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転生も楽じゃない その2(7)
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これは、俺が部屋から出た後の話です。
「こんな所で何してるんですか」
「…うわ!!」
「看護AIのユーオーディア・カルディナーレと申します。先程は失礼いたしました。担当医師が不躾な態度を取ったことをお詫び申し上げます」
「…それは、別に大丈夫です。俺の方こそ無理言っちゃってごめんなさい」
「…これからどうするおつもりで」
「………」
「なるほど。お代が払えないので逃げようとしたと」
「……はい。でもやっぱ、良くないですよね、途中までとはいえ診察してもらっておいてこんな…」
「ちなみにここまでどうやって来ましたか」
「えと、階段を普通に降りて来ただけです」
「そうですか」
「…あの!!ちゃんとお金稼いで代金は返します!!」
「ほう、なんでもするということで、よろしいですか」
「えっ…え、そこまでは言ってない、ですけど……何すれば許してもらえますか」
「ひとまず、こちらへ」
警察に突き出されるのかと思えば、代金を立て替えてくれたんです。安心と共に、一抹の不安を覚えてしまいました。こんなに良くしてくれるなんて、一体どんな裏があるんだろうって。
「ありがとう…ございます。なんとお礼したらいいか」
「ひとまずあなたの免許証の裏にある住所まで向かいましょう」
「…そうですね。家族に家族に会っても何を言って良いのかわからないですけど…っっ!!ちょちょっ!待ってくださいちょっとちょっと!!」
病院を出るや否や、ユーオーディアさんは俺を脇に抱えて何やら助走をつけ始めたんです。助走はだんだん早くなって、しまいには浮遊感まで出てきたところで彼女の足元を見たら、真っ青に光ってて……
「ええ!!???なにこれなにこれ!!なにするつもりなんですか!!」
「今から家まで飛びます。これが一番早くて便利なので」
「飛ぶ!?飛ぶって……え!?」
「管理番号s33076からディーゼンガング市航空局へ。飛翔許可願います。飛翔目的は客員一名の輸送。目的地は銀橋市中央区アラン・バレ6-4-11。滑走路はレネンシュター記念街道。海抜140mを航行予定。30秒後に飛翔可能になります。よろしくどうぞ」
…飛ぶの!!??って思いましたよ。よく見ると首の辺りにスピーカーがあって、音が出てたんです。あれは管制塔とやりとりしてたんですね。
『こちらディーゼンガング市航空局。飛翔許可を受理した。識別番号はq-6577。進路・速度・障害物・落下物に十分注意して寄り道することなく航行せよ』
「了解。飛翔する」
「う…うわあああ!!!!」
カルチャーショックでした。脇に抱えられて空を飛んだことなんて無かったので。でもだんだん慣れてきて、元いた世界との建物の違いとか見てましたね。
「うわあ…向こうに高い塔がありますね」
「あれはイロズゥルの柱というものです。比較的新しい構造物で、ある日突然海上に出現しました。全く謎の非常に硬い素材でできていて、あの柱付近でしか生きられない生物も確認されているとか。この島にはあれと同じような柱が合計7本あるんですよ」
「7本も!?てかここ島なんですか!?」
「はい。天幕島という名前です。やはりご存じないですか」
「…ない、ですね。名前を聞いたこともないです」
「この島と近隣の諸島を併せて、一つの国になっているんです。天幕国という名前です。小さな国ですが、国際連合の常任特別理事国なんですよ」
「…へえ…そうなんですか。あの、ありがとうございます。俺多分、すごい当たり前の事訊いてるはずなのに、親身になって答えてくれて…」
「御礼には及びません。私はAIですので、辞書的な知識量は通常人類よりも多いですから何なりと伺ってください」
「…じゃあ!あの、あなたは誰なんですか!?元いた世界のことは…記憶がぶつぶつ切れてて確かじゃないですが、少なくとも自律意志を持ったAIはいなかったんですけどぉぉぉぇぇぇぇ!!!!」
「目的地付近です。降下します」
「うわあああああああ!!!!」
思ったよりも鉛直に落下するから本当に心臓に悪かったです。ただ、本当に心臓に悪いのはここからで…
「着きました」
「これは…更地…!?」
「…おかしいですね。住所は合っているはずですが」
「おや」
「…え??、なんですか、どうしたんですか」
「お待ちください。証明書の真贋判定ソフトをインストールしました。解析中です」
「ええ!?」
「解析終了。結論から申し上げると、この運転免許証は偽造品です。載っているのも架空住所になります」
「…それじゃあ…!」
「困ってしまいました。診療費の立て替えはひとまずの人道的措置でしたが、私は一応国立病院に勤める看護AI。さすがに免許の偽造までは大目に見られないかもしれません。このまま警察に突き出すのも避けられないでしょうか」
人生終わったと思いました。でも、こうなったら手段は選んでいられません…。俺は地面に勢いよく頭を埋めました。
「あの!!!なんでもしますので!!!!勘弁してください!!!!」
「…なんでも、ですか」
「……はい」
身体が一瞬で浮いたかと思えば…またユーオーディアさんに担がれていました。
「…ひえっ」
「ステルスで飛びます。高速航行になるのでしっかり掴まっててください」
「……っ!!あの、航空局に許可は…」
「取りません」
「それっていいんd」
「うぎゃああああああああああ!!!!」
