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1・アイドル・デビュー!
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『アイドル騎士団・みるきぃクレヨン』
第1話「誰だか知らないケド、あのステージを壊すことは許せないのデス」
00・アヴァン
あ、ちょと待って。
だって狭いんだもん。
「ぎゃっ、腕あたった」
「尻で押さないで」
「だってソックス履けない」
「立ってソックス履けないの、老化現象だってよ」
「あちしはだいじょぶ」
「いや、そういう問題じゃなくて」
「押さないでってば」
ただいま、狭いせまいスペースでお着替えちう。
どうしてこんなことになってるんでしょ。
0・宇宙空間
月の裏側。
地球から直接観測できない宇宙空間に、チカチカと無数の光りが浮かんでいる。
ズーム・アップすると、どこかユーモラスなカタチの巨大な宇宙船が、数百隻あまりも停泊しているのがわかる。
今しもその一隻から、ちっこいちっこい宇宙艇が発進していった。
目指すは、地球。
って、なんのこっちゃい。
1・アイドル・デビューッ!
初めましてっ。
巌厳学園高等学校アイドル騎士団・みるきぃクレヨンのリーダー、田畑カンナでっす。
元気い~っしょ。なんせ、アイドルっすから。
え~、アイドル騎士団とゆうのわ、クラブの名前でございます。
アイドル部とか、アイドル同好会でもよかったんだけど、それだとアイドル・ファンの集まりみたくなっちゃうので、[アイドル騎士団]なのだそうです。
ま、顧問の先生のシュミなんですけどね。
でもって、[みるきぃクレヨン]は、部員によって結成されたアイドル・ユニットの名前であります。
はっきり言って、ダサイよね。
メンバーの間でも評判はマチマチです。
いつか、自分たちで名前、考え直そうって意見も出てます。
名付け親ですか?
んなもん、顧問の下川先生に決まってるじゃん。
それも、自分がミルクレープが好物なので、[ミルクレ]ってゆう短縮形が先にあって、そっから作ったとか。
それも怪しいと思うケドね。
一部では、どこかに好きなヒトがいて、そのヒトの好物なんじゃないかって声もあります。
はい。下川先生は、40代の独身男です。
あ、あそこ、あそこで、
「アイドル騎士団・みるきぃクレヨンで~す」
と、チラシを配ってる貧相なおじさんが下川先生です。
がっこのせんせらしく、よれたスーツに安っぽいネクタイ、くたぶれた靴という出で立ちでございます。
配ってるチラシには、今日のライヴの案内や、ファンクラブの入会案内、入会費、年会費などなどの情報が満載です。
ちなみにファンクラブ会員はただいまゼロ。
今ですよぉ~、今なら会員番号001ゲットですよぉ~。
なんせ部員たったの5人で、同好会あつかいのアイドル騎士団は、学校からの予算がつかないので、お金がないのが悩みの種なのです。
5人の部員はもちろん全員[みるクレ]のメンバーでございます。
下川先生がチラシを配ってるのは、通学路でもある西口商店街の、にしぶち酒店の裏手にある駐車場の入り口らへんです。
この駐車場が、本日のライヴ会場なのであります。
ほら、駐車場なのにクルマ一台もいなくて、奥の方に仮設ステージが作ってあるでしょ。
ステージのバックボードには横断幕がかかってて、一行目に[毎月第4土曜日はGGC Wonderersに会おう!]、二行目に[ツキイチGGC]とあります。
GGCってゆうのわ、巌厳学園チアリーディング部の頭文字。Wonderersは、その選抜チームの愛称です。
なんでも、ウチの学校のチア部って、全国制覇12回、世界大会の優勝も2回ってゆう名門チア部なんですってさ。
そのGGC Wonderersのパフォーマンスを、月に一回、多くのヒトに見てもらおうという商店街イベントの、本日が第一回なのです。
ウチの生徒や近所のヒトだけじゃなくって、けっこ遠くから見に来るヒトもいるんだって。
へ~え、GGCってそんなに人気あんだ。
そう言ったら、メンバーに「え? 知らないの?」とびっくりされました。
それからとゆうもの、[てんねん]とか「おおぼけ」とか言われるようになったんだけど、なんで?
