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転生も楽じゃない その5(10)
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「転生者というのはあくまで『異世界転生してきたと主張している患者』という意味合いであって、転生などという全く新しい概念は、医学的にも魔法的にもオカルトの域を出ないんですよ。もし我々が病院で転生云々を真面目に考察しようものなら、病院ぐるみでトンデモ論を展開しているとレッテルを貼られかねません」
「……そんな…!」
「私があなたをここに連れ出したのは、病院では治療も診断もできないからです。こちらの方がいくらか自由な環境ですから、じっくりと転生について考えるのに適しています」
ショックでした。つまりは、この世界には転生者の居場所などあるはずもないということ。側から見たら精神異常者なのは冷静に考えてみれば自然な帰結ですが、当事者からすれば相当心を折られます。直接言われてみるとやっぱりきついものです。そして病名をつけることも当然無理だろうから、何かしらの公助を受けることもきっと叶わない…
「じゃあ一体、俺はどうすれば…」
「…故に我々が検証するのです。転生が単に精神病の類なのか、それとも超自然的な魔法によるものなのか、はたまたもっと別の原因があるのか。あなた方純粋な転生者との対話を通して解明していくんです」
「……それってつまり…実験体になるってことですか!?俺は今からバラバラに解剖されていろんな薬に漬け込まれて…」
「落ち着いてください。そのような古典的なことはしません。最先端の魔法と科学をふんだんに用いた非侵襲的な検査を」
「最先端って…ここは病院でも何でもないただのボロアパートじゃないですか!!もう騙されませんよ!!掃除したから帰ります!!!」
「それはいけませんね」
「放せよ!!」
まあ確かに気は動転していました。いきなり人間の腕のクローンを見せられたり、人を脅して言質を取ったりしてたので、そうなるのも仕方ないとは今でも思ってますが。
ユーオーディアさんは、逃げようとする俺の腕を掴んできました。だから軽く手で払おうとしたんです。そしたら…
「…ほう」
「何ですか!!嫌だ!!死にたくなぁ…」
すごい音とともに、急に身体がのけぞったんです。勢いよく後ろに吹っ飛んだおかげで今でも首が痛くてしょうがないですよ。最初は殴られたのかと思ったんですけど、どうも違うようで。転げ回ってたところで事態に気付きました。
「ぎゃあぁぁあああ!!!いたい!!!!いた………!?!?」
「…ご安心を。すぐに済みます」
…分かりやすく不思議なことが起こりました。俺の眼前には薄い文字盤のようなものが浮いていて、そこから青い光が部屋全体を照らします。ユーオーディアさんはこれまた青白く光る球のような物を両手で受け止めていますが…光の球は凄まじいエネルギーを持っているようで、ユーオーディアさんの掌から絶え間なく火花が散るほどでした。何から何まで意味不明でしたが、何とはなしにやばい状況だということはわかります。
「だっ、大丈夫ですか!!」
「…問題ありません」
首から伸びたダクトのようなものは赤く光り始め、肘からはすごい音が出ていました。まるで壊れる寸前のパソコンです。もうダメだと思ったその時…
「離れてください」
「…っは!はい!」
ユーオーディアさんが体を捻って軌道を変えたので、光の球は轟音とともに地面を深く抉ったのち、霧散していきました。
そう、それがまさしく……
「おい!!!!!!」
「…敷金こそパーにはなりましたが、この部屋が私の機関駆動オイルまみれにならなかっただけ良しとしませんか」
「違う!!いや、それもそうだけど!床の傷をもずくちゃんで隠しやがったな!!!」
「部屋の片付けもしない癖に傷を気にする精神性は理解しかねます」
「それとこれとは話が違うだろ!!」
「あの…ほんとすみません」
「というか、何でいきなり青白い光の球が出てくるんだよ!!魔法使いでも通ったか!?え!?」
「……」
少女は気まずそうに目線を逸らした。え…?
「……そんな…!」
「私があなたをここに連れ出したのは、病院では治療も診断もできないからです。こちらの方がいくらか自由な環境ですから、じっくりと転生について考えるのに適しています」
ショックでした。つまりは、この世界には転生者の居場所などあるはずもないということ。側から見たら精神異常者なのは冷静に考えてみれば自然な帰結ですが、当事者からすれば相当心を折られます。直接言われてみるとやっぱりきついものです。そして病名をつけることも当然無理だろうから、何かしらの公助を受けることもきっと叶わない…
「じゃあ一体、俺はどうすれば…」
「…故に我々が検証するのです。転生が単に精神病の類なのか、それとも超自然的な魔法によるものなのか、はたまたもっと別の原因があるのか。あなた方純粋な転生者との対話を通して解明していくんです」
「……それってつまり…実験体になるってことですか!?俺は今からバラバラに解剖されていろんな薬に漬け込まれて…」
「落ち着いてください。そのような古典的なことはしません。最先端の魔法と科学をふんだんに用いた非侵襲的な検査を」
「最先端って…ここは病院でも何でもないただのボロアパートじゃないですか!!もう騙されませんよ!!掃除したから帰ります!!!」
「それはいけませんね」
「放せよ!!」
まあ確かに気は動転していました。いきなり人間の腕のクローンを見せられたり、人を脅して言質を取ったりしてたので、そうなるのも仕方ないとは今でも思ってますが。
ユーオーディアさんは、逃げようとする俺の腕を掴んできました。だから軽く手で払おうとしたんです。そしたら…
「…ほう」
「何ですか!!嫌だ!!死にたくなぁ…」
すごい音とともに、急に身体がのけぞったんです。勢いよく後ろに吹っ飛んだおかげで今でも首が痛くてしょうがないですよ。最初は殴られたのかと思ったんですけど、どうも違うようで。転げ回ってたところで事態に気付きました。
「ぎゃあぁぁあああ!!!いたい!!!!いた………!?!?」
「…ご安心を。すぐに済みます」
…分かりやすく不思議なことが起こりました。俺の眼前には薄い文字盤のようなものが浮いていて、そこから青い光が部屋全体を照らします。ユーオーディアさんはこれまた青白く光る球のような物を両手で受け止めていますが…光の球は凄まじいエネルギーを持っているようで、ユーオーディアさんの掌から絶え間なく火花が散るほどでした。何から何まで意味不明でしたが、何とはなしにやばい状況だということはわかります。
「だっ、大丈夫ですか!!」
「…問題ありません」
首から伸びたダクトのようなものは赤く光り始め、肘からはすごい音が出ていました。まるで壊れる寸前のパソコンです。もうダメだと思ったその時…
「離れてください」
「…っは!はい!」
ユーオーディアさんが体を捻って軌道を変えたので、光の球は轟音とともに地面を深く抉ったのち、霧散していきました。
そう、それがまさしく……
「おい!!!!!!」
「…敷金こそパーにはなりましたが、この部屋が私の機関駆動オイルまみれにならなかっただけ良しとしませんか」
「違う!!いや、それもそうだけど!床の傷をもずくちゃんで隠しやがったな!!!」
「部屋の片付けもしない癖に傷を気にする精神性は理解しかねます」
「それとこれとは話が違うだろ!!」
「あの…ほんとすみません」
「というか、何でいきなり青白い光の球が出てくるんだよ!!魔法使いでも通ったか!?え!?」
「……」
少女は気まずそうに目線を逸らした。え…?
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