今度は助走なしで直上に飛び上がりました。一体どんな目に遭うのか、本当に恐ろしかったです…
「こんな所で何してるんですか」
「…うわ!!」
「看護AIのユーオーディア・カルディナーレと申します。先程は失礼いたしました。担当医師が不躾な態度を取ったことをお詫び申し上げます」
「…それは、別に大丈夫です。俺の方こそ無理言っちゃってごめんなさい」
「…これからどうするおつもりで」
「………」
「なるほど。お代が払えないので逃げようとしたと」
「……はい。でもやっぱ、良くないですよね、途中までとはいえ診察してもらっておいてこんな…」
「ちなみにここまでどうやって来ましたか」
「えと、階段を普通に降りて来ただけです」
「そうですか」
「…あの!!ちゃんとお金稼いで代金は返します!!」
「ほう、なんでもするということで、よろしいですか」
「えっ…え、そこまでは言ってない、ですけど……何すれば許してもらえますか」
「ひとまず、こちらへ」
警察に突き出されるのかと思えば、代金を立て替えてくれたんです。安心と共に、一抹の不安を覚えてしまいました。こんなに良くしてくれるなんて、一体どんな裏があるんだろうって。
「ありがとう…ございます。なんとお礼したらいいか」
「ひとまずあなたの免許証の裏にある住所まで向かいましょう」
「…そうですね。家族に家族に会っても何を言って良いのかわからないですけど…っっ!!ちょちょっ!待ってくださいちょっとちょっと!!」
病院を出るや否や、ユーオーディアさんは俺を脇に抱えて何やら助走をつけ始めたんです。助走はだんだん早くなって、しまいには浮遊感まで出てきたところで彼女の足元を見たら、真っ青に光ってて……
「ええ!!???なにこれなにこれ!!なにするつもりなんですか!!」
「今から家まで飛びます。これが一番早くて便利なので」
「飛ぶ!?飛ぶって……え!?」
「管理番号s33076からディーゼンガング市航空局へ。飛翔許可願います。飛翔目的は客員一名の輸送。目的地は銀橋市中央区アラン・バレ6-4-11。滑走路はレネンシュター記念街道。海抜140mを航行予定。30秒後に飛翔可能になります。よろしくどうぞ」
…飛ぶの!!??って思いましたよ。よく見ると首の辺りにスピーカーがあって、音が出てたんです。あれは管制塔とやりとりしてたんですね。
『こちらディーゼンガング市航空局。飛翔許可を受理した。識別番号はq-6577。進路・速度・障害物・落下物に十分注意して寄り道することなく航行せよ』
「了解。飛翔する」
「う…うわあああ!!!!」
カルチャーショックでした。脇に抱えられて空を飛んだことなんて無かったので。でもだんだん慣れてきて、元いた世界との建物の違いとか見てましたね。
「うわあ…向こうに高い塔がありますね」
「あれはイロズゥルの柱というものです。比較的新しい構造物で、ある日突然海上に出現しました。全く謎の非常に硬い素材でできていて、あの柱付近でしか生きられない生物も確認されているとか。この島にはあれと同じような柱が合計7本あるんですよ」
「7本も!?てかここ島なんですか!?」
「はい。天幕島という名前です。やはりご存じないですか」
「…ない、ですね。名前を聞いたこともないです」
「この島と近隣の諸島を併せて、一つの国になっているんです。天幕国という名前です。小さな国ですが、国際連合の常任特別理事国なんですよ」
「…へえ…そうなんですか。あの、ありがとうございます。俺多分、すごい当たり前の事訊いてるはずなのに、親身になって答えてくれて…」
「御礼には及びません。私はAIですので、辞書的な知識量は通常人類よりも多いですから何なりと伺ってください」
「…じゃあ!あの、あなたは誰なんですか!?元いた世界のことは…記憶がぶつぶつ切れてて確かじゃないですが、少なくとも自律意志を持ったAIはいなかったんですけどぉぉぉぇぇぇぇ!!!!」
「目的地付近です。降下します」
「うわあああああああ!!!!」
思ったよりも鉛直に落下するから本当に心臓に悪かったです。ただ、本当に心臓に悪いのはここからで…
「着きました」
「これは…更地…!?」
「…おかしいですね。住所は合っているはずですが」
「おや」
「…え??、なんですか、どうしたんですか」
「お待ちください。証明書の真贋判定ソフトをインストールしました。解析中です」
「ええ!?」
「解析終了。結論から申し上げると、この運転免許証は偽造品です。載っているのも架空住所になります」
「…それじゃあ…!」
「困ってしまいました。診療費の立て替えはひとまずの人道的措置でしたが、私は一応国立病院に勤める看護AI。さすがに免許の偽造までは大目に見られないかもしれません。このまま警察に突き出すのも避けられないでしょうか」
人生終わったと思いました。でも、こうなったら手段は選んでいられません…。俺は地面に勢いよく頭を埋めました。
「あの!!!なんでもしますので!!!!勘弁してください!!!!」
「…なんでも、ですか」
「……はい」
身体が一瞬で浮いたかと思えば…またユーオーディアさんに担がれていました。
「…ひえっ」
「ステルスで飛びます。高速航行になるのでしっかり掴まっててください」
「……っ!!あの、航空局に許可は…」
「取りません」
「それっていいんd」
「うぎゃああああああああああ!!!!」
今度は助走なしで直上に飛び上がりました。一体どんな目に遭うのか、本当に恐ろしかったです…
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