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第2章.少年期
40.突然の来店
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週の初め。
今日も学校から帰ると、父の雑貨屋を手伝う。
蜂蜜の入った瓶を並べながらふと思う。
そう言えば、コルトと出会ってもう少しで1年程になるだろうか。
あいつに言われた修行内容を毎日やっているせいか、
魔力の感覚というものが日々わかるようになってきている。
そして身体強化と魔力操作のLvが着々と上がっている。
地味な修行のわりに効果がある。
あいつ、学校のクラスにいたら結構真面目なタイプかもな…。
そんなことを思っていると、聞き覚えのある声がした。
少し低い女性の声だ。
「ほう。ここがクルスの家か。」
金髪のナイスでスレンダーな女性が目の前にいた。
「コ…コルトっ!なんでここに…っ!」
思わず驚いてしまい声をかける。
「いや、なに。おまえの雑貨屋というのが見たくてな。それにわたしの狩ったタンクビーの蜂蜜がどうなったのかも見たかったからな。」
「いらっしゃい。おや?もしかして、キミがクルスの友達のお姉さんかな?いや~この蜂蜜は人気でな~。すぐに売り切れてしまうよ。」
父が話しに割り込んできた。
…いやな予感がする…。
「そうですか。ありがとうございます。わたしはコルトといいます。蜂蜜をどのように売っていいものかわからず、クルスくんには助けられております。」
おおぅ。なんだその言葉使い。
どこで身につけた…。
そう思って聞いていると、
「いやぁ、蜂蜜は高級ですから。こんな美人のお嬢さんから納めて貰っているとは驚きましたよ。」
そう父が続けて話す。
「…高級なのですか。…ひとつ売れるとどれくらいお金になるのですか?」
コルトの目が少し鋭くなりつつ、そう言葉を続ける。
あっ…。
その話題は…
…やばい。
やばいやばいやばい。
「なんだ。クルス。伝えていなかったのか?ダメだぞ?」
父がそう言う。
言うな…。
父よ言うでなーい!!!
「蜂蜜は800ガルで売っているが、瓶の仕入れ値が300ガルするからな。1つ売れると利益は500ガルだ。甘味は人気があるからすぐに売り切れになるがな!」
父は笑いながらコルトにそう説明した。
俺の願いもむなしく、父は正直にコルトに伝えてしまった。
……。
「…ほう。ありがとう主人。よくわかりました。」
コルトはにやりと笑いそう言った。
「そうか。まぁ、せっかく来たならいろいろ見て行ってくれ!」
父はコルトにそう言い、店の奥に帰って行った。
…
…やばい…
…やばいやばい…
少しの沈黙の後、
悪寒共に、コルトは俺に近づいてきた。
そして、
「なぁ、クルスよ。少し聞きたいことがある。」
…コルトは顔を近づけ、そう問いかけた。
「…はい…なんでしょうか…」
緊張した空気感が漂う中、俺は目線を合わせることができず、まっすぐ前を見たまま口を開く。
「あそこに並んでいる瓶が蜂蜜か?」
「…はい。そうです…。」
「4つ並んでいるな…。」
「…そう…みたいですね…」
…俺の額を汗が流れ落ちる。
「1つ売れると500ガル儲かるそうだな。」
「…そう…ですね…」
「4つ売れたら、500ガルが4つだな…」
「…はい。」
「1つ500ガルのシュクルムが4つ買えるのではないか…?」
「…そういう…ことに、なりますかね…。」
やっぱり気づいてしまった。
わかってたけど!
この尋問始まるときにわかってたけど!
「…ほぅ?おまえがいつもわたしに持ってくるシュクルムは2つだな。」
「はい…。」
「シュクルム残り2つ分はどうしたのだ…?」
…どうしよう…
…どうしようどうしようどうしよう!
なんだ。なんか…なんか…っ!
「のぅ、クルスよ…。別に怒ってはおらん。正直に言えばよい…。」
それは絶対怒ってるときに言うセリフー!
と思いつつ、異常な殺気の中、なにかないかと考えを巡らせる。
「…あ、あのですね…、何か有事の際などあるかと思いましてですね…。取って置いたのですよ。…あ、あははは…」
…く、苦しい。
しかし、売上の余剰分はとりあえずまだ使ってはいないのだ。
うむ。取っておいたということにして、なんとか納めてもらいたい…。
「ほう?有事の際のために取って置いた…とな。
…ん?これは…。」
お?もしかしておさまった?
