心の休憩所

関塚衣旅葉

文字の大きさ
28 / 28
イベント事

シスターの恋模様

しおりを挟む
  普段はただの会社員。
デスクワークで腰や肩が痛くて仕方ない。
家に帰ると、ただの人。
ご飯を適当に作り、スマホで大食い動画を再生しながらダラダラ食べる夕飯。
洗濯物を畳んで、明日の服を用意して、お風呂を済ませ。
ただそれだけで終わっていく一日。

 もう25歳になるというのに、恋人は出来ない。
それでもずっと好きな人はいる。
高校生の頃、バイト終わりに声をかけてきたあのヴァンパイアの事がずっと好き。
年1でしか会えないけれど、会う度に隙が更新されるの。
鋭い歯、獲物を狩るような目。
美意識の高い私よりも白い肌。

 そして、落ち着くけど少し高めに感じる声。
沢山好きな部分があるのに、会えるのはたった1日だけ。
向こうはどう思ってるのか未だに分からない。
今度こそ、彼の気持ちを聞くんだ。

 いよいよ今日は会える日、ハロウィン当日。
毎年私の家に来てくれる優しい人。
彼のために、今年はシスターのコスプレをしてみた。
ムチムチの体が逆にいい味出してると思うんだよね~。

 なんて、自撮りをして待っていると、玄関の方から音がした。
予定の時間より早いけど、彼がもう来たのかしら?
なんて思いながら覗き穴から外を見てみると、彼に似た何かがいた。
そこにいるのは人間でも、ヴァンパイアでもなく。
何かがいた。
こちらをジーッと見ている何か。
彼よりも牙が鋭く、人の言葉が通じなさそうなオーラ。
怖くてその場で腰を抜かしてしまう。

 もしもこれで、扉を開けてしまったら、彼とは二度と会えないんだろうな。
なんて考えていると、鍵を閉めているはずの扉が勝手にあけられてしまった。
ぎぃぃぃと音を立てながら扉は開けられてしまう。
玄関に座り込んでいる私をガン見しているそれは、喋り始めた。
「オマエガ、悪ダ。兄ガ人間カラ血ヲ吸ワナイノハ、オマエノセイ」
「知らない、私年に一度しか会えない。彼のことは好きだけど、彼は私を好きかどうか知らないわ」
事実を応えてみるものの、彼のことを兄と呼ぶそれは血走った目でさらに話し続けてきた。
「シラナイ、ダト。兄ガ一度モ血ヲ飲マズニ会イニ来ルトイウノガ、愛以外ノナンダト思ッテイルノダ」

そう言って、それは私の体に傷をつけた。
痛い、こわい苦しい。
せっかく今日可愛くメイクできたのに。
可愛い顔が、ぐちゃぐちゃになっちゃう。
衣装も、ぐちゃぐちゃになってしまうじゃない...…。

「ジョン、ねぇ、ジョン、私あなたの眷属になりたかったわ......」
太ももの引っかかれたところが痛い。
胸のところ、傷口を無理やり広げようとされて痛い。
顔も引っかかれて、口、噛まれちゃった。
ジョンにも噛まれたことないのに。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

処理中です...