世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴

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王都編

7.メリー・クリスマスは事件の後で 後編①

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 数日前にちらついた雪を残さず、降神日こうしんびは快晴となった。寒いのは嫌だけれど、雪遊びはしたかったので残念だと思う。
 ふかふかの防寒具の隙間から、冷たい空気は温もりのある日差しを押しのけてリリアンの肌に刺さった。急いで馬車に乗り込むと、シルヴィアが膝掛けを掛けてくれる。

「今日は冷えるのね」
「昨日の影響だそうですよ。お風邪を召しませんよう」

 だからしっかり防寒具を着るようにと、シルヴィアは続けた。それに頷いて、リリアンは着込んだコートを見る。正確にはコートのその下を、だ。
 孤児院の訪問にあたり特別に作られたのは、リリアンの為の「聖人せいじんの装い」だった。
 聖人は男性なので、通年その仮装をするのは男性しかいなかった。ただ近年では、女性も聖人の装いをアレンジした衣装を着て店先に立つことが増えてきた。年末ということもあって人手がなく、女性が店番をすることが多いから、ということの他に、アレンジされた衣装が国の女性の好みであったというのも大いにあるだろう。赤いローブを纏うだけだったのを、どこかの誰かがドレスのように仕立てたのだ。
 庶民は、ドレスというものに縁がない。ドレスは貴族階級の女性が着るもの、高価で手が出せないと、そういう認識がある。だが、この女性用の聖人の装いは、生地こそコートのように厚手だが、シルエットがまるでドレスのようになっていて、それで若い女性の間で人気になった。今では本当のドレスのようにパニエでスカートにボリュームを出したり、贅沢な装飾を施したものなんかもある。値段はそれなりなので何軒かの店で費用を出し合って共同で使ったり、貸衣装もあるのだそうだ。
 リリアンの為に誂えたものも、近年の流行に従ったものだった。ただ、素材はと言えば、それはまったくの別物だ。街中の店のおかみさんが聞けばひっくり返るような値段のものとなっている。光沢のあるベルベットは滑らかな手触りで、いかにも高級だ。手首と、それからスカートの裾部分、揃いの生地で作られた肩掛けの裾にも付けた白いファーでメリハリのある可愛さを演出してある。そのファーのおかげで人気に火が付いたから、これは外せないマストだ。品よく仕上げたそれは、リリアンも笑顔となった一品である。
 そのドレスの上にコートを羽織ったのは、仮装のままだとさすがにちょっと恥ずかしかったからだった。だがそんなリリアンの正面、同行するアルベルトは堂々と聖人のローブを羽織って座っていた。

「お父様、そうしていると本当に聖人様のようだわ」
「そうかい?」

 褒められてふふん、と胸を張る仕草は子供じみていたが、実際その見た目は実に凛々しいものだった。真紅のローブはやはりベルベットで、伝統的な聖人の衣装の形状をしている。ただ、長い手足と厚い胸板、そして整いに整った顔。自信のある態度で脚を組んだ姿は、伝説に言われている聖人も驚いてしまうだろう。きっと「君のほうが本物っぽいね」なんて言うんじゃなかろうか。それくらい堂に入っている。
 このローブも大急ぎで準備したものだ。間に合って良かった。意外と着心地が良くて少し気に入っているアルベルトであった。

「みんな喜んでくれるかしら」

 その呟きはリリアンのものだ。視線は窓の外にある。準備も出来る限り自分でやりたいと、馬車への積み込みも自らの手で行ったリリアンは、同年代では珍しく自立した令嬢だった。ルルやシルヴィア、他の使用人に混じって贈り物を積み込む姿はとても公爵令嬢とは思えないものだったが、楽しげに作業するリリアンの姿というのは、ヴァーミリオン家の人々にとって何よりも喜ばしいものなのだ。
 贈り物を積んだ馬車にはルルとベンジャミンが乗り込んでいる。後ろに続いているであろうその馬車を気にするリリアンの様子に頬を綻ばせ、アルベルトは「大丈夫さ」と答える。

「きっと喜んでくれる。リリアンが選んだものだからね、心配しなくていい」
「まあ」

 そうね、と呟いて、リリアンは微笑む。

「お父様がそう仰るんだもの。きっとそうよね」

 アルベルトは、なんてことないような顔をして、「そうだとも」と返したが、きらきらしたリリアンの微笑みを正面から浴びて正気が保てなくなっていた。

(ぐっ……だめだ、リリアンのこの顔には弱いんだ。自然体でいるからこそ、ふとした瞬間に溢れる笑み。それも、緊張していないから余計な力が入っていない、完璧な〝自然な微笑み〟! これを見ることができるのは気心の知れた相手だけだ。つまりリリアンにとって安心できる相手だけ!)