ともかく、本日、わたしたち[みるきぃクレヨン]は、そのイベントのオープニング・アクトを務めるのであります。
いわゆる前座ってヤツですケドね。
ってゆうか、下川先生がむりやり頼みこんで、いっちゃん最初にちょっとだけやらしてもらえることになったんですケド。
そいでもなんでも、本年度に発足したばかりの[アイドル騎士団・みるきぃクレヨン]にとって、ヒトサマの前での初めてのパフォーマンス。
いわゆるひとつの、アイドル・デビューなのであります。
そしてわたしたちは、
「やっぱピンクがよかったなぁ」
「文句言わない。ジャンケンで勝ったのあちしなんだから」
「そうだけど、黄色だぜ、黄色」
「あたしも、緑って似合わないんだよね」
「着てるうちに似合ってくるって」
「わっ、ポジティヴゥ」
「手ぇ振り回さないでってば」
「だってぇ」
狭いせまいスペースで、自前のオフホワイトのショーパンと、作ってもらったTシャツに着替えてるとこ。
メンバーカラーのオリジナルTシャツだぜ。
お金、どっから出たのか知らないケド。
「ふいっ、おわた」
どうやら全員着替え終わってドアの外に出れば、そこはヨーコさんの小さなお店、カフェ・フローラルの店内です。
着替えてたのは、従業員用の更衣室だもの、狭いわけだ。
「さぁ、いよいよだね」
腰に手をあてて訓示する構えなのは、花柄タイトにクリーム色のニットのヨーコさん。
ヨーコさんは、下川先生が作詞作曲した曲に、振り付けをしてくれたコーチみたいな存在です。
ってゆうか、お店の常連の下川先生から、アイドル騎士団結成のハナシを聞きつけ、しゃしゃり出てきたおばさま、じゃなくって、おねえさまってとこでもあります。
歳? 30代の後ろらへんだと思うよ、多分。
そいで、昔はアイドルしてたとかって。
お兄さんが、2階のカラオケ教室の先生ですから、やっぱ芸能関係のヒトなのかな。
ちなみに、そのお兄さんが、ウチコミというもので、カラオケ音源を作ってくれました。
「今日は初めてなんだし、気楽にいっておいで」
「はいっ」
声を揃えてお返事するわたしたち。
「失敗してもいいから。それも経験なんだし」
「はいっ」
「よし、行こう」
ヨーコさんがパンッと手を打ち、
「はいっ」
元気に返すわたしたち。
さ、行こうとドアに手をかけると、外からぶいっと開けられて、
「時間だぞ、いいか」
下川先生でした。
「先生、遅い」
「チラシ配れたんですか」
「あ、うん、7枚」
「ななまいっ?」
あたしとあと何人か、声が揃った。
「だって、受け取ってくんないんだもん」
そんな先生です。
「それより、時間だから」
はいはい、分かってますって。
「行こう」
声をかけて、真っ先に店を出るわたくし、カンナ。いちおうリーダーでございますから。
外に出れば、お店が面してる路地の向かいが、会場の駐車場です。
お、けっこヒト集まってる。
どきわくで会場に向かいます。
さ、いよいよアイドル・デビューだぞ。
*
その頃、商店街に面したにしぶち酒店では、なにかおかしな出来事が起こっていたようです。
なにが起きてたんですか? 西淵のおじさん。
あ、お店だから息子さんのほうだ。
*
はい、にしぶち酒店の現役、息子のほうです。
いや、大したことじゃないんだけど、ちょっと変わったお客さんが来たんだよ。
銀髪なんだ、髪の毛が。そいで、細面の顔にサングラスしてて、ちょっと見、歌舞伎町あたりのホストみたいなんだ。
けど、着てるのがモスグリーンの作業服みたいなツナギで、足元がごっついブーツなの。
違和感ばりばりでしょ。
そいでいきなり、
「サーモンをくれ」
ってゆうのよ。
「サーモンだよ、サーモン。ごくごくのへろっ」
「はあっ?」
「なんでもいいからサーモンを出せ」
「シャケ缶でよろしいですか?」
「それはサーモンか」
「はい」
「よし、それでいい」
「かしこまりました」
で、棚からシャケ缶とってきて、お金もらって、品物渡して、それで帰っちゃった。
それだけなんだけど、ちょっとヘンなお客だったなぁ。
*
なぁ~んだ、そんなことか。
だがしかし。
ん? なにが[だがしかし]なの?
