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僕のイライラ
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その時を境に、僕はみさきちゃんに話しかけることが出来なくなった。
あの、ちょっと驚いただけじゃなく、怖がっているような表情が、僕の目に焼き付いて離れなくなってしまったからだ。
やっぱり…もしかして、最初の頃、みさきちゃんの椅子に蹴った足が当たってしまった時…に、怖がらせちゃったのかな…それとも、他の理由…?
ちゃんと謝っておくべきだったのかもしれない。
僕はいつも…後悔するんだ。
後になってから、
あの時、こうしておけば良かった、とか
ああ言っておけば良かったとか…
まだ小学4年生なんだけど…
今のところ、後悔ばっかりの人生な気がする。
でも、これからはできるだけ後悔したくない。
随分前のことにはなるけど、みさきちゃんの椅子を蹴ったことを謝ろう。
まずはそこから…漠然とそう思った。
みさきちゃんが一人になった瞬間、帰りの時間を見計らって、僕は後ろの席から声をかける。
「み。みさきちゃん…ちょっとだけ、時間いいかな…?ホントにちょっとだけ、話したいことがあるんだけど…」
みさきちゃんが振り返り、やっぱり少し、顔を強張らせる。「え…?うん…なに…なん、ですか?」
…なんで…友達に…「…ですか」なんて使うんだろう…違和感がすごいけど、そこは聞き流し、僕は即座に話すべく口を開く。
「…あの…みさきちゃんが最初、教室に来た時に…僕間違って…足を…」…まさに本題に入りかけた時…
「みさきちゃーん!もう帰る?一緒に帰ろっ!!」
数人の女子がみさきちゃんの周りに駆け寄ってきた。
ん…?違うクラスの女の子も混じっている…みさきちゃん、いつの間に、友達になったんだろう…女子の団結力っ…すごいな…
「うん…帰る…とこだけど…ちょっと待ってね…?」
みさきちゃんが僕を見返す。同時に、駆け寄ってきた女子達も俺を見る…一斉に八つの目が…僕を…
「…あ、ごめん…やっぱ、いいや…バイバイ」
こんな大勢いる時に…謝れるわけ、ないし…
僕は途端に恥ずかしくなり、すぐにその場を立ち去った。
あーあ…もう、いいや…やーめた。
みさきちゃんだって、あんな前のこと、覚えてないかもだし…
なんだか、思い通りにいかなくて、
やっぱりイライラしてくる。
僕はこのイライラを、なかなか自分では解消できなくて…人に、ぶつける…ことになる。
その時は自覚がなかったけど、
ぶつける相手と、方法を…間違ってしまったんだ。
つづく
あの、ちょっと驚いただけじゃなく、怖がっているような表情が、僕の目に焼き付いて離れなくなってしまったからだ。
やっぱり…もしかして、最初の頃、みさきちゃんの椅子に蹴った足が当たってしまった時…に、怖がらせちゃったのかな…それとも、他の理由…?
ちゃんと謝っておくべきだったのかもしれない。
僕はいつも…後悔するんだ。
後になってから、
あの時、こうしておけば良かった、とか
ああ言っておけば良かったとか…
まだ小学4年生なんだけど…
今のところ、後悔ばっかりの人生な気がする。
でも、これからはできるだけ後悔したくない。
随分前のことにはなるけど、みさきちゃんの椅子を蹴ったことを謝ろう。
まずはそこから…漠然とそう思った。
みさきちゃんが一人になった瞬間、帰りの時間を見計らって、僕は後ろの席から声をかける。
「み。みさきちゃん…ちょっとだけ、時間いいかな…?ホントにちょっとだけ、話したいことがあるんだけど…」
みさきちゃんが振り返り、やっぱり少し、顔を強張らせる。「え…?うん…なに…なん、ですか?」
…なんで…友達に…「…ですか」なんて使うんだろう…違和感がすごいけど、そこは聞き流し、僕は即座に話すべく口を開く。
「…あの…みさきちゃんが最初、教室に来た時に…僕間違って…足を…」…まさに本題に入りかけた時…
「みさきちゃーん!もう帰る?一緒に帰ろっ!!」
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ん…?違うクラスの女の子も混じっている…みさきちゃん、いつの間に、友達になったんだろう…女子の団結力っ…すごいな…
「うん…帰る…とこだけど…ちょっと待ってね…?」
みさきちゃんが僕を見返す。同時に、駆け寄ってきた女子達も俺を見る…一斉に八つの目が…僕を…
「…あ、ごめん…やっぱ、いいや…バイバイ」
こんな大勢いる時に…謝れるわけ、ないし…
僕は途端に恥ずかしくなり、すぐにその場を立ち去った。
あーあ…もう、いいや…やーめた。
みさきちゃんだって、あんな前のこと、覚えてないかもだし…
なんだか、思い通りにいかなくて、
やっぱりイライラしてくる。
僕はこのイライラを、なかなか自分では解消できなくて…人に、ぶつける…ことになる。
その時は自覚がなかったけど、
ぶつける相手と、方法を…間違ってしまったんだ。
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