【完結(続編)ほかに相手がいるのに】

もえこ

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~就寝~

最後

「拓海…や、だ…」小さく呟く…

「うるさい……知らねえ…、聞かねえって…」

拓海が私の言葉を右から左に簡単に聞き流し…私の身体から一旦離れ、自身の服を躊躇なく脱ぎ捨てる…。

目の端に拓海の興奮したそれが映り込み、私は思わずそこから視線を逸らす…。

ギシリ…

ベッドが軋む音を立てる…。
拓海が再び、私の身体の上にのしかかってきた…。

目の前に、…浅黒い肌… 変わらない…逞しい胸板… 
かつて、好きだった私の恋人… 
でももうきっと、かつてのように…ときめくことはないだろう… 

それほどに、もはや…私の中に、彼がいる…
彼しか、いない…。

でも…
今夜は…今夜だけは無理だ…
今の精神状態の拓海に…
この、部屋の中で…抵抗できるはずがない…力でかなうはずもない…。

だけど、もう絶対に… 今夜が最後だ…。
もう二度と…私が拓海を家に上げることはない…。
拓海が別れに応じてくれなかったとしても…絶対に家に、あげることはしない…。

私はこの時そう…心に決めていた…

その気持ちがあふれ出し…言葉を発した…。

「… もう… 最後 …だから… 」  

「 ああ…? 」

明らかに不機嫌な拓海の声が耳に届いて、ハッとした…。

「… 最後…だと… ?」

       最後… 最後だ… 

この言葉が…きっと余計だった…。
明らかに、不必要な一言。

でも…なぜだかその時、そう言わないと気が済まなかった…。
私の、絶対に揺らがない決意表明… 

拓海に、私の今の気持ちを隠すことなく伝えたかった。

結果的に、この言葉が拓海に火をつけたのだと思う。

後にも先にも… 
あんなことをされたことはない…。
あんなに乱暴に…あんな風に…拓海に抱かれたことはない…

でも…これで、嫌いになれる…

私の心はもう…それほどまでにねじ曲がっていた… 
私は… やっぱり最低の女で…
拓海の激情を…拓海の怒りを、完全に利用した… 

そうされたかった…  

拓海との最後のセックスを…いい思い出になんてしたくなかった…。
最低の女だ、もう二度と顔も見たくないと思われた方がいい…。

「…誰が…最後だって…?ふざけんなよ…葉月…」

拓海の声が…怒りで、震えているのがわかる…。

でも、今までみたいに、中途半端に謝ることはできない…。
訂正することも、できない…訂正はしない…。

「… …ふざけてなんか …ない …」 

私は目を逸らすことなく、

     真っすぐに拓海を見つめた…。



 






  






感想 1

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