【完結】別れの形

残酷なひと

あなたは私の涙を見て、ごめんねって言ったけど…
それってどういう意味…？


抱けなくてごめんって…そういう意味…？

会う前日に、あなたは私に、

「明日は好きにさせてね」とか、
「一緒にお風呂に入ろうね」とか、メールしてきたけど、それってどういう意味…？


手を出すつもりがないなら…

最初から、抱く気もないなら…

そんなこと…わざわざメールしてこないでよ…

それとも私、あなたにからかわれたの…？

私の恥ずかしがる反応を見て、面白がられただけ…？


そんなこと、会う前に何度も言われたら…
もしかしてそうなるのかな…って、期待した、私が悪いの…？

でも、現実はなんにもない…


抱き締められてキスをして…お風呂に入って…
それから…ベッドに入って、
裸当然で…くっついて…それから…それから…？？

やっぱりそのまま、くっついているだけ…

布団に入ったまま、あなたはテレビの街角インタビューみたいなものを見て、くすくすと笑ってる…

私に形だけの腕枕をしながら…画面を見て笑ってる…。


ねえ…本当に、私のことが好き…？

好きって言葉は、あなたに何度も何度も…言われているけど、その気持ち＝イコール相手が欲しい…って、わけじゃないんだね…


私は…　私は、あなたが欲しい…　あなたの全てが…



ううん、もういい、過去形でいい…


私は、あなたが…欲しかった…



あなたは、想像以上に残酷で…


こんなことなら、こんな所に…こんな、恋人たちが愛し合う場所に…こなきゃ良かったよ…。


普通に、

外でご飯…外でお茶…

それで我慢するから…もう、私はそれでいい。


もう、これ以上女として、あなたの前で、みじめな気持ちになりたくない。


あなたは私の涙を見て、焦ってたね…


ごめんって、言いながら、私を背中から抱き締めてた…　ただ、それだけ…

それでわかった。
やっぱりもう、私を抱けないんだ…もういい…

好きなんだ…大好きなんだ…　愛してる…　　
その言葉は、本当に嬉しい…嬉しいけど、何か　…足りない…
心にぽっかりと…穴が…あいていて、

絶対にこの先…　もう多分…　絶対に埋まらない…


　　　
私はその日の帰り道、意を決して、彼にメールを送った。