【BL・R18】俺とシテみたいって・・・何をですか?

もえこ

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年上の威厳

あれから、何事もなく数日が過ぎた。
変化といえば、俺がちょっと気まずくて、圭一とシフトが同じ日のバイトをしれっと1日、休んだくらい。

衝撃的なスタートできちんとした説明が遅れたが、俺は四年制大学に通っている佐々木僚介りょうすけ 20歳。

今、二年在学中で、法律学を専攻している。
法律に興味があるとかじゃなく、たまたま運良く、唯一そこに受かっただけ。
実家からは通えない県外の大学だから、一年の頃から自由な一人暮らしを満喫している。
 
親から学費と生活費の最低限の仕送りはあるが、やっぱりサークルやら飲み会やら、出て行くお金も多くて、俺は自由に遊べるお金欲しさに、一年の頃からバイトをいくつか掛け持ちしていた。

その一つが、某チキン系のファーストフード店。
そこで昨年俺は初めて、奥村圭一に出会った。出会った当時は圭一は高2で、学校後の夕方からと、たまに土日の日中、バイトのシフトに入っていた。

いわゆる、モテ系男子というんだろう。
長身で見た目は細身だが、ちゃんとつくところに筋肉がついている感じだ。
浅黒い肌に切れ長の目、精悍な顔立ちで、間違いなく世間では、イケメンと言われる部類だろう。
圭一がシフトに入ると、レジやらで接客後に女性客が席に着くなり、キャーキャーと、圭一をチラ見しながら騒いでいることが、たまにある…羨ましい限りだ。

対して俺は、身長もそこそこで細身。筋肉なんてもんは、ほぼ…なし。顔については…あまり言いたくないが、たまに…可愛い小動物系とか、中性的とか人に言われる。

色白、目がでかい、睫毛長いが、一番よく言われる身体的な特徴だが、俺は全然嬉しいとは思わない。
だって、それって一般的には褒め言葉かもしれないけど、まるで女向けみたいな形容詞だし、俺はれっきとした男だ。どうせなら、男らしい形容詞で褒められてみたい。逞ましい、とか、男らしい、とか。

でも悲しいかな、今までの人生で、ただの一度も、言われたことがない…。

そんな俺と圭一は、すぐに仲良くなった。圭一が俺より数ヶ月先にバイトを始めていたため、奴に全体的な流れや手順を習う形で、俺は業務を少しずつ覚えていった。
最初、圭一の図体がでかいせいか、態度もかなり大きく見えて、わからないことを聞くのに、いちいちビクビクしていた。しかも、やっと勇気を出して聞いても、ボソボソこちらをあまり見ずに答えるから、なんか怒ってんのかな、とか変に気を遣ったりしてた。

でも、バイトの歓迎会でたまたま席が横になり、初めてゆっくり話せる機会があって、俺の方が歳上だしなと頑張って俺の方から色々話を振ってみたら、普通に気さくな、普通にいい奴、だった。
態度がぶっきらぼうで、かなり照れ屋なだけで、見た目はいいのに、こいつはかなり損してるなと、最初は思ったくらいだ。

2歳しか年齢が離れていないこともあって、話もまあまあ合うし、漫画やら映画やら、やたらと好みが被っていて話すのも楽しいし、一緒にいて結構楽だった。ただ、仲良くなり過ぎて、段々と年齢的な垣根がなくなっていったことは、ちょっと今思えば、俺的には失敗だった。

だから、俺が年上なのに威厳もなくなり、年下高校生にちょっとなめられ過ぎて?きっと、あんなこと…をされる羽目に…

俺はふと、思い出して赤面する。

油断していたとはいえ、まんまと男に押し倒されたのは、本当に不覚だった。しかも、俺の全力を出しても、圭一の腕の力からは逃げ出せず、抵抗虚しく、唇を奪われた…。

これって、男として、どうなんだ…。
完璧に、いま世にいう、黒歴史…ってやつじゃないだろうか…。俺はうなだれる。

今日の夕方は久々のバイトだった。

圭一と顔を合わすのは気まずかったが、いつまでも逃げているわけにはいかない…ってか、なんで俺が逃げなきゃいかんのだ、と俺は思い直す。

堂々とバイトに顔を出してやる。
あんな出来事、俺にとっては、なんでもないぜって顔で、圭一といつも通り話そう。
 
うん、そうしよう、とりあえず今日は全て気にしていないフリをして、普通に奴と接するぞ。

    俺は、大学の講義に意識を戻しながら、そう意気込んだ…。

                     
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