【完結】僕のしたこと

もえこ

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みさきちゃんの手紙

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僕はその手紙をドキドキしながら開く。
みさきちゃんのきれいな字が並ぶその手紙を、僕は声に出さずに、読み始めた。

「先生へ。私、もう学校へは行きたくない。あと、もう誰にも、会いたくない。

学校に行っても、毎日おしゃべりする友達もいないし、行っても全然…楽しくない。
休み時間も移動教室も一人で、給食だって楽しくない。

もう、いやです、ほんとうにいや。毎日悲しいです。

先生は私に、私のお母さんにも、私が学校に行きたがらない理由を聞いたけど、理由は…その理由は」

僕はごクリと唾を飲む。

「柴田くん…です。
私は柴田くんが、怖くて…今はすごく…キライです。
私、この学校に来て、最初、たくさんの友達ができました。

同じクラスにも、違うクラスにも友達ができて、毎日楽しかったのに…本当に学校にくるのが楽しみだったのに…。

ある日から…段々と友達がいなくなっていって。でも理由が分からなくて…ある日、クラスのみかちゃんに、聞いてみたら…柴田くんだって。

皆、柴田くんに言われて…私と、遊ばなくなったって。先生、私、最初から、柴田くんのことが怖かったです。初日に、私の椅子を後ろから蹴られて…
いつも乱暴な言葉使いで…怖いし、キライです。
しかも、私がせっかく仲良くなった友達を…私から引き離した…柴田くんなんて、きらい…大嫌い。

だからもうわたし、学校には行きません。ごめんなさい。さようなら」

手紙はそこで、終わっていた…。

僕が読んだ後に、僕のお母さんが手紙を読んで、息を飲むのが、わかった。







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