普段寝起きしているベッドなのかもしれない。
そう思うと、なんとなくセストの匂いがするような気がする。
「わたしってば何考えてんだろ……」
いきなりの濃厚なキスから、思考がおかしな方向へ向かっている。セストにしてみれば、数あるキスの一つに過ぎないことはわかっているつもりなのに。
「はぁ…」
それなのにためいきが出るのはどうしてなのだろう。
大人しく横になり、ぼんやりと天井を見上げること小一時間ほど。
部屋の鍵が開き、セストが顔を見せた。
「ちゃんと横になっていたようだな」
視線だけ動かしてセストを見る。ベッドの上で大人しくしていたロザリアを、満足そうに見下ろすセストと目があった。
あれから眠れずセストのことばかり考えていたロザリアは、なんとなく気まずくて目を逸らした。セストは気にした様子もなく、サイドテーブルから薬包紙を取り上げると「飲め」と差し出してくる。
テオが一時間後にと言い置いていた薬だ。瞬間、強烈な苦みを思い出し、ロザリアは思わず顔をしかめた。
「飲めないなら、飲ませてやろうか? 口移しで」
「……飲みます」
ロザリアがごそごそと起き上がると、セストは背を支えてくれた。
「ほら、口を開け」
逆らわず口を開くと薬包紙の薬を口に入れられた。なんとも言えない匂いと苦みに襲われえずきそうになったところへ、セストがすばやくコップの水をロザリアの口元に差し出す。ロザリアは受け取るとむせそうになるのをなんとかこらえ、飲み込んだ。
「わっ」
飲み込んで一息ついたとたん、ベッドに押し倒された。肩を抑えられ、予感通りセストの唇が落ちてくる。ロザリアが両手で自分の唇を覆って阻止すると、セストの不思議そうな顔がロザリアを見下ろした。
「なんだ、キスは嫌なのか?」
「嫌です。こういうことは、ちゃんと気持ちの通じ合った方としたいです」
「それなら問題ない。俺はロザリアが好きだよ」
「だから、そういうことじゃなくて……んっ」
抵抗できないよう両手を抑えられ、唇が重なったと思ったとたん舌が挿入ってきた。ロザリアはセストの肩を叩いて抗議したが、不思議なことにセストの舌がなぞったとたん、口の中の苦みが消えていく。
「……んっ」
丹念に口蓋や舌を擦られ、自然とロザリアの喉からくぐもった声が漏れた。甘い痺れにも似た感覚が広がり、甘露を舐めているような気分だ。
もっととせがむように口を開けば、要求通りセストが更に深く挿入ってくる。全身に広がる甘美なうずきを、ロザリアは夢中になって求めた。
セストが部屋を出ていっても、ロザリアはまんじりともせず天井の模様を見上げていた。
「……はぁ…」
そして何度目かになるかわからないため息をつく。口の中にはまだセストの舌の感覚が残っていて、絡められていた指先がなぜか熱い。
「ああ、だめだ……」
ロザリアはがばりと掛布を跳ね上げて起き上がった。腕の痛みはとっくに感じなくなっていた。もう普通に動ける。まさか病人を最後まで喰うことはないだろうが、野獣のいる屋敷にこれ以上留まることはできない。
これは、大好きなTL展開そのものだが、あれは読んで楽しむものであって、決して自ら体験するものではない。いや、それは本音を言えばほんのちょっとは興味はあるけれど、でもでもあんなことやこんなことはわたしにはできない!
鬼の居ぬ間に早く退散すべきだろう。ロザリアはいそいそと立ち上がると、そっと床に足をおろした。誰が着替えさせたのか、服が真っ白なワンピースに変わっている。枕元を見ると、腕の辺りが破れ、血のこびりついた元々着ていた服が置いてあった。思わず首元を引っ張り、中の下着を確認した。―――元のままだった。
ロザリアは部屋の扉をそっと押し開いた。ギィと軋んだ音がなり、思わず扉に向かってしぃーっと人差し指を立てた。
開いた隙間から廊下を覗くと、しんと静まり返っている。抜き足差し足壁伝いに階下へ続く階段を目指した。
「このバカが。どこに行くつもりだ?」
「ひぃっ!」
いくらも行かない内に、後ろからセストの声が降ってきて、ロザリアは飛び上がった。恐る恐る振り返ると、腕を組んで仁王立ちしたセストが、緑眼を冷たく細めていた。
「寝ていろと言っただろう。腕の痛みは取れたようだが、まだ完全に黒妖犬の毒を解毒できたわけじゃない。誰が動いていいと言った?」
「えっと、その…。ト、トイレはどこかなぁ、なんて…」
しどろもどろに咄嗟に思いついたことを言うと、セストは顎をしゃくった。
「あっちだ」
それは階段とは真逆の方角で、ロザリアは「へへへ」と意味なく笑って方向を転換した。
「あっ」
そのとたん、足がもつれて転びそうになる。右腕をかばった変な体勢のまま体が傾いたが、床に打ち付ける前に目に見えない力に支えられた。
「あ、ありがと」
セストが魔法でロザリアが倒れるのを防いでくれたことは明らかだ。お礼を言うと、セストは大股に近づいてきて、さっとロザリアを抱き上げた。
「危なっかしい奴だ。トイレなら俺が連れて行ってやる」
「あわわわわ。じ、自分で歩けるから!」
すぐ近くにセストの顔がある。程よい厚みの形のいい唇が視界に入り、先程のキスを思い出したロザリアの鼓動がどっどっと跳ねた。
