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第六章 本の世界と現実との違いは
一角獣の棲み処
日が沈む頃セストはいつものように帰宅し、帰宅するなり出迎えたロザリアを引き寄せてきた。
「わっ……。なに…?」
驚いて声を上げると唇を奪われた。セストは性急に舌をねじ込んでくると背に回した手を下へと滑らせてくる。
「ちょ、ちょっと待って! セストっ……」
屋敷の玄関ホールだ。食堂では今頃ラーラが夕食を並べてくれているはずだ。帰ってくるなり何をするのかと抗議すると、セストは
「今日一日我慢して王城で仕事をしていたんだ。少しくらい、いいだろう?」
と更にスカートの合わせ目から手を挿し入れてこようとする。その手を慌てて止めた。
「だめ。ラーラが待ってる。それにこんなところじゃ嫌だ」
はっきり拒絶するとセストはしゅんとしたように肩を落とし、「わかった」と呟くとロザリアを解放した。
食堂では案の定ラーラが食事を用意しており、幾分かしょんぼりしたセストと共に入っていくと、ラーラは一瞥してスープを皿に入れた。
「あの、セスト」
食事が始まると、ロザリアは今日の一角獣のことを話した。乗せてもらってもいいかと聞くと、案外あっさり頷く。
「乗せてくれると言うなら乗せてもらえ。たぶんあいつらの棲み家に連れて行ってくれるんじゃないのか? 俺たちでも行けないような魔の森の中だから、ウバルドの手の者は考慮しなくてもいい。ディーナもよく一角獣に乗って奴らの棲み家に行っていたからな。―――あっ、悪い……」
セストは失言したとロザリアの様子を窺ってくる。ディーナの名を出したことを、ロザリアが嫌がると思ったのだろう。
正直、複雑な気持ちはある。でも元を辿れば自分がかつてはディーナだったのだと思うと、これからも完全にはディーナのことを切り離せはしないのだ。
「ううん。大丈夫…」
セストの気持ちは信じている。昨日セストに抱かれて、不思議だけれどより強くセストの気持ちを感じることができた。自分はセストに愛されているのだと、なぜか強くそう思えた。地に足がついていないような頼りない自分でも受け止めてくれる人がいる。その安心感は今まで感じたことのないものだった。
「これからは、少しずつディーナさんのことも教えて」
かつての自分がどんな人物だったのか。知りたい気持ちはある。知らなければならないような気もしている。今の自分ならいろいろなことを受け止められる気がする。
「……ありがとう」
セストは少し驚いたようにロザリアを見つめ、優しい顔で笑った。
セストは一角獣に乗せてもらえばいいと言ったけれど、結局その夜もセストに抱かれ、まだ慣れないロザリアは次の日その背にまたがることができなかった。明日こそはと一角獣に謝り、セストにもその夜、今日はしないと宣言したのだけれど、とっても寂しそうな顔をするので結局流された。そして更に次の日も一角獣はやって来て、再びロザリアは謝った。
「ごめんなさい。せっかく誘ってくれてるのに」
一角獣は背に乗ってくれない理由を聞きたがったが、まさか本当のことは言えない。体調がよくないのだと言うと心配された。
「えっとその、そうじゃないの……。どこか悪いわけじゃないの。ただちょっと、その……」
『わかった、諦めよう』
「え?」
ロザリアははたと一角獣を見つめた。これまで意思の疎通は言葉を直接交わすというより、一角獣の思念のようなものを受け取っているだけだった。けれどはっきりと声が聞こえ、ロザリアは驚いて一角獣を振り仰いだ。
「今、あなたの声が聞こえたような気がするわ……」
『そうか。やっと聞こえたのか。ずっと話しかけていたのだが、直接声が聞こえていないようなのでなぜなのかと思っていた』