 興奮は治らない。緩む頬を思いのままにして、アルベルトはそっとリリアンの様子を伺う。今はもう、これから行く孤児院のことにしか気がいかないのか、シルヴィアを相手にどう挨拶をしようかとそれを悩んでいるようだった。
 朝早い時間から準備をしていて、今もこの様子だと、孤児院全てを回る前に疲れてしまうだろう。はしゃぐ様子は非常に可愛らしかったが、最後まで楽しめないのではリリアンのためにならない。

「リリアン、少し落ち着くといい。今からそれだと、疲れてしまう」

 その言葉にリリアンははたとアルベルトを見た。そして一度シルヴィアに向く。シルヴィアも眉を下げて小さく頷いた。それでリリアンは、自分がはしゃぎ過ぎていたとようやくわかったらしい。

「は、はい。あの……ごめんなさい。はしたなかったわ……」

 両手を組んで口元にやり、頬を赤くし俯くリリアンは、年相応の少女そのものだ。普段の聡明で大人びた姿も可憐で美しいが、だからこそこの姿は一層可愛らしい。ギャップがあって非常に愛らしく映る。アルベルトもシルヴィアも、唇を噛み締めて奇声を上げそうになるのを堪えていた。

(リリアンそれは反則だぁ! か、かわ、可愛っ……!)
(おぉおお嬢様ぁ……!)

 そんなこんなで、静かなのに絵面は煩く、馬車は進む。二台連なり、更に護衛の騎士までもを連れているヴァーミリオン家の一行はそれなりに大所帯である。けれどもそれ以上に、街には人々が溢れていた。最後のチャンスとばかりに、あちこちで赤い衣装の者達が呼び込みをしている。
 賑やかな祭りが始まる。この日ばかりはきっと喜びに満ちたものであると、誰もがそう思っていた。


 三箇所目の訪問は、ルルがいたあの孤児院だ。昼前からの出発となったため、到着したのは夕刻になってからだった。先の二件で子供達が大いに喜び、なかなか帰して貰えなかったからだ。特にリリアンは大人気だった。聖人の衣装を落とし込んだデザインの赤いドレス、美しい髪と美貌、そして完璧な所作。幼い子には現実的に見えなかったようだ。「天使さまだ!」と呼ばれて、リリアンはその子の夢を壊すまいとしたのか、困り顔だったが否定しなかった。それで余計に天使だなんだと言われ取り囲まれてしまったのだ。アルベルトもリリアンのことは天使だと思っているので否定することはなかった。むしろ「ほう、見る目があるじゃないか」なんて、ふふんと鼻を鳴らしていたくらいだ。けれど年長の男子が、赤い顔でリリアンに近付いた時には分かりやすく牽制し、リリアンの側に近寄れないよう邪魔をしてベンジャミンに呆れられたが。
 もっとも、それはこの三箇所目の孤児院でも同様だった。まず初めに新しく配属されたというシスターから挨拶を受け、それから子供達に紹介されたのだが、皆が皆ぽかん、と口を開けてリリアンを見るのだ。
 先の二件でも同じ光景を見たリリアンは慣れたもので、「こんにちは。わたくしはリリアンというの。宜しくね」と挨拶をした。面識が全くないわけではないが、きちんと訪れて挨拶ができたのは今日が初めてだったのだ。
 でも、それでも子供達は呆けるばかり。シスターが咳払いをして、ルルが「あんた達、挨拶は!?」と言うまでそのままだった。

「リリアン様、申し訳ありません」

 ルルは気まずく、そうリリアンに謝った。ここに残る子供はルルより年下の子ばかりで、おまけに教育らしい教育を受けていない。粗相をしてしまうことは予測していたが、まさか初っ端からやらかすとはルルも思っていなかった。
 けれどリリアンは、そんなこと、と口元に指先を当て笑ってみせる。

「いいのよ。悪いことをしたわけでもないのだもの」

 ふふ、と声を上げて、リリアンは部屋を見回した。さっきまで少し遠慮がちにリリアンと接していた子供達だが、プレゼントを差し出した途端、目を輝かせて駆け寄ってきたのだ。きゃあきゃあとはしゃいでそれを取り合うから落ち着かせるのが大変だった。一人につきひとつ、プレゼントが行き渡ると、今度はそれから目を離さない。プレゼントに夢中になるその姿に、リリアンも笑顔になった。

