【BL・R18】俺とシテみたいって・・・何をですか?

もえこ

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平和主義の崩壊

「…もう…無理っ…圭一、俺はギブ…」 

頑張ってはみたが、ただでさえボリュームたっぷりのランチ。
俺の空っぽだった胃の中にいきなりおさまる量ではなく、俺はスペシャル何とかランチを結局半分近くも残してしまった。

「先輩、もういいんですか?じゃ、俺、食べちゃいますよ」
圭一は言いながら皿ごと交換し、残りをすべて綺麗に平らげる。
あまり、交換の意味、なかったな…

珈琲とデザートが食後に出てくるらしく、待っていると、圭一が口を開く。

俺の心臓が、ドキリと鳴った…気がした。

「先輩…金曜の飲み会って、ゼミの?でしたっけ。じゃあ…寺崎さんも来てたんですか?」

俺はドクドクとなりはじめる鼓動を抑え、冷静に答える。

「あ、ああ…きてたよ、寺崎も。なんか、彼女とのなれそめや経緯とか、めちゃくちゃ突っ込まれてたな、女子たちに。そうそう、ゼミ飲み、かなり久々だったからさ、かなり盛り上がったな…」

冷えた店内にも関わらず、俺の背中を汗が伝う。

それ以上、話題にして欲しくない…
でも、何も知らない圭一はやっぱり、続ける。

「へえ…付き合いは、順調…なんですかね?」

順調…では、ない気がする…
あの日確か寺崎は、田口とはダメだった…みたいなことを口走っていた…ような気がする。
田口の何がダメなのかとか、詳細はよくわからないが少なくとも、俺にあんな…

あんな、行為をするということは… うまくは、いってないのかも、しれない。


…不意に、寺崎にされた行為が意図せず脳内に浮かびあがり、俺は軽いめまいを覚える…

座っていて良かった…

ヤバイ…
気分が悪い… 頭、クラクラする…

圭一に変に思われないように、トイレに一旦避難しようかとも考えたが、そこまで普通に歩けるかすら、自信がない…

それでも俺はなんとか平静を装い、圭一に続きを話そうとすると、ちょうど珈琲が運ばれてきたので、ホッとする。

カチャカチャと珈琲とアイスみたいなのが2人分置かれ、「ごゆっくりどうぞ」と会釈し、店員が去る。

とりあえずあまり動揺をみせられないと脳が判断したのか、俺の口が、俺の意志に反するように、勝手に話しだす。
ああ…おかしなことを口走るなよ、俺…

「今なに、話してたっけ?あ、寺崎と田口… か。詳しくはよくわかんない、でもまあ、女子たちには普通に話してたよ。でもま、俺たちには関係ないし、イチイチ、もう気にすんなよ」

「でも…」と、さらに圭一が話題にしようとするから、つい俺としたことが、投げ槍に、話を中断させてしまった。

「あー、もう!…奴の話はいいじゃん。せっかくお前とご飯来てるのに…つまんなく…なるじゃん」

無言になる圭一…
なんか、余計に俺の態度、おかしく見えたかもしれない…でも本当に気分が…悪くなるんだ。

ごめん…今日はアイツの話題…これで勘弁してくれ…俺は心の中で、圭一に謝罪する。

「すみません、しつこく聞いてしまって…。
ただ、森林が結構、気にしてたんで…つい…今、寺崎さんと彼女さんがどうなってんのか知りたかっただけです、ごめんなさい…」… しょげる圭一。

…そう、だった… それで…聞いてきたのか…

俺は呆然とする。

俺は…自分のことばっかり、考えていた…
周りが、見えていなかった

なにが、平和主義だ…まだまだ、だな、俺。

森林とか、田口とか…他にも寺崎を好きなやつが、いたんだった…完全に忘れていた。

でももはや、俺にとっては危険人物としか思えない寺崎を、誰かとくっつけようなんて発想は、俺からは消え去っていた。ただ、今は…まだ何も話せない…

色々、これから、考えなきゃいけない…
でも、今日だけ、いや、数日だけ…全て忘れて、圭一と一緒にゆっくり別の話をしたい。一緒にいるだけでもいい。

俺はそう思いながら、圭一に告げる。

「そうだな!森林が気にしてる…よな。ごめん、俺、冷たい言い方しちゃって…まだ、体調イマイチで、許してくれ…よし、また2人のことわかったら情報、流すよ。ただまあ、なかなか戦況は厳しそうだけど…」

その話はそこで終え、気を取り直して、別の話題をふって、ゆっくり珈琲を飲む。



ああ… 心から…

あの日の前に…戻りたい…


圭一、おまえのことが… 好きだ。

そう思いながら、俺は圭一に笑いかける。



               
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