「なに、遠慮するな。それとも何か? 転んで更に怪我をして、もっと俺の世話になりたいのか?」
「……すみません」
思わずしゅんとすると、セストはくつくつと笑った。
「しおらしいロザリアはかわいいよ」
「…思ってないくせに」
「そんなことないさ。ほら、着いたぞ」
トイレと思われる扉の前でおろされた。セストは腕を組んでその場に待機の姿勢だ。
「えっと、その。もう少し向こうに行っててくれる?」
とっさについた嘘だったけれど、本当にトイレに行きたくなってきた。あんまり扉の前で待たれると、音とかいろいろ……。かなり恥ずかしい。
「おまえは信用ならないからな。見張っていないと勝手に抜け出そうとするだろう?」
やっぱり屋敷を出ようとしたことはばれているようだ。もうしませんと誓い、不満そうだったがなんとかセストを扉の前から遠ざけた。
トイレから出ると、また廊下の向こうから大股でセストが近づいてきた。そして当然のようにロザリアを抱き上げ、元の部屋のベッドにロザリアを沈めた。
「何かあったら呼べよ。屋敷内の声は、どんなに小さな声でも俺には聞こえる」
そのまま部屋を出ていこうとするので、その背中にロザリアは「あ、あの」と呼びかけた。
「なんだ?」
「その、ありがと…」
優しくされると勘違いしそうになる。ロザリアが礼を言うと、セストはふっと笑った。その笑顔が、心からのものだとわかったロザリアはとても嬉しかったのだけれど…。
「礼なら体で返してくれてもいいぞ」
放たれたその言葉に、思わず枕を投げつけた。が、当然のごとく枕は魔法によってセストに届くことはなく、人を小馬鹿にしたようにくるくる回って返ってきた。
「最低! わたしの初キス返して!」
「ああ、初めてだったのか。なんならついでに最後まで体験してみるか?」
「バカっ!」
ぶるぶるとこぶしを震わせて叫ぶと、セストは声高に笑って部屋を出ていった。
ガチャンと扉から音がしたから、鍵を閉められたようだった。
そこからもまたロザリアは眠ることはできず、悶々としてベッドの上で横になっていた。安静にしていろと釘を刺された手前、眠れなくても横になっているしかない。
暇なので部屋内の調度類を見回した。
ロザリアの眠る大きなベッド以外は、サイドテーブルにスツール、サイドボードにローテーブルとソファ。
それだけの部屋だ。置かれた家具はどれも同じ蔦模様が入っていて、初めて見る意匠だった。
不思議な紋様の家具は目を引くが、いかにも男の一人部屋といった雰囲気だ。ロザリアの寝ているこのベッドも、セストが普段寝起きしているベッドなのかもしれない。
そう思うと、なんとなくセストの匂いがするような気がする。
「わたしってば何考えてんだろ……」
いきなりの濃厚なキスから、思考がおかしな方向へ向かっている。セストにしてみれば、数あるキスの一つに過ぎないことはわかっているつもりなのに。
「はぁ…」
それなのにためいきが出るのはどうしてなのだろう。
大人しく横になり、ぼんやりと天井を見上げること小一時間ほど。
部屋の鍵が開き、セストが顔を見せた。
「ちゃんと横になっていたようだな」
視線だけ動かしてセストを見る。ベッドの上で大人しくしていたロザリアを、満足そうに見下ろすセストと目があった。
あれから眠れずセストのことばかり考えていたロザリアは、なんとなく気まずくて目を逸らした。セストは気にした様子もなく、サイドテーブルから薬包紙を取り上げると「飲め」と差し出してくる。
テオが一時間後にと言い置いていた薬だ。瞬間、強烈な苦みを思い出し、ロザリアは思わず顔をしかめた。
「飲めないなら、飲ませてやろうか? 口移しで」
「……飲みます」
ロザリアがごそごそと起き上がると、セストは背を支えてくれた。
「ほら、口を開け」
逆らわず口を開くと薬包紙の薬を口に入れられた。なんとも言えない匂いと苦みに襲われえずきそうになったところへ、セストがすばやくコップの水をロザリアの口元に差し出す。ロザリアは受け取るとむせそうになるのをなんとかこらえ、飲み込んだ。
「わっ」
飲み込んで一息ついたとたん、ベッドに押し倒された。肩を抑えられ、予感通りセストの唇が落ちてくる。ロザリアが両手で自分の唇を覆って阻止すると、セストの不思議そうな顔がロザリアを見下ろした。
「なんだ、キスは嫌なのか?」
「嫌です。こういうことは、ちゃんと気持ちの通じ合った方としたいです」
「それなら問題ない。俺はロザリアが好きだよ」
「だから、そういうことじゃなくて……んっ」
抵抗できないよう両手を抑えられ、唇が重なったと思ったとたん舌が挿入ってきた。ロザリアはセストの肩を叩いて抗議したが、不思議なことにセストの舌がなぞったとたん、口の中の苦みが消えていく。
「……んっ」
丹念に口蓋や舌を擦られ、自然とロザリアの喉からくぐもった声が漏れた。甘い痺れにも似た感覚が広がり、甘露を舐めているような気分だ。
もっととせがむように口を開けば、要求通りセストが更に深く挿入ってくる。全身に広がる甘美なうずきを、ロザリアは夢中になって求めた。
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