「それよりもルル、お姉さんとして、どうかしら。みんなが無理をしていないかわかる?」

 それは、リリアンがこっそり心配していたことだ。いきなり司祭とシスターが捕まって、騎士に保護されて。何も分からないまま戻されて、そしてまた新しいシスターと引き会わされる。ルルも引き取られて居なくなり、新しい生活には馴染めているだろうか。
 アルベルトやレイナードから報告は受けているし、たまの休みに孤児院に出入りしているルルからも様子を聞いてはいるが、それでも気に掛かっていたのだ。今日直接やって来られたのだからそれを確認したいと思っていた。が、リリアンには普段の彼らの様子はわからない。今は本当に嬉しそうにしているが、そう見えるように振る舞っているだけなのかどうか、そこまでは判断がつかなかった。
 ルルは目を見開いてリリアンを見た。驚いているような様子に、リリアンはそれを、「ルルの報告を疑っている」と言ったように聞こえたのだ、と思った。慌てて言い添える。

「ごめんなさい、ルルを疑っているわけではないの。わたくしは、この子達がなにか不便をしていたりしないか、それを聞きたかっただけなのよ」

 ルルは、更に大きく目を開けた。

(ど、どうしよう……リリアン様しか見ていなくて、他はなんにも見てなかった!)

 はしゃぐ子供達は視界の端に映り込んでいたが、そちらに意識は持っていっていなかった。子供達が喜ぶ様子を見るリリアンのほうが、ルルにとって大事だったからだ。
 まさかそれを言うわけにもいかず、ルルはそうですね、と考えるフリをして子供達を見回した。
 とは言え、問題はないはずだ。時々話す限りでは待遇は改善されて寒い思いもしていないそうだし、シスターは穏やかな人物で、不正なんてしそうにない。躾には厳しい人らしく、悪ガキ達はよくげんこつを貰っているそうだが、それは子供達を思ってのことだとルルは知っていた。人見知りをする子もいたので多少は慣れない環境に困ったこともあったろうが、それ以上に良くなったことの方が圧倒的に多い。不便を感じていることは無さそうだし、ストレスを感じて精神的に危うい子もいない。あえて言うなら、食事内容が改善されて栄養を摂ることができるようになって、体力がついて有り余っているくらいか。シスターがついていけないくらい腕白になってしまった。

「ええと……いえ、特にそういうのは無いと思います」
「そう?」

 リリアンはルルの目をじっと見て続けた。

「気持ちのほうは、どうかしら。不安な子がいないわけではないと思うの」
「それは」

 それでルルは、ようやくリリアンの真意を理解したのだ。

(物品はすぐにでも揃えられるわ。国と、ヴァーミリオンのお屋敷で用意できるもの。でもそうじゃない。リリアン様は、あの子達が精神的にやっていけてるかどうか、それを気になさってるのだわ!)

 ルルは感激した。全てがそうではないことはもう知っているが、大半の貴族は「貧しい者には物さえ与えていれば満足するだろう」という、おざなりな考えでいるからだ。前のシスター、司祭と繋がりのあった貴族がそういう連中だった。
 だけど、物があればそれだけでいいのだろうか。人が生きていくのに食べ物やお金は必要だけれど、傷付いたままの心で居続けると、それに合わせて精神が歪んでしまう。前のシスターも司祭も、きっとそうだったのだろうと、ルルは今では思っている。どこか心が傷付いていて、そのせいで不正をしてしまうくらい気持ちが歪んでしまった。お金でそれを埋めたけれど、結局それは崩壊した。
 それを見ていたルルは、だからリリアンの言ったことがわかった。あの事件のことで傷付いた子がいないか。リリアンはそれを気にしているのだ。
 思い付くことはできるだろうけども、思い付いたことを行動に移せる人間は少ないものである。

(やっぱり、リリアン様はすごい)

 ヴァーミリオン家の人々は、ルルの考えなんか及ばないくらい高次元でものを考えているらしい。それは知っていたけれど、こうして目の当たりにすると実感するのだ。住む世界が違うとはこういうことなのだ、と。
 それが顕著なのは当主のアルベルトだろうが、レイナードもリリアンも、ルルには到底思い付かないことに気付き実行することのできる人達だ。そんな人に仕えることができる。それはいつしか、ルルの誇りになっていた。

