世界最強で狂犬と呼ばれる妹を手なずければ実質俺が世界最強なんじゃね?と思っていた時期が俺にもありました

シャルねる

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第5話

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「……シフル、なんで布団の中に帰ろうとしてる」

 考えに考え、更に考えた結果、硬い床に敷いてある布団の中に帰ろうとしたところで、リーヴァのそんな声が掛かった。

「……いや、夢かと思って」

「……ふ、ふーん。……夢かと思うくらい、嬉しいんだ。…………夢じゃないから、安心して、出てきて。頬っぺくらいなら抓ってあげるから」

 リーヴァに抓られるくらいなら、自分でするよ。
 別にリーヴァが必要以上に痛くしてくるとは微塵も思ってないけど、妹に頬っぺを抓られるのなんて恥ずかしいし。

 ゆっくりと、恐る恐る俺は自分の頬っぺを抓った。
 痛かった。
 普通に痛かった。
 つまり、これは夢じゃないということの証明だった。

「……どう? 夢じゃなかったでしょ」

「まぁ、うん。夢じゃなかったな。…………え? リーヴァ?」

「……なに」

「い、家を用意したってどういう事だ?」

 夢じゃないのなら、結局はそこに戻ってきてしまい、俺はそう聞いた。

「? そのままだけど。……シフルが私と一緒に居たいみたいだったから」

 ……確かに、言った。それは言った。
 実際、家族としてという意味でも、手懐けるチャンスを増やしたいという意味でも、リーヴァと一緒に居られる時間が増えるのなら、俺は嬉しいさ。
 ……でも、行動力の塊すぎないか?
 昨日の今日だぞ?
 そもそもの話、物理的に家なんて1日で準備できるものなのか?
 リーヴァなら、出来るのか。
 実際、リーヴァがこんな訳の分からない嘘をつくとは思えないし、リーヴァがこう言うからには、本当に用意しているんだろう。

「……ちなみになんだが、どこに用意したんだ?」

「王国と帝国の都」

「に、2軒も……?」

「住まない方は別荘にする」

 贅沢すぎないか?
 ……それくらい1日で出来る程度にリーヴァは余裕で稼いでるってことか。
 
「……旅行とか、一緒に行ってあげる」

 リーヴァは綺麗な緑色の髪の毛を指先で弄りながら、そう言ってきた。
 ……嬉しいぞ? うん。嬉しくないわけが無い。
 でも​──

「だから、早くどっちに行くかを決めて、準備して」

 ​──それ、どうしても今からじゃないとダメか?
 せめてさ、後一日待ってくれないかな。
 
「……シフル? 何を迷ってる?」

「な、何って……ど、どっちがいいかなぁ、ってさ。リーヴァが一緒に居てくれるのなら、どっちでも今より楽しい生活ができるだろうことは確定なんだけど、どっちも俺は行ったことないからさ。悪いんだけど、あと一日だけ待ってくれないか? 明日の夜には決めるからさ」

 夜にはデートから帰ってきてるしな。
 ……あ、でも、上手くいった場合はどうしよう。上手くいった場合、俺は帝都も王都もどっちも行きたくなんて無いぞ。
 ……リーヴァが大事な家族であることは間違いの無い事実なんだけど、やっぱり……綺麗な彼女が俺だって欲しいんだよ!
 昨日も思ったけどさ、俺だけに笑顔を向けてくれる彼女が欲しいんだよ!
 リーヴァと居られるのは嬉しいし、手懐けるチャンスが増えるのはいいことなんだが……やっぱり綺麗な彼女は捨てられない。

「…………ダメ。待つとしても、明日の朝まで」

「な、なんでだよ。明日の朝まで待ってくれるのなら、別に夜まででも良くないか?」

「……ダメ」

 取り付く島もないリーヴァ。
 ……リーヴァを手懐けられるのはまだまだ先みたいだった。
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