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9・地球常識が、ない
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9・地球常識が、ない
「ど~ゆ~ことなんですか?」
「そうですよ。なんにも聞いてないのに、いきなりバトルだなんて」
リーダーのあたしが口火を切るべきだったかも。けど、部室に戻ると、スミレとアヤメが、もう下川先生に詰め寄ってたんだもん。
あ、部室っつっても、元演劇部の倉庫だった、窓もない小さな部屋なんですけどね。
「わたしだって驚いたよ。そういうことがあるかもしれないと、聞いてはいたけど、まさか、ねぇ」
「ねぇ、じゃないですよ。ちゃんと説明してくださいよ」
最年少アヤメ、勇士だ。
「だから、キミたちが、ハカセに、その、つまり、え、選ばれてしまったのだよ」
「ハカセ?」
「ほら、先々週、脳波とったときにいたでしょ」
「あ~あ~」
みんな、なんとなく思い出した。
そう、先々週、なんかのデータを取るお手伝いとかで、みんなの脳波を取ったんだった。
そういえば、その時、四角い顔のおじさんがいたっけ。
あれ、旧倉庫の一階だったな。
「ハカセって、なんのハカセなんですか?」
と、聞いたのは、スミレ。
「ハカセは、宇宙人なんだ」
うちゅ~じん?
「変人って意味?」
カズラが聞いた。
「いや、ホントの宇宙人」
顔を見合わせるわたしたち。
「UFOとか、信じる?」
スミレが、みんなに聞く。
「あたしは信じる」
即答したのは、カズラだった。
「やっぱいたんだ」
腕組みまでするか。
「そう、その宇宙人が、地球を侵略しようとしているんだ」
「ヤバい」
真剣に答えるカズラだったけど、わたしたちはリアクションに困ってた。
「けどハカセは、侵略に反対してて、それで、宇宙人が活動できなくなる装置を作ったんだ」
また分かんなくなった。
「その装置を守るため、宇宙人と戦うのが、キミたちの使命なんだ」
「重いわ」
腕組みのままのカズラが重々しく言う。
この子、そっち系だったのか。
「でも、なんであたしたちなんですか」
ミズキ、もっともな質問。
「だから、あのアーマーは、きみたちの脳波にしか反応しないんだ」
「はんのうはんぎょ」
スミレのつぶやき。
「それを言うなら半信半疑」
突っこむ下川先生。
「阪神ファンは下川先生でしょ」
と、あたし。
「そう、六甲おろしを聞くと体が反応して・・って、そうじゃないでしょ」
会話がかみあってません。
「誰かほかのヒトに代わってもらえないんですか?」
と、ミズキ。
「うん、勉強と部活の両立だけでも大変なのに」
こちら、スミレ。
「ムリ」
「ムリ?」
「選ばれちゃったんだもの、キミたちが」
「なんで?」
「だから、その、システムを開発したハカセがだな、キミたちの、その、ぴゅ、ピュアなハートに惚れてしまったのさ、あはは」
あはは、じゃないでしょ。
なんかごまかしてる。
そう、実は、脳波取るのが、一人3000円のアルバイトで、バイト代は、揃いのオリジナルTシャツに化けていたのでした。
でもって、あのあーまーは、その脳波でしか起動できない仕掛けになっていたのです。
わたしたちがそれを知ったのは、ずっとずっとあとのことでしたケド。
「感動的だわ」
すっかりその気になっているカズラだけが、マジで感動してます。
「怪我とか、しない?」
「だいじょぶだよ」
アヤメの問いに反応したのも、カズラ。
「さっきだって、あんだけバトルったのに、そんな痛くなかったじゃん」
「その点は、ハカセも保証していた」
あ、そうなんっすか。
「結局、それやらないと、アイドル騎士団、つづけられないってことなんですか?」
ミズキが、不安そうな、マジメな顔で聞くと、
「なに言ってるの。アイドル騎士団の活動の一部よ」
カズラが両手を腰に、胸をはって堂々と答えた。
「そう、そうそうそう、そう」
と、下川先生。
「あたしたちが、地球を守るの」
ってカズラ、ホンキかよ。
「買ってきましたぁ~」
コブシが、コンビニの袋を下げて入ってきた。
「おう、ご苦労さん」
コンビニの袋受け取って、下川先生がテーブルに置く。
「シュークリーム、先生の奢りだ」
「わ~いっ」
シュークリームへの反応の速さでは世界一のアヤメが、早くも一個つかんで封を切ってる。
「今、ハカセと話してきたんですけど・・・」
自分も一個取りながら、コブシが先生に話しかけてる。
「どこで?」
突っこむのは、あたし。
