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転生も楽じゃない その1(6)
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間違いない。閉じたはずの鍵が開いて、中からユーオーディアと憂沼とかいうあの少女が出てきた。訳がわからなくて怖い。
「…ちょちょちょ!!!おい!!どうやって俺の家に入ったんだよ!!!!」
「これで」
「「ヒエェェッッッ!!!」」
ユーオーディアが差し出してきたのは───なんと、人の腕………!!上腕から指先まで揃っていて、関節がプランプランしている。一体全体どこから持ってきたのか。闇が本当に深い!怖すぎる!
「リンネ先生の細胞をいくつか拝借いたしまして、人工臓器で腕を再現しました。この根本の部分を持ってドアノブを捻ると…手首が回転して指紋認証が作動し、鍵を開閉できます。血管駆動系と循環システムをつけたので、大事に使えばあと90年は使えますね」
「倫理…!倫理はどこに行ったんだよ!!」
「しまってくださいよ~それ~~!!怖すぎ!!」
「そんなことより、ずっと外にいたら風邪をひいてしまいますよ。色々話があるので、立ち話もしてられません。買い物袋を拾ったらどうぞ中へ」
「なんでお前が家主みたいになってんだよ!!俺の許可なく家に入りやがって!!」
「ここは賃貸ですが」
「………そらそうだけど!俺が家主じゃないけど!そんな問題ではなく…!!」
「早く上がってください。遅めの夕食にしましょう。今日は寄せ鍋を用意しています」
…無論立ち尽くすわけにもいかず、勢いに押されるままに上がってしまったが…なんということだ。放っておいたゴミは袋にまとまっているし、水回りもピカピカ。雑多な物品はあるべき所に戻されていて、床が久々に見える。ありがたい、ありがたいんだけどっっ!なぜ!怖!
そして居間の方から、鍋のグツグツ音が聞こえる。怒涛の展開からの空腹刺激…!食欲を誘う匂いを前に正常な思考ができなくなる。どうやら居間もきちんと整頓されているみたいだ。ああ、鍋はあのコタツの上にあるやつk…………
「それでは、手を合わせてください」
「はい」
「リンネ先生もです。早くしてください」
「…」
「それではご一緒に」
「「いただきます」」
「うわぁ…!今日寒かったから、こういうの食べたかったんですよね」
「冬の定番ですね。リンネ先生は食べないのですか」
「…一つ、聞いていい??」
「なんでしょう」
「このコタツに、俺は入れてもらえずに正座してるんだけど、さあ。それはまあいいとしてさあ。俺の代わりにコタツに入ってる…」
「この『汽水域な彼女☆磯野もくずちゃん1/1等身大特注フィギュア 2006 bishoujo expo edition』ですか」
「うわあああああああ!!うわあああああ!!」
「ちょちょ…大きな声は迷惑ですよ…?」
「迷惑はお前らだろ!!勝手に他人の家に上がり込んで秘密にしてたフィギュア趣味までおふざけ半分で暴きやがって!!あともくずちゃんはメダカと人間のハーフだから適度に暗くてジメジメした場所じゃないと生きられないの!!こたつに入れたら死んじゃうの!!」
「たしかに等身大模型には多少驚きましたが、ほんの雰囲気作りではありませんか」
「…とにかく!もずくちゃんは戻しておく!!いいな!!」
全く。もずくちゃんフィギュアはこの家で一番大事な家財なんだ。迂闊に動かされてたまるか。ひとまずもずくちゃんをお姫様抱っこしてオタク部屋に戻す。
「…空いたからってこたつには入ってこないでくださいね。血縁関係でもない成人男性が若い女の子と同じコタツに入るのは流石に許し難いので」
「わかってるよ!!俺にだってそのくらいの分別はある!」
憂沼…だったか。なにやら複雑そうな顔をしている。気まずいのはこっちの方だ。頼まれたって同じコタツに入ろうなんて思わん!俺はただもずくちゃんがコタツに入るのは解釈的にNGだってだけで、決して不純な動機など…
ん…?あれ?これって普通に…
「…少女誘拐じゃねえか!!!なんで連れ込んできたんだよ!!もうこんな時間なんだからはやく帰らせないとやばいだろ!!」
「その話をしようとしていたんですが」
「…衝撃が重なりすぎて忘れてたよ!!この件、お前の一存だったら流石の俺でも擁護できないからな!!」
「私の一存ですが、リンネ先生のように不純な心算はありませんよ」
「違うって!!!」
「あ、あの…あの……」
「まあ、単刀直入に言うとですね」
「彼女は、ホームレスのようです」
「…ちょちょちょ!!!おい!!どうやって俺の家に入ったんだよ!!!!」
「これで」
「「ヒエェェッッッ!!!」」
ユーオーディアが差し出してきたのは───なんと、人の腕………!!上腕から指先まで揃っていて、関節がプランプランしている。一体全体どこから持ってきたのか。闇が本当に深い!怖すぎる!