透明感のある声だ。男性とも女性ともとれる不思議な声色をしている。ロザリアがあんまり驚いてまじまじと見るものだから、一角獣は照れたように横を向いた。
『我らは気が長い。いつまでも何度でもそなたを誘う』
「あ、えっと。わたしロザリア。あなたは?」
『コルトだ』
コルトは次の日も現れた。
我らは気が長いと言っていたけれど、さすがにこれ以上は待たせられない。ロザリアは昨夜はセストの誘いを固辞した。セストはだいぶ不満そうだったが、明日は何があっても絶対にコルトの背に乗せてもらうのだと言い張ると渋々諦め、ロザリアを腕に抱いて眠った。
そして翌朝、現れたコルトに了解を取り、テオにコルトの背に鞍を置いてもらい、乗せてもらった。
コルトは魔の森の乱立する木立の中でも、まるで滑るように滑らかに駆けた。狩りの時、魔の森では馬には乗れないと言われていたのが嘘のようだ。絡み合った木の根に足をとられることもなく、ぬかるみにもはまることなく、折れた木々が乱立すような危険な場所でも飛ぶように駆ける。テオがついていけないと言ったのも頷ける。
緑の濃い風が頬をなぶり、とても気持ちがいい。
「すごい、とっても楽しい!」
ロザリアが声をかけると、コルトは突然立ち止まった。
「どうかしたの?」
『静かに』
コルトは耳をじっと前方に向けると身を翻し、木立の中に身を隠した。全身からコルトの緊張と警戒が伝わってくる。ロザリアはコルトの首に手を回して抱きつき姿勢を低くした。コルトの警戒する前方から人の足音が聞こえてきたからだ。足音は複数あったが、話しているのは主に二人の人間だった。
「……プラチド様よ、まだ集めるのかい?」
「ああ、殿下はまだ数が足りないと仰せだ」
「しかしね、こないだ俺ものぞいたけど、もう檻は満杯だ。奴らの餌代も馬鹿にならんよ」
「それは心配ない。あと半月もすれば奴らに餌を与えるのをやめ、飢えた状態にする予定だからな」
「うへぇ。飢餓状態の魔獣暴走。これはちょっとした見物になりますな」
「無駄口はおしまいだ。作業に取り掛かるぞ」
「へいへい」
話し声が終わると「ピィー」と甲高い笛の音が聞こえ始めた。木立の間から見ると、さきほど話していた内の一人が横笛を吹いている。
「あの音は?」
ロザリアが小声でコルトに問うと、コルトは忌々しげに
『魔笛だ。魔獣を自由に操る道具だ』
その言葉の通り、吸い寄せられるように魔獣が集まってくる。普段なら人を見れば襲い掛かってくる魔獣だが、魔笛の威力なのかどこかふらふらとした足取りで操られるようにやってくる。そこを他の男たちが次々に麻袋に捕獲していく。
「コルトは、操られたりしないの?」
一角獣も魔獣の一種だ。心配になって聞くと、
『あんなもので操れるほど一角獣は容易くない』と一蹴し、そっと踵を返すと再び駆けだした。
「助けなくていいの?」
『魔笛に操られていてはどうしようもないのだ』
悔しげなコルトの声。魔獣は以前のロザリアにとって恐ろしいものだったが、一角獣にとっては仲間である。その仲間が操られ、捕獲されていくのは耐え難いものなのだろう。
「ああいうことってよくあるの?」
『ここ半月ばかりで数多の魔獣が連れ去られた』
檻が満杯だ、魔獣暴走だと、不穏な言葉が聞こえてきていた。それに、話に出てきた「殿下」というのは、まさかウバルド殿下のことではないのだろうか―――。
やはりウバルド殿下は、何か企んでいるのではないか……。
考え事をしながらコルトの背に揺られていると、いつの間にか白い下草に白い幹の木立が囲う草原に出ていた。魔の森に突如現れた白い空間に、ロザリアは目を丸くした。そこには数え切れないほどたくさんの一角獣がいて、各々下草を食んだり、幹に体を擦り付けたり、角を軽く突き合わせてじゃれたりと、寛いだ様子だ。