「私が見た範囲では、そういう子はいませんでした」

 ルルはまっすぐリリアンを見る。これまで何度か見た子供達の様子を思い返し、異常がなかったかどうか記憶を漁る。

「人見知りする子もいるので、新しいシスターに慣れるまでは大変だった子もいました。でも今はすっかり懐いてます。ほら」

 指差す先を見れば、五歳くらいの女の子がシスターにぬいぐるみを見せはしゃいでいた。その表情にも動作にも遠慮は見られない。
 そこに駆け寄る男の子も、ちょっと年上の女の子も、皆嬉しそうにプレゼントを見せ合っている。やんちゃな男の子同士の、強めの小競り合いはあるものの、険悪な様子は見受けられなかった。
 彼らの、楽しげな表情を見ればリリアンにも分かった。新しくなった彼らの孤児院では、きっと皆が伸び伸びと生活できる環境になっているのだろう。それは新しく配属されたシスターはもとより、子供達の馴染もうとする努力あってのことだ。今現在生活に困っていないことも大いに役立っているはずだ。安定した生活という基盤がなければ、そういった努力をすることもできない。
 色々大変なことはあっただろう。その苦労はリリアンには想像することもできないけど、この笑顔は本物だと、そう思う。
 リリアンは頷いて、ルルに向き直す。

「そうね。じゃあ、大丈夫ね」
「はい。大丈夫だと思います」

 そうして二人は笑い合って、再び子供達の様子を眺めた。すっかり天使として認識されてしまったリリアンは、窓際で遠巻きにされてしまっている。が、夕日が窓から差し込んでいて、それがリリアンを照らしていたから、神々し過ぎて近寄れないくらいになっていたのだ。ぽうっとしてリリアンを見る少女もいた。見惚れているようだ。
 ルルは、そんな風に子供達に見られているリリアンが誇らしかった。そんなリリアンの側に侍ることができる自分にも。だから孤児院の子供達には、年長ということもあり先輩風を吹かせていたけれど、皆がリリアンを慕っていることがわかると目を輝かせてリリアンの素晴らしさを説いていた。

 それを離れて見ていたアルベルトは目を細めた。思いもよらないことだったが、ルルという少女はなかなか賢い子だったらしい。孤児とは言え捻くれたところが無く自分でよく考え学び、新しい気付きでそれを更新することができる。それは高尚なことだ。
 更にリリアンに傾倒しており、よくその意を汲む姿勢も素晴らしい。ふうん、と漏らして、アルベルトは呼び付けたシルヴィアに耳打ちする。

「なかなかいいじゃないか。君の仕込みか?」

 シルヴィアはきっちりと腰を四十五度に折り答えた。

「基礎は少々。ですがどちらかというと、天然でございます」
「ということは……」
「はい。リリアン様の素晴らしさに自ら気付き、目覚めました」
「素晴らしい!」

 面白い、とアルベルトは笑みを深める。

「いい逸材じゃないか。あれならリリアンの側付きでも良い」
「実際、よく働く子です。生まれのせいで苦労はすると思いますが、素質は問題ないと思います」

 そうか、とだけ返し、アルベルトは考えた。生まれを変えてやることはできないが、身分ならなんとかできる。どこかの爵位持ちに話をすれば、養女にするくらいわけはない。本人の意にそぐわないだろうが、そこはリリアンに仕える為に必要だと言えば否やはないだろう。よし、と頷き、ベンジャミンを呼ぶ。

「彼女を養女に迎えてくれる家を探してくれ。そこから候補を絞る」
「畏まりました」

 頷いて満足げにするアルベルトは椅子に座って足を組んでいるわけだが、やはり夕日が差して後光となっていた。そこに、ぴしりと背筋を伸ばしたベンジャミンとシルヴィアが両脇に控えている。それは従者を携える聖人の姿そのものだった。孤児院、という場所も相乗効果を生み出す要因となっているだろう。恵まれない子供達の元に、天使と聖人がやってきた、そのようにしか見えない。シスターは涙目で「神よ……」と祈っているし、少年はぼーっとリリアンを見ているし、おませな少女はアルベルトをぽうっと眺めている。
 シルヴィアとベンジャミンは密かに視線を交わした。そうして唇だけで会話をする。

『信奉者が増えました』
『そうだな。罪深い方々だ』

 それは、アルベルトですら知り得ない会話であった。
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