闇の深そうな話

関塚衣旅葉

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酒と過去の話。

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 そりゃ、幻想くらい抱きますよね、って話。

 唐揚げができるまでの間しか書けないから雑になってしまうことを許してくれ。
呑んだ勢いで、彼氏くんの過去の話を聞いてみようと思って。
ほんの出来心だったんだ。
好きな人の今も、過去も知りたいと思ってしまったんだ。
別にね、男の子ですからね。
過去に何かしらあったとは思いますわよ。
でも、思ったよりも知らないことが多くて。
見えなかったわけじゃないのに、知らなかった時みたいな反応してしまって。
何となく見えてたんですよ。
こう、女の影では無いですが、この行為をするに至った原因というか、女がいるんだろうなとか。
無駄に僕の対応になれてる事とか。
不審に思うことは、不審というか、不思議だなと。
別に、その、過去とやらに囚われてるわけじゃないんだ。
彼も私も。
ただ、私は彼を通して、彼の過去が見えてしまった気がして。
なんだか、悲しさとか、寂しさとか。
私は経験したことないのに、彼は他の誰かと既に見た景色だったりするのがとても、悔しくて。
嬉しかったんですよ。
単純に、初めて経験することを彼氏くんと体験出来ることが。
それなのに、彼氏くんは初めてじゃなかったり。
彼氏くんの頭の中には僕以外もいたら、なんて思ってしまったり。
あくまでも、今の彼女は私なのに。
彼女たちになりたいとか思ってしまうのだ。
今隣で幸せになったのは私だけなのに。
ないものねだり。
昔の彼氏くんを知ることは出来ても、出会うことは出来ない。
だから、その頃に出逢えた彼女たちとやらが羨ましいのだ。
その彼女たちよりも幸せなのに。
まあ、幸せかどうかなんて、他人が決めることではないけどね。
唐揚げ作りながら歌ってるし、私は洗濯でも干そうかな。
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