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第2章
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喫茶店は、結構空いていた。
食事も出す店のようだが、平日の夕方だからか、客席はまばらだった。
仲の良さそうな老夫婦らしき人が中央の席で楽しそうに談笑している。
あとは何かの商談なのか、スーツを着た男性同士がパソコンを開いて話をしているくらいだ。
僕は、ちょうどお弁当屋さんが見える窓際の席が空いていたのでその席に着いた。
珈琲を注文し、少しだけお腹が減っていることに気付き、フライドポテトを注文する。珈琲が来るまでの間…窓の外をぼうっと眺めていた。
職場から保育園…そして結局自宅…こんなところまで、美波さんを追跡してしまった…本当に一歩間違えば、ストーカー…か、探偵…みたいな…そんな、おかしな気分になる…。
彼女に知られでもしたら、きっと気味悪がられるか、下手をしたら職場に報告されるか…だから、絶対に見られないようにしなきゃと気持ちを引き締める…。
それにしても…
美波さんが実は子持ちで…定時ダッシュの理由は、毎日の保育園のお迎えのため…だったなんて…。
この前電話がかかって、血相を変えて職場を飛び出していった理由も、子供がらみで呼び出しを受けたんだったらなんとなく頷ける…。
うちの部署にはほかにもお子さんを預けている人がチラホラいて、やっぱり最優先するのが保育園や学校からの呼び出しみたいだから…仕事は人に頼めても、子の面倒は人には頼めない、当然何かあれば、真っ先に駆け付けるのが親だろう…。
「お待たせいたしました…ごゆっくりどうぞ…」
ウェイトレスさんが、珈琲とポテトをテーブルにそっと差し出し、お辞儀をして立ち去る…。僕は、揚げたてのポテトをつまみながら、考える… 彼女はなぜ、子供がいることを隠しているんだろう…と。
たとえ、離婚していたり、何らかの事情でシングルだとしても、今時シングルマザーなんて結構世の中に沢山いる…そもそもその場合、手助けがむしろ必要なくらいの立場だから、職場にその事実をオープンにしていた方が、仕事の面でも、都合がいいし安心なはずなのに…
なのにどうして、彼女はそのことをオープンにしていないのか…。
僕はそこが、不思議で仕方がなかった。
ガタン…椅子を引く音がしてふと見ると、僕の席一つ開けて、窓際に座るスーツ姿の男が一人…。
その男も珈琲を注文し、
誰かと待ち合わせなのだろうか…
本や新聞などを見るわけでもなく、ただただ窓の外を頬杖をついて、じっと眺めている…
その喫茶店では、内装がレトロな造りのせいか、時間の流れが、とてもまったり…ゆっくりと過ぎていくような気がした…
毎日のように、夜遅くまで残業をしまくっていた僕にとって、ここに来た理由はともかく、この珈琲タイムは貴重な気がした…。
もっと仕事を早くできるように努力して、僕も自分の時間をもう少し有意義に使いたい…そんなことを思いながら、再びポテトをつまむ。
不意に、その窓際の男がピクリと動き、立ち上がりかけると同時に、その視線が弁当屋へ向かった…気がした。
弁当屋の勝手口から出てきた…一人の女性… 茶髪の… 少し派手目の格好をした女性が僕の目にも映る。
僕はその男同様、立ち上がりそうになった…。
あれ…あれって…まさか…、もしかして、美波さん…? じゃ、ないよね…
食事も出す店のようだが、平日の夕方だからか、客席はまばらだった。
仲の良さそうな老夫婦らしき人が中央の席で楽しそうに談笑している。
あとは何かの商談なのか、スーツを着た男性同士がパソコンを開いて話をしているくらいだ。
僕は、ちょうどお弁当屋さんが見える窓際の席が空いていたのでその席に着いた。
珈琲を注文し、少しだけお腹が減っていることに気付き、フライドポテトを注文する。珈琲が来るまでの間…窓の外をぼうっと眺めていた。
職場から保育園…そして結局自宅…こんなところまで、美波さんを追跡してしまった…本当に一歩間違えば、ストーカー…か、探偵…みたいな…そんな、おかしな気分になる…。
彼女に知られでもしたら、きっと気味悪がられるか、下手をしたら職場に報告されるか…だから、絶対に見られないようにしなきゃと気持ちを引き締める…。
それにしても…
美波さんが実は子持ちで…定時ダッシュの理由は、毎日の保育園のお迎えのため…だったなんて…。
この前電話がかかって、血相を変えて職場を飛び出していった理由も、子供がらみで呼び出しを受けたんだったらなんとなく頷ける…。
うちの部署にはほかにもお子さんを預けている人がチラホラいて、やっぱり最優先するのが保育園や学校からの呼び出しみたいだから…仕事は人に頼めても、子の面倒は人には頼めない、当然何かあれば、真っ先に駆け付けるのが親だろう…。
「お待たせいたしました…ごゆっくりどうぞ…」
ウェイトレスさんが、珈琲とポテトをテーブルにそっと差し出し、お辞儀をして立ち去る…。僕は、揚げたてのポテトをつまみながら、考える… 彼女はなぜ、子供がいることを隠しているんだろう…と。
たとえ、離婚していたり、何らかの事情でシングルだとしても、今時シングルマザーなんて結構世の中に沢山いる…そもそもその場合、手助けがむしろ必要なくらいの立場だから、職場にその事実をオープンにしていた方が、仕事の面でも、都合がいいし安心なはずなのに…
なのにどうして、彼女はそのことをオープンにしていないのか…。
僕はそこが、不思議で仕方がなかった。
ガタン…椅子を引く音がしてふと見ると、僕の席一つ開けて、窓際に座るスーツ姿の男が一人…。
その男も珈琲を注文し、
誰かと待ち合わせなのだろうか…
本や新聞などを見るわけでもなく、ただただ窓の外を頬杖をついて、じっと眺めている…
その喫茶店では、内装がレトロな造りのせいか、時間の流れが、とてもまったり…ゆっくりと過ぎていくような気がした…
毎日のように、夜遅くまで残業をしまくっていた僕にとって、ここに来た理由はともかく、この珈琲タイムは貴重な気がした…。
もっと仕事を早くできるように努力して、僕も自分の時間をもう少し有意義に使いたい…そんなことを思いながら、再びポテトをつまむ。
不意に、その窓際の男がピクリと動き、立ち上がりかけると同時に、その視線が弁当屋へ向かった…気がした。
弁当屋の勝手口から出てきた…一人の女性… 茶髪の… 少し派手目の格好をした女性が僕の目にも映る。
僕はその男同様、立ち上がりそうになった…。
あれ…あれって…まさか…、もしかして、美波さん…? じゃ、ないよね…
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