水族館の楽しみ方

関塚衣旅葉

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 私と柚は小学校の頃から仲良くて、高校生になってからは月一で一緒に水族館に行くようになった。
今日も可愛い服を着て、バッグの中にはボールペンと無地のノート。
「行ってきます! 」
玄関のドアを開けると、そこには水色のチェック柄のワンピースを可愛く着こなした、柚が立っていた。
「遅いぞー。着いたって連絡してから二十分は待ったんだけど」
「ごめんね? でも、ゆっちゃんに会う前はちゃんと可愛いか確認したくて…」
照れながら、じゃあ仕方ないねって言ってくれたので、彼女の左手を握り水族館へと向かった。

 水族館に着いたら、まずは1周ぐるっとあれこれ見て、あのお魚可愛いね!とか、ペンギンさんみたいに泳げるようになりたいとか。
そんな会話をする。
そして2周目はお互い好きな場所で写真撮ったり絵を描いたりする。
ここの水族館は水槽の前にベンチが置いてあるからそこでゆっくり座ってお魚を眺めることが出来る。
それにここ、あんまり人が来ないのよね…。

 「じゃあ一周したし、一旦自由に行動して、気が済んだら連絡する感じで。前回さくが時間守れなかったから時間で縛るのは辞めます」
「さすがゆっちゃん! 咲来さくら の事よく分かってるね~! んじゃまた後でね!」
そんな感じで私たちは別々の場所に移動した。


 柚side。


 さくはいつもかわいい。
洋服にお金をかけるより、今は絵を描くためにお金を使いたいからって最近服を買ってないから毎回似たような服でごめんねって言ってたけど今日も可愛い。
本当は今すぐ彼女が絵を描いてる姿を撮りたいけど、邪魔したくない。
それに私は私で今日は撮りたい魚がいたんだけど…、どこのコーナーだっけ…。
分からなくなってしまったのでウロウロしながら写真を撮るかなぁ。
いつか、私以外の人とさくが水族館とか、いろんな場所に行く日が来てしまうのかな。
それがとても心配。
でも私のこの気持ちはしまっておくべきだから、今日も気持ちを写真にして残すんだ。


 ある程度撮って満足したし、さくのこと探しに来たんだけど、今日はペンギンを描いてるのか。
ここのペンギンの水槽は結構大きいからゆっくり描けるもんな。
可愛いなって思ってたら、自然と写真にその姿を納めていた。
大丈夫、シャッター音鳴ってないし、多分バレてないはず…。
そっと、彼女の隣に座るが、気が付かれない。
集中してる時のさくは、めちゃくちゃ周り見えないんだよな。
「さく~、進捗どうすか?」
「ん~、あと5分!」

まあ、私たちにはまだ時間があるから、何事も焦らなくていいな。
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