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蒼風信子

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幽霊被害続出 枯れ草に擬態か(1866.3.5、クラスパー紙朝刊)

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4日、苦島県警は定例会見で『枯れたすすきに擬態する幽霊による被害が多発している』と発表した。本紙読者のRさんも最近同様の幽霊被害に遭ったという。

『何かザワザワと音がしたと思ったら、ただの風に揺れる草だったんです。なんだ勘違いか、と胸を撫で下ろしてからの記憶がありません』

Rさんはその日以来、やけに長い特徴的なザワザワ音がすると幽霊を疑うようになったそうだ。

『警戒心を持つことが大切です。正体を見破ったところで手も足も出ませんから』

苦島県警は枯れ草に擬態する幽霊を"枯れ尾花"と命名し、陰陽庁職員と共同で行う古戦場や刑場痕の定期パトロールを強化している。陰陽庁の1日の発表によると、そのような擬態行動を見せる幽霊は16~18世紀のものと見られ、旅行客に接近する傾向があるという。

国立魔法院のジグゼッペ氏も『近年、学習行動に近いことをやってのける幽霊がいる。これからは将門節に向けて幽霊の活性が上昇する季節。幽霊で有名な自治体を訪れる時は条例などよく調べて』と警鐘を鳴らした。
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