「リンネ先生の細胞をいくつか拝借いたしまして、人工臓器で腕を再現しました。この根本の部分を持ってドアノブを捻ると…手首が回転して指紋認証が作動し、鍵を開閉できます。血管駆動系と循環システムをつけたので、大事に使えばあと90年は使えますね」
「倫理…!倫理はどこに行ったんだよ!!」
「しまってくださいよ~それ~~!!怖すぎ!!」
「そんなことより、ずっと外にいたら風邪をひいてしまいますよ。色々話があるので、立ち話もしてられません。買い物袋を拾ったらどうぞ中へ」
「なんでお前が家主みたいになってんだよ!!俺の許可なく家に入りやがって!!」
「ここは賃貸ですが」
「………そらそうだけど!俺が家主じゃないけど!そんな問題ではなく…!!」
「早く上がってください。遅めの夕食にしましょう。今日は寄せ鍋を用意しています」
…無論立ち尽くすわけにもいかず、勢いに押されるままに上がってしまったが…なんということだ。放っておいたゴミは袋にまとまっているし、水回りもピカピカ。雑多な物品はあるべき所に戻されていて、床が久々に見える。ありがたい、ありがたいんだけどっっ!なぜ!怖!
そして居間の方から、鍋のグツグツ音が聞こえる。怒涛の展開からの空腹刺激…!食欲を誘う匂いを前に正常な思考ができなくなる。どうやら居間もきちんと整頓されているみたいだ。ああ、鍋はあのコタツの上にあるやつk…………
「それでは、手を合わせてください」
「はい」
「リンネ先生もです。早くしてください」
「…」
「それではご一緒に」
「「いただきます」」
「うわぁ…!今日寒かったから、こういうの食べたかったんですよね」
「冬の定番ですね。リンネ先生は食べないのですか」
「…一つ、聞いていい??」
「なんでしょう」
「このコタツに、俺は入れてもらえずに正座してるんだけど、さあ。それはまあいいとしてさあ。俺の代わりにコタツに入ってる…」
「この『汽水域な彼女☆磯野もくずちゃん1/1等身大特注フィギュア 2006 bishoujo expo edition』ですか」
「うわあああああああ!!うわあああああ!!」
「ちょちょ…大きな声は迷惑ですよ…?」
「迷惑はお前らだろ!!勝手に他人の家に上がり込んで秘密にしてたフィギュア趣味までおふざけ半分で暴きやがって!!あともくずちゃんはメダカと人間のハーフだから適度に暗くてジメジメした場所じゃないと生きられないの!!こたつに入れたら死んじゃうの!!」
「たしかに等身大模型には多少驚きましたが、ほんの雰囲気作りではありませんか」
「…とにかく!もずくちゃんは戻しておく!!いいな!!」
全く。もずくちゃんフィギュアはこの家で一番大事な家財なんだ。迂闊に動かされてたまるか。ひとまずもずくちゃんをお姫様抱っこしてオタク部屋に戻す。
「…空いたからってこたつには入ってこないでくださいね。血縁関係でもない成人男性が若い女の子と同じコタツに入るのは流石に許し難いので」
「わかってるよ!!俺にだってそのくらいの分別はある!」
憂沼…だったか。なにやら複雑そうな顔をしている。気まずいのはこっちの方だ。頼まれたって同じコタツに入ろうなんて思わん!俺はただもずくちゃんがコタツに入るのは解釈的にNGだってだけで、決して不純な動機など…
ん…?あれ?これって普通に…
「…少女誘拐じゃねえか!!!なんで連れ込んできたんだよ!!もうこんな時間なんだからはやく帰らせないとやばいだろ!!」
「その話をしようとしていたんですが」
「…衝撃が重なりすぎて忘れてたよ!!この件、お前の一存だったら流石の俺でも擁護できないからな!!」
「私の一存ですが、リンネ先生のように不純な心算はありませんよ」
「違うって!!!」
「あ、あの…あの……」
「まあ、単刀直入に言うとですね」
「彼女は、ホームレスのようです」
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