にしぶち酒店を出た銀髪男は、新築4LDK4400万円の不動産広告がくっついた電柱のかげで、スマホ状の通信機を取り出し、なにやら通信を始めたのだそうです。
スマホ状の通信機?
スマホのがただの通信機より進化してると思うんだケド、ま、いっか、
その通信は、こんな感じだったんだって。
「いりてました、サーモン」
「サーモン?」
「はい。シャケ缶ですが、サーモンです」
「なんでサーモンなんだよ」
「シャケはサーモンともいうそうです」
「シャケじゃなくて、シャケテン」
「天ぷらにするのですか」
「じゃなくって、シャケテン、下りる」
「親が?」
「違う、下るの」
「腹が」
「くわぁ~~っ」
「あ、あの、なにか問題が?」
「高度を下げろ」
「は?」
「スルーパのムステーシは、必ず高度の下がった位置にある。シャケンテで高度を下げろ」
「こーどを、下げる?」
その時、銀髪男のツナギのポケットからは、なにかのコードがぶら下がっていたのだそうです。
って、なんのこっちゃ。
だがしかし、このあと、銀髪男には、新たな指令が発せられていました。
*
もちろんわたしたちは、そんなことはなにも知りません。
商店街とそのまわりに、もうあと四人の銀髪男がいたことも。
計五人の銀髪男を派遣したのが、どう見ても芸人かアニメのコスプレにしか見えない派手はでの制服を着た男だってことも。
あとあと、こいつらのおかげでとんでもない目にあわされることも。
知るもんか。
んなことより、アイドル・デビューッ!
第1話「誰だか知らないケド、あのステージを壊すことは許せないのデス」
00・アヴァン
あ、ちょと待って。
だって狭いんだもん。
「ぎゃっ、腕あたった」
「尻で押さないで」
「だってソックス履けない」
「立ってソックス履けないの、老化現象だってよ」
「あちしはだいじょぶ」
「いや、そういう問題じゃなくて」
「押さないでってば」
ただいま、狭いせまいスペースでお着替えちう。
どうしてこんなことになってるんでしょ。
0・宇宙空間
月の裏側。
地球から直接観測できない宇宙空間に、チカチカと無数の光りが浮かんでいる。
ズーム・アップすると、どこかユーモラスなカタチの巨大な宇宙船が、数百隻あまりも停泊しているのがわかる。
今しもその一隻から、ちっこいちっこい宇宙艇が発進していった。
目指すは、地球。
って、なんのこっちゃい。
1・アイドル・デビューッ!
初めましてっ。
巌厳学園高等学校アイドル騎士団・みるきぃクレヨンのリーダー、田畑カンナでっす。
元気い~っしょ。なんせ、アイドルっすから。
え~、アイドル騎士団とゆうのわ、クラブの名前でございます。
アイドル部とか、アイドル同好会でもよかったんだけど、それだとアイドル・ファンの集まりみたくなっちゃうので、[アイドル騎士団]なのだそうです。
ま、顧問の先生のシュミなんですけどね。
でもって、[みるきぃクレヨン]は、部員によって結成されたアイドル・ユニットの名前であります。
はっきり言って、ダサイよね。
メンバーの間でも評判はマチマチです。
いつか、自分たちで名前、考え直そうって意見も出てます。
名付け親ですか?