「うわぁ……」
こんなにたくさんいるんだ……。
思った以上の頭数にロザリアは思わず声を上げた。狩りでもたくさんの一角獣が現れたけれど、ものの比ではない。圧巻の光景だ。
「ねぇ、降りて見て回ってもいい?」
さながら一角獣の楽園だ。
『もちろんだ』
コルトはロザリアが降りやすいようにと後ろ足を屈めてくれる。白い不思議な下草に足を下ろすと、直ぐ側にいた一角獣が寄ってきてぺろりとロザリアの頬を舐める。
「ひゃっ」
くすぐったさに声を上げると他の一角獣も集まってきて、次々に撫でてくれと頭を屈めてくる。求められるままにしばらく一角獣達と戯れていたが、コルトがやってくると皆さっと道を開けた。コルトは、一角獣の中でもリーダー的な存在のようだ。この間闘ったという決闘は、おそらくリーダーの座を争うものだったのだろう。
『こっちに来てくれ、ロザリア』
ロザリアは再びコルトの背に乗った。コルトは仲間の間を器用にすり抜けていくと、皆んなの戯れている草原から離れ、木立に囲まれた一角にロザリアを連れていった。そこには一角獣の角がたくさん置かれていた。
「これは?」
『決闘で折れた角をここに葬っている』
「こんなにたくさん……?」
そんなに頻繁に決闘するものなのだろうか。ロザリアの問いにコルトは、
『我らは気が荒い。特にメスを巡っての激しい争いはいつものことだ』
どこか誇らしげでもある。ここに積まれた折れた角は、敗者の残骸というより、激しい闘いを戦い抜いた栄誉ある抜け殻のようだ。
そう思って見ると、積まれた角はどれも立派で、傷の数だけ、折れた本数だけ、激しい闘いを想起させる。
『ロザリアならば、これら好きにして良いぞ』
どうせ朽ち果てるまでここに放置しているだけ。好きにして良いというコルトの言葉に、ロザリアは戸惑ってコルトを見返した。
「わっ……。なに…?」
驚いて声を上げると唇を奪われた。セストは性急に舌をねじ込んでくると背に回した手を下へと滑らせてくる。
「ちょ、ちょっと待って! セストっ……」
屋敷の玄関ホールだ。食堂では今頃ラーラが夕食を並べてくれているはずだ。帰ってくるなり何をするのかと抗議すると、セストは
「今日一日我慢して王城で仕事をしていたんだ。少しくらい、いいだろう?」
と更にスカートの合わせ目から手を挿し入れてこようとする。その手を慌てて止めた。
「だめ。ラーラが待ってる。それにこんなところじゃ嫌だ」
はっきり拒絶するとセストはしゅんとしたように肩を落とし、「わかった」と呟くとロザリアを解放した。
食堂では案の定ラーラが食事を用意しており、幾分かしょんぼりしたセストと共に入っていくと、ラーラは一瞥してスープを皿に入れた。
「あの、セスト」
食事が始まると、ロザリアは今日の一角獣のことを話した。乗せてもらってもいいかと聞くと、案外あっさり頷く。
「乗せてくれると言うなら乗せてもらえ。たぶんあいつらの棲み家に連れて行ってくれるんじゃないのか? 俺たちでも行けないような魔の森の中だから、ウバルドの手の者は考慮しなくてもいい。ディーナもよく一角獣に乗って奴らの棲み家に行っていたからな。―――あっ、悪い……」
セストは失言したとロザリアの様子を窺ってくる。ディーナの名を出したことを、ロザリアが嫌がると思ったのだろう。
正直、複雑な気持ちはある。でも元を辿れば自分がかつてはディーナだったのだと思うと、これからも完全にはディーナのことを切り離せはしないのだ。
「ううん。大丈夫…」