「話の途中だから」
「なんであんたがまざってるのよ」
「姉ちゃんたちだけじゃ頼りないからだよ」
「なぬを?」
「いいから、ちょっとハナシ聞こうよ」
先生に割って入られた。
コブシ、あたしにぺっと舌だしてから、話を続けた。
きしょっ。
「宇宙人が接近してくると、使っているパルスを感知して、発見できるはずだったんです」
あたしもシュークリームた~べよ。
「それで?」
「でも、宇宙人もそれに気付いてて、パルスを出さずに接近したんだろうって」
「それで、西淵のご主人、襲われちゃったの?」
「問題は、なぜ西淵のおじさんが秘密を知ってるって、気付いたか、だって」
「なんでなの?」
「見当はついてるけど、確認してみるって言ってました」
「じゃ・・・」
コブシが頷いている。
「まだ危険はあるかも」
ひょえっ。下川先生が渋い顔してら。
「でも、対策は考えるって、ハカセが」
「だよね、じゃないと困るよね」
「でも、パルスが出てないとき、つまり、彼らの科学装置を使ってないときは、ふつうに人間なみのパワーしかないんですって」
「あ、そうなの」
「あと、もうひとつ」
「なに?」
「宇宙人を見破るポイントは、地球常識がないことなんだそうです」
「地球常識が、ない」
「はい。そこで、宇宙人だと見破れるって、ハカセが」
ほ~お。
*
「地球常識のレクチャーは受けたんだろうな」
こちら、芸人風派手はで制服の、階級が高そうな宇宙人です。
でもって、
「あ、はい」
と、返事をしているのが、あの、西淵のおじさんを襲った、最初の銀髪男です。
場所は、月の裏側に浮かんでいる宇宙船の中なんですってさ。
どんなとこなんでしょ。
「なのに、なんでシャケ缶?」
「サケを、手に入れろ、と」
「俺がそんなこと言うと思うのかっ」
「はっ」
だって、初めての地球がけっこう面白かったんだもん、と思ったらしいのですが、口には出しませんでした。
賢明です。
「俺が言ったのは、サケンテの高度下がったポイントに、ラルブレッセのだな・・・」
「あの・・・」
ヒトのハナシの途中で、銀髪男が怪訝に顔を上げました。
「自動翻訳機のバージョン・アップはされましたでしょうか」
「え?」
「作戦前に案内が」
「ウソで?」
派手はで制服男が、口ぽかん。
「マジで、です」
銀髪男が指摘する。
「バージョンが違うと、このように互換性の問題が生じるのだとか」
「だから?」
「コミュニケーションの阻害要因になると」
「それで?」
「たとえば、サケ、シャケ、サーモンのような・・・」
「もういいっ、下がれっ」
「はっ」
銀髪男がうれしそうに退出していきました。
さ、シャケ缶た~べよっと。
憮然とした表情の派手はで制服男、窓、みたいなスクリーンにもたれます。
そこには、宇宙から見下ろす地球の姿が。
「認めたくないよな。バカだから、ドジったなんて」
ちなみに派手はで制服男、名前をヂャアというのだそうです。
なんのこっちゃ。
*
「今は叔父上のおかげで疑られている身の上だ。あまり目立つことはするな」
「てへぺろっ」
「しょうがないヤツだ。で、どうだった?」
「い~ところよ、地球って」
すご~くい~声の、でもって超美形の男子と、透き通った声に、ちょ~かわゆい顔の少女。
誰なの?
「兄さんも、行ってみる?」
「悪くないね、地球常識でも学びに行こうか」
すらりとした体を少しだけ折り曲げて、テーブルに両手をつき、その表面のスクリーンを見下ろします。
そこにも、地球の姿が。
「シュバリアンか。叔父上のやりそうなことだ」
「戦ってみたい?」
「そうだな。いずれ、宇宙に出てきてもらおうか」
すると、映像がどアップになり、グーグル・マップおっきくするときみたいに、ちゃかちゃか拡大され、おしまいに巌厳学園の校舎になったのでした。
そっ。見えている第二校舎の一階の隅っこに、わたしたちがいるわけです。
*
でもって、わたしたち。
「あんただって地球常識ないじゃない」
シュークリーム食べながら、コブシに言ってやります。
「姉ちゃんよかよっぽど地球常識もってますよ」
「どうだか」
「だからハカセから、姉ちゃんたちの面倒を見るように頼まれたんだもん」
「なぬ?」
コブシめ、なんか威張ってやがる。
ふんっ・・と、足組んだら、あら、靴が汚れてる。
まじまじと見るあたし。
「ねぇねぇ、シュークリームのクリーム、靴に塗ってもいいのかな」
「え?」
「だってシューって、靴のことじゃん」
「へ?」
「地球常識が、ないっ」
え? なんでなんで? なんでみんな、あたしのことそんな目で見るわけ?