なにか少しだけ殺気が和らぐとともに、コルトはハッとなにかを見つけたような表情をしている。
「クルス。そこに置いてあるのは回復薬というものであろう?」
コルトがポーションを指さし、そう言う。
「あ、うん。そうだけど…」
…なんだ急に?回復薬がほしいのかな。
…
「クルス。明日、この回復薬を買えるだけ買って、あの場所に来い。」
「へ?なんで?」
急になんに使うんだ?と不思議になり、聞いた。
するとコルトは俺の頭をグッと掴み耳元で言った。
「くっくっく!…明日がその有事の際、というやつだ…。」
なにか背筋がぞっとした。
今日も学校から帰ると、父の雑貨屋を手伝う。
蜂蜜の入った瓶を並べながらふと思う。
そう言えば、コルトと出会ってもう少しで1年程になるだろうか。
あいつに言われた修行内容を毎日やっているせいか、
魔力の感覚というものが日々わかるようになってきている。
そして身体強化と魔力操作のLvが着々と上がっている。
地味な修行のわりに効果がある。
あいつ、学校のクラスにいたら結構真面目なタイプかもな…。
そんなことを思っていると、聞き覚えのある声がした。
少し低い女性の声だ。
「ほう。ここがクルスの家か。」
金髪のナイスでスレンダーな女性が目の前にいた。
「コ…コルトっ!なんでここに…っ!」
思わず驚いてしまい声をかける。
「いや、なに。おまえの雑貨屋というのが見たくてな。それにわたしの狩ったタンクビーの蜂蜜がどうなったのかも見たかったからな。」
「いらっしゃい。おや?もしかして、キミがクルスの友達のお姉さんかな?いや~この蜂蜜は人気でな~。すぐに売り切れてしまうよ。」
父が話しに割り込んできた。
…いやな予感がする…。
「そうですか。ありがとうございます。わたしはコルトといいます。蜂蜜をどのように売っていいものかわからず、クルスくんには助けられております。」
おおぅ。なんだその言葉使い。
どこで身につけた…。
そう思って聞いていると、
「いやぁ、蜂蜜は高級ですから。こんな美人のお嬢さんから納めて貰っているとは驚きましたよ。」
そう父が続けて話す。
「…高級なのですか。…ひとつ売れるとどれくらいお金になるのですか?」
コルトの目が少し鋭くなりつつ、そう言葉を続ける。
あっ…。
その話題は…
…やばい。
やばいやばいやばい。
「なんだ。クルス。伝えていなかったのか?ダメだぞ?」
父がそう言う。
言うな…。
父よ言うでなーい!!!
「蜂蜜は800ガルで売っているが、瓶の仕入れ値が300ガルするからな。1つ売れると利益は500ガルだ。甘味は人気があるからすぐに売り切れになるがな!」
父は笑いながらコルトにそう説明した。
俺の願いもむなしく、父は正直にコルトに伝えてしまった。
……。
「…ほう。ありがとう主人。よくわかりました。」
コルトはにやりと笑いそう言った。
「そうか。まぁ、せっかく来たならいろいろ見て行ってくれ!」
父はコルトにそう言い、店の奥に帰って行った。
…
…やばい…
…やばいやばい…
少しの沈黙の後、
悪寒共に、コルトは俺に近づいてきた。
そして、
「なぁ、クルスよ。少し聞きたいことがある。」
…コルトは顔を近づけ、そう問いかけた。
「…はい…なんでしょうか…」
緊張した空気感が漂う中、俺は目線を合わせることができず、まっすぐ前を見たまま口を開く。
「あそこに並んでいる瓶が蜂蜜か?」
「…はい。そうです…。」
「4つ並んでいるな…。」
「…そう…みたいですね…」
…俺の額を汗が流れ落ちる。
「1つ売れると500ガル儲かるそうだな。」
「…そう…ですね…」
「4つ売れたら、500ガルが4つだな…」
「…はい。」
「1つ500ガルのシュクルムが4つ買えるのではないか…?」
「…そういう…ことに、なりますかね…。」
やっぱり気づいてしまった。
わかってたけど!
この尋問始まるときにわかってたけど!
「…ほぅ?おまえがいつもわたしに持ってくるシュクルムは2つだな。」
「はい…。」
「シュクルム残り2つ分はどうしたのだ…?」
…どうしよう…
…どうしようどうしようどうしよう!
なんだ。なんか…なんか…っ!
「のぅ、クルスよ…。別に怒ってはおらん。正直に言えばよい…。」
それは絶対怒ってるときに言うセリフー!
と思いつつ、異常な殺気の中、なにかないかと考えを巡らせる。
「…あ、あのですね…、何か有事の際などあるかと思いましてですね…。取って置いたのですよ。…あ、あははは…」
…く、苦しい。
しかし、売上の余剰分はとりあえずまだ使ってはいないのだ。
うむ。取っておいたということにして、なんとか納めてもらいたい…。
「ほう?有事の際のために取って置いた…とな。
…ん?これは…。」
お?もしかしておさまった?
なにか少しだけ殺気が和らぐとともに、コルトはハッとなにかを見つけたような表情をしている。
「クルス。そこに置いてあるのは回復薬というものであろう?」
コルトがポーションを指さし、そう言う。
「あ、うん。そうだけど…」
…なんだ急に?回復薬がほしいのかな。
…
「クルス。明日、この回復薬を買えるだけ買って、あの場所に来い。」
「へ?なんで?」
急になんに使うんだ?と不思議になり、聞いた。
するとコルトは俺の頭をグッと掴み耳元で言った。
「くっくっく!…明日がその有事の際、というやつだ…。」
なにか背筋がぞっとした。
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