セストの気持ちは信じている。昨日セストに抱かれて、不思議だけれどより強くセストの気持ちを感じることができた。自分はセストに愛されているのだと、なぜか強くそう思えた。地に足がついていないような頼りない自分でも受け止めてくれる人がいる。その安心感は今まで感じたことのないものだった。
「これからは、少しずつディーナさんのことも教えて」
かつての自分がどんな人物だったのか。知りたい気持ちはある。知らなければならないような気もしている。今の自分ならいろいろなことを受け止められる気がする。
「……ありがとう」
セストは少し驚いたようにロザリアを見つめ、優しい顔で笑った。
セストは一角獣に乗せてもらえばいいと言ったけれど、結局その夜もセストに抱かれ、まだ慣れないロザリアは次の日その背にまたがることができなかった。明日こそはと一角獣に謝り、セストにもその夜、今日はしないと宣言したのだけれど、とっても寂しそうな顔をするので結局流された。そして更に次の日も一角獣はやって来て、再びロザリアは謝った。
「ごめんなさい。せっかく誘ってくれてるのに」
一角獣は背に乗ってくれない理由を聞きたがったが、まさか本当のことは言えない。体調がよくないのだと言うと心配された。
「えっとその、そうじゃないの……。どこか悪いわけじゃないの。ただちょっと、その……」
『わかった、諦めよう』
「え?」
ロザリアははたと一角獣を見つめた。これまで意思の疎通は言葉を直接交わすというより、一角獣の思念のようなものを受け取っているだけだった。けれどはっきりと声が聞こえ、ロザリアは驚いて一角獣を振り仰いだ。
「今、あなたの声が聞こえたような気がするわ……」
『そうか。やっと聞こえたのか。ずっと話しかけていたのだが、直接声が聞こえていないようなのでなぜなのかと思っていた』
透明感のある声だ。男性とも女性ともとれる不思議な声色をしている。ロザリアがあんまり驚いてまじまじと見るものだから、一角獣は照れたように横を向いた。
『我らは気が長い。いつまでも何度でもそなたを誘う』
「あ、えっと。わたしロザリア。あなたは?」
『コルトだ』
コルトは次の日も現れた。
我らは気が長いと言っていたけれど、さすがにこれ以上は待たせられない。ロザリアは昨夜はセストの誘いを固辞した。セストはだいぶ不満そうだったが、明日は何があっても絶対にコルトの背に乗せてもらうのだと言い張ると渋々諦め、ロザリアを腕に抱いて眠った。
そして翌朝、現れたコルトに了解を取り、テオにコルトの背に鞍を置いてもらい、乗せてもらった。
コルトは魔の森の乱立する木立の中でも、まるで滑るように滑らかに駆けた。狩りの時、魔の森では馬には乗れないと言われていたのが嘘のようだ。絡み合った木の根に足をとられることもなく、ぬかるみにもはまることなく、折れた木々が乱立すような危険な場所でも飛ぶように駆ける。テオがついていけないと言ったのも頷ける。
緑の濃い風が頬をなぶり、とても気持ちがいい。
「すごい、とっても楽しい!」
ロザリアが声をかけると、コルトは突然立ち止まった。
「どうかしたの?」
『静かに』
コルトは耳をじっと前方に向けると身を翻し、木立の中に身を隠した。全身からコルトの緊張と警戒が伝わってくる。ロザリアはコルトの首に手を回して抱きつき姿勢を低くした。コルトの警戒する前方から人の足音が聞こえてきたからだ。足音は複数あったが、話しているのは主に二人の人間だった。
「……プラチド様よ、まだ集めるのかい?」
「ああ、殿下はまだ数が足りないと仰せだ」
「しかしね、こないだ俺ものぞいたけど、もう檻は満杯だ。奴らの餌代も馬鹿にならんよ」
「それは心配ない。あと半月もすれば奴らに餌を与えるのをやめ、飢えた状態にする予定だからな」
「うへぇ。飢餓状態の魔獣暴走。これはちょっとした見物になりますな」