んなもん、顧問の下川先生に決まってるじゃん。
それも、自分がミルクレープが好物なので、[ミルクレ]ってゆう短縮形が先にあって、そっから作ったとか。
それも怪しいと思うケドね。
一部では、どこかに好きなヒトがいて、そのヒトの好物なんじゃないかって声もあります。
はい。下川先生は、40代の独身男です。
あ、あそこ、あそこで、
「アイドル騎士団・みるきぃクレヨンで~す」
と、チラシを配ってる貧相なおじさんが下川先生です。
がっこのせんせらしく、よれたスーツに安っぽいネクタイ、くたぶれた靴という出で立ちでございます。
配ってるチラシには、今日のライヴの案内や、ファンクラブの入会案内、入会費、年会費などなどの情報が満載です。
ちなみにファンクラブ会員はただいまゼロ。
今ですよぉ~、今なら会員番号001ゲットですよぉ~。
なんせ部員たったの5人で、同好会あつかいのアイドル騎士団は、学校からの予算がつかないので、お金がないのが悩みの種なのです。
5人の部員はもちろん全員[みるクレ]のメンバーでございます。
下川先生がチラシを配ってるのは、通学路でもある西口商店街の、にしぶち酒店の裏手にある駐車場の入り口らへんです。
この駐車場が、本日のライヴ会場なのであります。
ほら、駐車場なのにクルマ一台もいなくて、奥の方に仮設ステージが作ってあるでしょ。
ステージのバックボードには横断幕がかかってて、一行目に[毎月第4土曜日はGGC Wonderersに会おう!]、二行目に[ツキイチGGC]とあります。
GGCってゆうのわ、巌厳学園チアリーディング部の頭文字。Wonderersは、その選抜チームの愛称です。
なんでも、ウチの学校のチア部って、全国制覇12回、世界大会の優勝も2回ってゆう名門チア部なんですってさ。
そのGGC Wonderersのパフォーマンスを、月に一回、多くのヒトに見てもらおうという商店街イベントの、本日が第一回なのです。
ウチの生徒や近所のヒトだけじゃなくって、けっこ遠くから見に来るヒトもいるんだって。
へ~え、GGCってそんなに人気あんだ。
そう言ったら、メンバーに「え? 知らないの?」とびっくりされました。
それからとゆうもの、[てんねん]とか「おおぼけ」とか言われるようになったんだけど、なんで?
ともかく、本日、わたしたち[みるきぃクレヨン]は、そのイベントのオープニング・アクトを務めるのであります。
いわゆる前座ってヤツですケドね。
ってゆうか、下川先生がむりやり頼みこんで、いっちゃん最初にちょっとだけやらしてもらえることになったんですケド。
そいでもなんでも、本年度に発足したばかりの[アイドル騎士団・みるきぃクレヨン]にとって、ヒトサマの前での初めてのパフォーマンス。
いわゆるひとつの、アイドル・デビューなのであります。
そしてわたしたちは、
「やっぱピンクがよかったなぁ」
「文句言わない。ジャンケンで勝ったのあちしなんだから」
「そうだけど、黄色だぜ、黄色」
「あたしも、緑って似合わないんだよね」
「着てるうちに似合ってくるって」
「わっ、ポジティヴゥ」
「手ぇ振り回さないでってば」
「だってぇ」
狭いせまいスペースで、自前のオフホワイトのショーパンと、作ってもらったTシャツに着替えてるとこ。
メンバーカラーのオリジナルTシャツだぜ。
お金、どっから出たのか知らないケド。
「ふいっ、おわた」
どうやら全員着替え終わってドアの外に出れば、そこはヨーコさんの小さなお店、カフェ・フローラルの店内です。
着替えてたのは、従業員用の更衣室だもの、狭いわけだ。
「さぁ、いよいよだね」
腰に手をあてて訓示する構えなのは、花柄タイトにクリーム色のニットのヨーコさん。
ヨーコさんは、下川先生が作詞作曲した曲に、振り付けをしてくれたコーチみたいな存在です。
ってゆうか、お店の常連の下川先生から、アイドル騎士団結成のハナシを聞きつけ、しゃしゃり出てきたおばさま、じゃなくって、おねえさまってとこでもあります。
