【BL・R18】俺とシテみたいって・・・何をですか?

もえこ

文字の大きさ
363 / 363

苦渋

かたかたかたかた…

タクシーの座席に座ってからも…俺は小刻みに震えていた。

最初に読んだ…その時…既に、違和感を覚えていたのだ…。

いきなり思い立って、旅に出ようとする人間が…果たして、こんな文章を作り出すだろうか…

前半はほぼ、独り言のようなつぶやき…
俺に対する謝罪と、後悔の念…

そして、中に巣食う男への…憎しみ…
いつもは静かで穏やかな寺崎に似合わない、爆発的な、憎しみともとれるマイナスな感情…

そんなものが、じわじわと俺に、訴えかけてくるような内容…

一番おかしいと感じたのは、最後だ…

最後に…と、記している通り…
まるで、これで最後なのかと思わせるほどの、書置ともとれる、しめくくり…。

だが、本当はおかしい…
寺崎がこんなものを俺によこしてくること自体、通常では考えられないような気がしてくる…。

あの…人一倍、人に気遣いができる寺崎が…
こんな…下手をしたら、人を心配させるかもしれないような内容のものを…いきなりよこす…
あまりに、寺崎らしくない…

そこのことが余計に、俺に、おかしな違和感を覚えさせていた…。
もはや、そんなことに気が回らないほどに…
そんなことに気を遣える余力もないほどに、寺崎は自身の行く末に、絶望していたのではないか…

「… … 先輩…  大丈夫ですか…? きっと、…大丈夫ですよ… 」

「… … …」

「多分…俺の… 俺らの、思い違い… なんか、感傷的な内容だったんで俺、思わずタクシー呼んじゃいましたけど、多分…なんてことないことだと、思いますよ…?」

「う… ん… 」

圭一が、俺を元気づけようとしているのがわかる…。

「きっと、到着してピンポン慣らしたら、ドア開けて、おっ!て、…驚いた顔するんじゃないですか?
日曜の朝から何しに来たんだって…二人でいちゃついてるとこ、見せつけに来たのかって怒るかもしんないですよ…」横に居る圭一が、静かに囁く…。

「う… ん… そう、かな… 」

そう…応じながらも… 俺は落ち着かなかった…。

違う…  
絶対に違うと、寺崎が早まったことをしていないと信じたい自分がいる一方で…  

そんな風に… 寺崎が部屋から呑気に顔を出す情景が全然…ただの、1%も、思い浮かばない…。

なにか、嫌な… 悪いことが起きるような気がしてならない…。

寺崎は…自身の中のアイツを、死ぬほど憎んでいるに違いない…。
自分自身では全くコントロールできずに、外で、信じられないような悪さをするアイツ… 

俺ですら、もし、寺崎の身になれば…
寺崎と同じようなことが自分自身に起きていれば…絶対に平静ではいられないだろう…。
これでもかというほどに、中の奴を憎むはずだ…

嫌な予感…

それは、寺崎が中の奴を…  シュウを、消そうとすること…
つまり、自分自身を… シュウとともに、この世から消去すると言うことだ…

自殺、だなんて… 寺崎に限ってあり得ない… あっちゃいけない…

そう思う反面、頭の隅で… 黒い感情が…俺の希望的な観測を…正常な思考を、からめとろうとする…。

寺崎だからこそ…
あんな、いい奴だからこそ… 十分にあり得る…
これ以上、俺に… 周りの人間に迷惑をかけないために… 
自らで、その命を断つ… シュウを、自身の身体から切り離せないがために選ぶ、苦渋の決断だ…

普通に、あり得ると想像できることが余計に、俺を不安にさせる…。

「… 寺崎… 頼むから、無事でいてくれ… 」

俺が小さく呟くと… 
「きっと、寺崎さんは…大丈夫… 先輩には俺も、ついてますから… 」

「うん…」俺には、圭一がいる…

だが、寺崎にはそんな風に思える人間が、 … … いただろうか…

そんな風に考えている最中、キキッと音を立てて…タクシーが路地裏へ停車する。

「先輩… つきましたよ… 行きましょう。」

「うん… 」

俺と圭一はすぐさまタクシーを降り… 猛スピードで、寺崎の部屋へ向かった…。













感想 17

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(17件)

yasu
2023.04.17 yasu
ネタバレ含む
2023.04.19 もえこ

更新が長いこと止まっていましたのに引続き読んでいただき、ありがとうございます。
そうですね、画像と動画の削除…そして、治療…
それが先決だとは思いますが、寺崎はこれから一体、どう動くのか…
引続き読んでいただけると嬉しいです。

解除
yasu
2021.05.23 yasu
ネタバレ含む
2021.05.26 もえこ

何度も感想いただき、ありがとうございます。
そうですね!警察を呼ぶのが一番かもしれません。ただ、僚介の心中にはやはり寺崎の立場があり、なるべく悪者にしたくない…そう、考えているのかもしれません。
ただ、今後の展開によっては…?どうなるかは… 
更新ゆっくりですが、引き続き読んでいただけると幸いです。

解除
きき
2020.11.18 きき
ネタバレ含む
2020.11.19 もえこ

温かなご感想いただき、ありがとうございます。実は私も途中、どういう展開に転がるかわからず、ハラハラしながら書いていました、笑。

最後のラブラブは、あまりに長過ぎて、ちょっとくどかったかも…と若干気になっていましたので、そう言っていただけて、とても嬉しいです。
この作品のタイトルにかかる部分なので、思い切り圭一らのラブラブ描写に力を注ぎたかったのですが、気付けばなかなかの長編になってしまいまして…笑。

今後ともよろしくお願いします。^ ^
ありがとうございました。

解除

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。