「無駄口はおしまいだ。作業に取り掛かるぞ」
「へいへい」
話し声が終わると「ピィー」と甲高い笛の音が聞こえ始めた。木立の間から見ると、さきほど話していた内の一人が横笛を吹いている。
「あの音は?」
ロザリアが小声でコルトに問うと、コルトは忌々しげに
『魔笛だ。魔獣を自由に操る道具だ』
その言葉の通り、吸い寄せられるように魔獣が集まってくる。普段なら人を見れば襲い掛かってくる魔獣だが、魔笛の威力なのかどこかふらふらとした足取りで操られるようにやってくる。そこを他の男たちが次々に麻袋に捕獲していく。
「コルトは、操られたりしないの?」
一角獣も魔獣の一種だ。心配になって聞くと、
『あんなもので操れるほど一角獣は容易くない』と一蹴し、そっと踵を返すと再び駆けだした。
「助けなくていいの?」
『魔笛に操られていてはどうしようもないのだ』
悔しげなコルトの声。魔獣は以前のロザリアにとって恐ろしいものだったが、一角獣にとっては仲間である。その仲間が操られ、捕獲されていくのは耐え難いものなのだろう。
「ああいうことってよくあるの?」
『ここ半月ばかりで数多の魔獣が連れ去られた』
檻が満杯だ、魔獣暴走だと、不穏な言葉が聞こえてきていた。それに、話に出てきた「殿下」というのは、まさかウバルド殿下のことではないのだろうか―――。
やはりウバルド殿下は、何か企んでいるのではないか……。
考え事をしながらコルトの背に揺られていると、いつの間にか白い下草に白い幹の木立が囲う草原に出ていた。魔の森に突如現れた白い空間に、ロザリアは目を丸くした。そこには数え切れないほどたくさんの一角獣がいて、各々下草を食んだり、幹に体を擦り付けたり、角を軽く突き合わせてじゃれたりと、寛いだ様子だ。
「うわぁ……」
こんなにたくさんいるんだ……。
思った以上の頭数にロザリアは思わず声を上げた。狩りでもたくさんの一角獣が現れたけれど、ものの比ではない。圧巻の光景だ。
「ねぇ、降りて見て回ってもいい?」
さながら一角獣の楽園だ。
『もちろんだ』
コルトはロザリアが降りやすいようにと後ろ足を屈めてくれる。白い不思議な下草に足を下ろすと、直ぐ側にいた一角獣が寄ってきてぺろりとロザリアの頬を舐める。
「ひゃっ」
くすぐったさに声を上げると他の一角獣も集まってきて、次々に撫でてくれと頭を屈めてくる。求められるままにしばらく一角獣達と戯れていたが、コルトがやってくると皆さっと道を開けた。コルトは、一角獣の中でもリーダー的な存在のようだ。この間闘ったという決闘は、おそらくリーダーの座を争うものだったのだろう。
『こっちに来てくれ、ロザリア』
ロザリアは再びコルトの背に乗った。コルトは仲間の間を器用にすり抜けていくと、皆んなの戯れている草原から離れ、木立に囲まれた一角にロザリアを連れていった。そこには一角獣の角がたくさん置かれていた。
「これは?」
『決闘で折れた角をここに葬っている』
「こんなにたくさん……?」
そんなに頻繁に決闘するものなのだろうか。ロザリアの問いにコルトは、
『我らは気が荒い。特にメスを巡っての激しい争いはいつものことだ』
どこか誇らしげでもある。ここに積まれた折れた角は、敗者の残骸というより、激しい闘いを戦い抜いた栄誉ある抜け殻のようだ。
そう思って見ると、積まれた角はどれも立派で、傷の数だけ、折れた本数だけ、激しい闘いを想起させる。
『ロザリアならば、これら好きにして良いぞ』
どうせ朽ち果てるまでここに放置しているだけ。好きにして良いというコルトの言葉に、ロザリアは戸惑ってコルトを見返した。
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