歳? 30代の後ろらへんだと思うよ、多分。
そいで、昔はアイドルしてたとかって。
お兄さんが、2階のカラオケ教室の先生ですから、やっぱ芸能関係のヒトなのかな。
ちなみに、そのお兄さんが、ウチコミというもので、カラオケ音源を作ってくれました。
「今日は初めてなんだし、気楽にいっておいで」
「はいっ」
声を揃えてお返事するわたしたち。
「失敗してもいいから。それも経験なんだし」
「はいっ」
「よし、行こう」
ヨーコさんがパンッと手を打ち、
「はいっ」
元気に返すわたしたち。
さ、行こうとドアに手をかけると、外からぶいっと開けられて、
「時間だぞ、いいか」
下川先生でした。
「先生、遅い」
「チラシ配れたんですか」
「あ、うん、7枚」
「ななまいっ?」
あたしとあと何人か、声が揃った。
「だって、受け取ってくんないんだもん」
そんな先生です。
「それより、時間だから」
はいはい、分かってますって。
「行こう」
声をかけて、真っ先に店を出るわたくし、カンナ。いちおうリーダーでございますから。
外に出れば、お店が面してる路地の向かいが、会場の駐車場です。
お、けっこヒト集まってる。
どきわくで会場に向かいます。
さ、いよいよアイドル・デビューだぞ。
*
その頃、商店街に面したにしぶち酒店では、なにかおかしな出来事が起こっていたようです。
なにが起きてたんですか? 西淵のおじさん。
あ、お店だから息子さんのほうだ。
*
はい、にしぶち酒店の現役、息子のほうです。
いや、大したことじゃないんだけど、ちょっと変わったお客さんが来たんだよ。
銀髪なんだ、髪の毛が。そいで、細面の顔にサングラスしてて、ちょっと見、歌舞伎町あたりのホストみたいなんだ。
けど、着てるのがモスグリーンの作業服みたいなツナギで、足元がごっついブーツなの。
違和感ばりばりでしょ。
そいでいきなり、
「サーモンをくれ」
ってゆうのよ。
「サーモンだよ、サーモン。ごくごくのへろっ」
「はあっ?」
「なんでもいいからサーモンを出せ」
「シャケ缶でよろしいですか?」
「それはサーモンか」
「はい」
「よし、それでいい」
「かしこまりました」
で、棚からシャケ缶とってきて、お金もらって、品物渡して、それで帰っちゃった。
それだけなんだけど、ちょっとヘンなお客だったなぁ。
*
なぁ~んだ、そんなことか。
だがしかし。
ん? なにが[だがしかし]なの?
にしぶち酒店を出た銀髪男は、新築4LDK4400万円の不動産広告がくっついた電柱のかげで、スマホ状の通信機を取り出し、なにやら通信を始めたのだそうです。
スマホ状の通信機?
スマホのがただの通信機より進化してると思うんだケド、ま、いっか、
その通信は、こんな感じだったんだって。
「いりてました、サーモン」
「サーモン?」
「はい。シャケ缶ですが、サーモンです」
「なんでサーモンなんだよ」
「シャケはサーモンともいうそうです」
「シャケじゃなくて、シャケテン」
「天ぷらにするのですか」
「じゃなくって、シャケテン、下りる」
「親が?」
「違う、下るの」
「腹が」
「くわぁ~~っ」
「あ、あの、なにか問題が?」
「高度を下げろ」
「は?」
「スルーパのムステーシは、必ず高度の下がった位置にある。シャケンテで高度を下げろ」
「こーどを、下げる?」
その時、銀髪男のツナギのポケットからは、なにかのコードがぶら下がっていたのだそうです。
って、なんのこっちゃ。
だがしかし、このあと、銀髪男には、新たな指令が発せられていました。
*
もちろんわたしたちは、そんなことはなにも知りません。
商店街とそのまわりに、もうあと四人の銀髪男がいたことも。
計五人の銀髪男を派遣したのが、どう見ても芸人かアニメのコスプレにしか見えない派手はでの制服を着た男だってことも。
あとあと、こいつらのおかげでとんでもない目にあわされることも。
知るもんか。
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