そんなわけで、わたしたちは今、こんなことになってマス。
[つづく]
「ど~ゆ~ことなんですか?」
「そうですよ。なんにも聞いてないのに、いきなりバトルだなんて」
リーダーのあたしが口火を切るべきだったかも。けど、部室に戻ると、スミレとアヤメが、もう下川先生に詰め寄ってたんだもん。
あ、部室っつっても、元演劇部の倉庫だった、窓もない小さな部屋なんですけどね。
「わたしだって驚いたよ。そういうことがあるかもしれないと、聞いてはいたけど、まさか、ねぇ」
「ねぇ、じゃないですよ。ちゃんと説明してくださいよ」
最年少アヤメ、勇士だ。
「だから、キミたちが、ハカセに、その、つまり、え、選ばれてしまったのだよ」
「ハカセ?」
「ほら、先々週、脳波とったときにいたでしょ」
「あ~あ~」
みんな、なんとなく思い出した。
そう、先々週、なんかのデータを取るお手伝いとかで、みんなの脳波を取ったんだった。
そういえば、その時、四角い顔のおじさんがいたっけ。
あれ、旧倉庫の一階だったな。
「ハカセって、なんのハカセなんですか?」
と、聞いたのは、スミレ。
「ハカセは、宇宙人なんだ」
うちゅ~じん?
「変人って意味?」
カズラが聞いた。
「いや、ホントの宇宙人」
顔を見合わせるわたしたち。
「UFOとか、信じる?」
スミレが、みんなに聞く。
「あたしは信じる」
即答したのは、カズラだった。
「やっぱいたんだ」
腕組みまでするか。
「そう、その宇宙人が、地球を侵略しようとしているんだ」
「ヤバい」
真剣に答えるカズラだったけど、わたしたちはリアクションに困ってた。
「けどハカセは、侵略に反対してて、それで、宇宙人が活動できなくなる装置を作ったんだ」
また分かんなくなった。
「その装置を守るため、宇宙人と戦うのが、キミたちの使命なんだ」
「重いわ」
腕組みのままのカズラが重々しく言う。
この子、そっち系だったのか。
「でも、なんであたしたちなんですか」
ミズキ、もっともな質問。
「だから、あのアーマーは、きみたちの脳波にしか反応しないんだ」
「はんのうはんぎょ」
スミレのつぶやき。
「それを言うなら半信半疑」
突っこむ下川先生。
「阪神ファンは下川先生でしょ」
と、あたし。
「そう、六甲おろしを聞くと体が反応して・・って、そうじゃないでしょ」
会話がかみあってません。
「誰かほかのヒトに代わってもらえないんですか?」
と、ミズキ。
「うん、勉強と部活の両立だけでも大変なのに」
こちら、スミレ。
「ムリ」
「ムリ?」
「選ばれちゃったんだもの、キミたちが」
「なんで?」
「だから、その、システムを開発したハカセがだな、キミたちの、その、ぴゅ、ピュアなハートに惚れてしまったのさ、あはは」
あはは、じゃないでしょ。
なんかごまかしてる。
そう、実は、脳波取るのが、一人3000円のアルバイトで、バイト代は、揃いのオリジナルTシャツに化けていたのでした。
でもって、あのあーまーは、その脳波でしか起動できない仕掛けになっていたのです。
わたしたちがそれを知ったのは、ずっとずっとあとのことでしたケド。
「感動的だわ」
すっかりその気になっているカズラだけが、マジで感動してます。
「怪我とか、しない?」
「だいじょぶだよ」
アヤメの問いに反応したのも、カズラ。
「さっきだって、あんだけバトルったのに、そんな痛くなかったじゃん」
「その点は、ハカセも保証していた」
あ、そうなんっすか。
「結局、それやらないと、アイドル騎士団、つづけられないってことなんですか?」
ミズキが、不安そうな、マジメな顔で聞くと、
「なに言ってるの。アイドル騎士団の活動の一部よ」
カズラが両手を腰に、胸をはって堂々と答えた。
「そう、そうそうそう、そう」
と、下川先生。
「あたしたちが、地球を守るの」
ってカズラ、ホンキかよ。
「買ってきましたぁ~」
コブシが、コンビニの袋を下げて入ってきた。
「おう、ご苦労さん」
コンビニの袋受け取って、下川先生がテーブルに置く。
「シュークリーム、先生の奢りだ」
「わ~いっ」
シュークリームへの反応の速さでは世界一のアヤメが、早くも一個つかんで封を切ってる。
「今、ハカセと話してきたんですけど・・・」
自分も一個取りながら、コブシが先生に話しかけてる。
「どこで?」
突っこむのは、あたし。
「話の途中だから」
「なんであんたがまざってるのよ」
「姉ちゃんたちだけじゃ頼りないからだよ」
「なぬを?」
「いいから、ちょっとハナシ聞こうよ」
先生に割って入られた。
コブシ、あたしにぺっと舌だしてから、話を続けた。
