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6.最後のデート編
54.元通り!?
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「私は優太が好きっ……。この気持ちは誰にも負けないっ……」
有里ねぇはそう言って少しの間、俯いていた。
雨で濡れた前髪から雫がポタポタと落ちている。
「……」
「私だったら……」
「……」
「優太の事も凛津の事だってっ……幸せに出来る。だからっ……」
「有里ねぇ……」
「それでもっ……優太はダメ……なの」
「ごめん……」
降り注ぐ雨の勢いが一層強くなった気がした。
有里ねぇは俯いたまましばらく何も言わなかった。
それから……雨の勢いがだんだんと止んできて、にわか雨になりかけるくらいまでに時間が経った時
「お願い……」
有里ねぇはぽつりとそう言った。
「……」
「私、学校であのノートの事、怖いって言ったの今でも覚えてるからっ……」
「それは……」
凛津や有里ねぇと学校に行った時に約束した事だった。
「だから私のお願い……1つだけ聞いて」
有里ねぇは雫が伝う顔で俺の方を見た。
「分かった……」
俺がそう言うと、有里ねぇは涙を袖で拭き取り
「一回しか……言わないから」
そう言って俺の目をじっと見た。
「凛津を絶対に幸せにしてあげて……。じゃないと、私優太のこと嫌いになるから……」
「……もちろんだ」
「あと、もう一つ」
「一回しか言わないんじゃ……」
「そっ、それは……いいの!」
「……そうか」
有里ねぇはそう言って仕切り直すように俺の方に向き直った。
真剣な話をしてるってのにいつでも、有里ねぇとの会話は最後になると締まらない。
でも……有里ねぇと過ごすそんな時間が俺は大好きだった。
「優太?」
「……うん。続けて……」
「分かった……。私、あの神社に行った時ね、自分が凛津だったらって思ったの」
「……それは」
「理由は分からない。だって、まだ優太が凛津のことを好きってことすら知らなかったから……」
「……」
「でも、今やっと分かった気がする」
「……」
「多分さ……ないものねだりだったの。私は、凛津みたいに、真っ直ぐな生き方は出来ない。私は、周りに素直に頼って生きることはできない。いつも自分はお姉ちゃんだからとか……そんな仮面を被ってないと嫌われるんじゃないかって怖くて……」
「……有里ねぇ」
「でも、今ならわかる。そういうのもひっくるめて私なんだって」
『有里ねぇだってお姉ちゃんである以前に1人の人間だろ……。だからさ……もっと頼って欲しい』
俺は確かあの日、そう言った。
「だから、私は優太が言ってくれたみたいにさ、自分1人で抱え込んだりするの……やめようと思う」
「……」
「それで、私は私なりに自分をもっと好きになれるようになる。他の人が羨ましって思うのはそれだけ、まだ自分の良いところを理解できてなかったってことだと思うから……」
「そう……か」
そう言い切った有里ねぇ顔は清々しかった。
気付けばさっきまで降っていた雨もすっかりと止んでいた。
「だからっ! 私は、優太以上に素敵な人を見つけて絶対、優太と凛津よりも幸せになるからっ!」
それからビシッと俺の方を指差してそう高らかに宣言した。
「あぁ……受けてたつ! 絶対、俺たちの方が幸せになるから!」
「ふーん? さっき振った女の子に優太はそんな事言うんだ~?」
「え? いや! だってそれは有里ねぇがっ!」
「はぁっ! 悲しいな~! 私、もう一回泣いちゃうかも」
「えぇ~~。それは勘弁してくれ」
気付けばいつも通りの様子に戻っていた。
しかし、いつも通りでない事が一つ。
「有里ねぇ……体」
「え?」
そう言って、有里ねぇが、すぐ近くに出来ていた水たまりを覗いた。
「……え? わっ、私!? てことは……」
「「元に戻ってる!?」」
2人の声が同時に公園の中で大きく響き渡った。
有里ねぇはそう言って少しの間、俯いていた。
雨で濡れた前髪から雫がポタポタと落ちている。
「……」
「私だったら……」
「……」
「優太の事も凛津の事だってっ……幸せに出来る。だからっ……」
「有里ねぇ……」
「それでもっ……優太はダメ……なの」
「ごめん……」
降り注ぐ雨の勢いが一層強くなった気がした。
有里ねぇは俯いたまましばらく何も言わなかった。
それから……雨の勢いがだんだんと止んできて、にわか雨になりかけるくらいまでに時間が経った時
「お願い……」
有里ねぇはぽつりとそう言った。
「……」
「私、学校であのノートの事、怖いって言ったの今でも覚えてるからっ……」
「それは……」
凛津や有里ねぇと学校に行った時に約束した事だった。
「だから私のお願い……1つだけ聞いて」
有里ねぇは雫が伝う顔で俺の方を見た。
「分かった……」
俺がそう言うと、有里ねぇは涙を袖で拭き取り
「一回しか……言わないから」
そう言って俺の目をじっと見た。
「凛津を絶対に幸せにしてあげて……。じゃないと、私優太のこと嫌いになるから……」
「……もちろんだ」
「あと、もう一つ」
「一回しか言わないんじゃ……」
「そっ、それは……いいの!」
「……そうか」
有里ねぇはそう言って仕切り直すように俺の方に向き直った。
真剣な話をしてるってのにいつでも、有里ねぇとの会話は最後になると締まらない。
でも……有里ねぇと過ごすそんな時間が俺は大好きだった。
「優太?」
「……うん。続けて……」
「分かった……。私、あの神社に行った時ね、自分が凛津だったらって思ったの」
「……それは」
「理由は分からない。だって、まだ優太が凛津のことを好きってことすら知らなかったから……」
「……」
「でも、今やっと分かった気がする」
「……」
「多分さ……ないものねだりだったの。私は、凛津みたいに、真っ直ぐな生き方は出来ない。私は、周りに素直に頼って生きることはできない。いつも自分はお姉ちゃんだからとか……そんな仮面を被ってないと嫌われるんじゃないかって怖くて……」
「……有里ねぇ」
「でも、今ならわかる。そういうのもひっくるめて私なんだって」
『有里ねぇだってお姉ちゃんである以前に1人の人間だろ……。だからさ……もっと頼って欲しい』
俺は確かあの日、そう言った。
「だから、私は優太が言ってくれたみたいにさ、自分1人で抱え込んだりするの……やめようと思う」
「……」
「それで、私は私なりに自分をもっと好きになれるようになる。他の人が羨ましって思うのはそれだけ、まだ自分の良いところを理解できてなかったってことだと思うから……」
「そう……か」
そう言い切った有里ねぇ顔は清々しかった。
気付けばさっきまで降っていた雨もすっかりと止んでいた。
「だからっ! 私は、優太以上に素敵な人を見つけて絶対、優太と凛津よりも幸せになるからっ!」
それからビシッと俺の方を指差してそう高らかに宣言した。
「あぁ……受けてたつ! 絶対、俺たちの方が幸せになるから!」
「ふーん? さっき振った女の子に優太はそんな事言うんだ~?」
「え? いや! だってそれは有里ねぇがっ!」
「はぁっ! 悲しいな~! 私、もう一回泣いちゃうかも」
「えぇ~~。それは勘弁してくれ」
気付けばいつも通りの様子に戻っていた。
しかし、いつも通りでない事が一つ。
「有里ねぇ……体」
「え?」
そう言って、有里ねぇが、すぐ近くに出来ていた水たまりを覗いた。
「……え? わっ、私!? てことは……」
「「元に戻ってる!?」」
2人の声が同時に公園の中で大きく響き渡った。
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