きしょっ。
「宇宙人が接近してくると、使っているパルスを感知して、発見できるはずだったんです」
あたしもシュークリームた~べよ。
「それで?」
「でも、宇宙人もそれに気付いてて、パルスを出さずに接近したんだろうって」
「それで、西淵のご主人、襲われちゃったの?」
「問題は、なぜ西淵のおじさんが秘密を知ってるって、気付いたか、だって」
「なんでなの?」
「見当はついてるけど、確認してみるって言ってました」
「じゃ・・・」
コブシが頷いている。
「まだ危険はあるかも」
ひょえっ。下川先生が渋い顔してら。
「でも、対策は考えるって、ハカセが」
「だよね、じゃないと困るよね」
「でも、パルスが出てないとき、つまり、彼らの科学装置を使ってないときは、ふつうに人間なみのパワーしかないんですって」
「あ、そうなの」
「あと、もうひとつ」
「なに?」
「宇宙人を見破るポイントは、地球常識がないことなんだそうです」
「地球常識が、ない」
「はい。そこで、宇宙人だと見破れるって、ハカセが」
ほ~お。
*
「地球常識のレクチャーは受けたんだろうな」
こちら、芸人風派手はで制服の、階級が高そうな宇宙人です。
でもって、
「あ、はい」
と、返事をしているのが、あの、西淵のおじさんを襲った、最初の銀髪男です。
場所は、月の裏側に浮かんでいる宇宙船の中なんですってさ。
どんなとこなんでしょ。
「なのに、なんでシャケ缶?」
「サケを、手に入れろ、と」
「俺がそんなこと言うと思うのかっ」
「はっ」
だって、初めての地球がけっこう面白かったんだもん、と思ったらしいのですが、口には出しませんでした。
賢明です。
「俺が言ったのは、サケンテの高度下がったポイントに、ラルブレッセのだな・・・」
「あの・・・」
ヒトのハナシの途中で、銀髪男が怪訝に顔を上げました。
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「え?」
「作戦前に案内が」
「ウソで?」
派手はで制服男が、口ぽかん。
「マジで、です」
銀髪男が指摘する。
「バージョンが違うと、このように互換性の問題が生じるのだとか」
「だから?」
「コミュニケーションの阻害要因になると」
「それで?」
「たとえば、サケ、シャケ、サーモンのような・・・」
「もういいっ、下がれっ」
「はっ」
銀髪男がうれしそうに退出していきました。
さ、シャケ缶た~べよっと。
憮然とした表情の派手はで制服男、窓、みたいなスクリーンにもたれます。
そこには、宇宙から見下ろす地球の姿が。
「認めたくないよな。バカだから、ドジったなんて」
ちなみに派手はで制服男、名前をヂャアというのだそうです。
なんのこっちゃ。
*
「今は叔父上のおかげで疑られている身の上だ。あまり目立つことはするな」
「てへぺろっ」
「しょうがないヤツだ。で、どうだった?」
「い~ところよ、地球って」
すご~くい~声の、でもって超美形の男子と、透き通った声に、ちょ~かわゆい顔の少女。
誰なの?
「兄さんも、行ってみる?」
「悪くないね、地球常識でも学びに行こうか」
すらりとした体を少しだけ折り曲げて、テーブルに両手をつき、その表面のスクリーンを見下ろします。
そこにも、地球の姿が。
「シュバリアンか。叔父上のやりそうなことだ」
「戦ってみたい?」
「そうだな。いずれ、宇宙に出てきてもらおうか」
すると、映像がどアップになり、グーグル・マップおっきくするときみたいに、ちゃかちゃか拡大され、おしまいに巌厳学園の校舎になったのでした。
そっ。見えている第二校舎の一階の隅っこに、わたしたちがいるわけです。
*
でもって、わたしたち。
「あんただって地球常識ないじゃない」
シュークリーム食べながら、コブシに言ってやります。
「姉ちゃんよかよっぽど地球常識もってますよ」
「どうだか」
「だからハカセから、姉ちゃんたちの面倒を見るように頼まれたんだもん」
「なぬ?」
コブシめ、なんか威張ってやがる。
ふんっ・・と、足組んだら、あら、靴が汚れてる。
まじまじと見るあたし。
「ねぇねぇ、シュークリームのクリーム、靴に塗ってもいいのかな」
「え?」
「だってシューって、靴のことじゃん」
「へ?」
「地球常識が、ないっ」
え? なんでなんで? なんでみんな、あたしのことそんな目で見るわけ?
そんなわけで、わたしたちは今、こんなことになってマス。
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